「そして謎は残った-伝説の登山家マロリー発見記」 [本ノンフィクション:冒険・登山、遭難]
- 作者: ヨッヘン ヘムレブ, エリック・R. サイモンスン, ラリー・A. ジョンソン
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/12
- メディア: 単行本
- 7.5点
登山家ジョージ・マロリーの名前は知らなくても、
「何故山に登るのか?」
「そこに山があるからだ」
というやりとりを知っている人は多いと思う。
そう、この台詞を言ったのがジョージ・マロリーである。
マロリーは1923年にエベレストで8200mまで登り、史上初めて8000m以上に到達した人でもある。
彼は、1924年、エベレスト山頂付近にて行方不明になった。エドモンド・ヒラリーが人類史上初めてエベレストに登頂成功したのが1953年なので、それの30年近く前という事になる。
そしてマロリーがエベレストの登頂に成功したのか、そうでないのかは、登山史上永遠の謎とされてきた。
この謎を解明しようと、マロリーの遺体捜索チームを結成したのが、著者である、ヨッヘン、エリック、サイモンスンの三人である。エベレストで遭難し、発見されていない遺体というのは、数多くあるとは聞いていたが、エベレストで遺体捜索をするというだけで、信じられないくらい大変な準備と資金と労力が必要だと言う事をこの本を読んで知った。実際、この本の1/3~半分ぐらいは、その準備にまつわるトラブルや駆け引きについて書かれているのだ。エベレスト初登頂にまつわる謎を解こうと奔走する3人の情熱には心打たれるものがある。
ただ、マロリー遺体発見により、新たにわかった事実に対して割いているページは思ったより少なく、その部分をもっと書いて欲しかったなぁと思ってしまうのが、ちょっと残念。
この本の表紙の写真は、発見されたマロリーの遺体なのだが、死後75年以上経っているのにかなりキレイな状態なのは驚かされる。高所で遭難した場合、遺体はここまでキレイに残るのか?など、そいう部分の説明も欲しかった。
マロリーの遺体は、岩肌にしがみ付き頂上を目指すような姿勢で発見されている。
死ぬ直前まで高みを目指していたと思われる伝説の登山家の最後を想像するだけでも、胸が熱くなる本でもあった。
コメント 0