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「津山三十人殺し-日本犯罪史上空前の惨劇」 筑波 昭 [本ノンフィクション:実録犯罪・犯罪史]

「津山三十人殺し-日本犯罪史上空前の惨劇」 著:筑波 昭 (新潮OH!文庫) 8.5点


以前借りて読んだのだけど、購入して読み返してしまいました。

昭和13年、岡山県の農村で一晩に村人30人が殺害されるという猟奇的な大量殺人事件が起きた。この事件は「八つ墓村」(横溝正史)や「夜啼きの森」(岩井 志麻子)のモデルともなり、松本清張が「闇に駆ける猟銃」で取り上げている。他に「丑三つの村」として映画化され(見たけど、あまり印象に残ってません(^^;))、山岸涼子が「負の暗示」(「パイド・パイパー」収録)で、漫画化している。

この事件、大量殺人事件の被害者数としては、近年まで世界一の地位を保っていた。
現在でも、1982年韓国で起きた、警察官・禹範坤(ウ・ポムゴン)の55人(57人?)の大量殺人事件、1996年オーストラリアのポート・アーサーで起きた銃乱射事件の35人についで3位の記録である。
日本で、これほどまでに被害者を出す大量殺人事件が起きたというだけでも注目に値するが、学生服を着、ハチマキに懐中電灯を2つくくりつけ、胸には自転車用のライトをぶら下げ、刀、匕首、猟銃を持った犯人の犯行時の異様な様相がこの事件の不気味さを際立たせている気がする。

大量殺人というと、銃乱射などにより無関係な人間を次々に殺害するケースが多いが、この事件の場合、狭い集落の中で、襲う家、人をしっかり決めているのも興味深い。

この本では、当時の世相や、関係者の供述、犯人の成育暦、などかなり極め細やかに追って、冷静公平な目で事件の真相に迫ろうとしている。

山岸涼子の「負の暗示」では、閉鎖的な村の中で、肺病により兵役検査にも落ち、孤立していく犯人が狂気に駆られて行く様を描いているが、こちらでは、周囲の環境よりも、犯人の歪んだ性格が、最終的にこのような犯行に到った原因では無いかと推理している。

この事件に興味があるのなら、お勧めの一冊。


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ピカチュウ

この本、面白いですよね。
山岸涼子さんの「負の暗示」も好きです。
このてのノンフィクション系の本って、身近で読んでる人いなっくて。。。
ちょっと系統は違いますが、同じ新潮OH!文庫の「仮面の家―先生夫婦はなぜ息子を殺したのか―」が超オススメです。
by ピカチュウ (2005-02-04 22:51) 

choko

コメントありがとうございます♪
犯罪史物は、読む人が限られますよね(^^;)。
でもノンフィクションならではな重さがあって、私も好きです。
お勧めの本、知らなかったので、今度探して読んで見ます。
教師をしている父親が息子を殺した事件というのは記憶にあるのですが「仮面の家」というタイトルに自分の知らなかった側面がありそうで、とっても面白そうです。お勧めありがとうございました(*^▽^*)。
by choko (2005-02-04 23:20) 

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