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「カンボジア大虐殺」「ポルポト<革命>史」「最初に父が殺された」カンボジア虐殺と破壊の歴史 [本ノンフィクション:ジェノサイド]

検証・カンボジア大虐殺

検証・カンボジア大虐殺

  • 作者: 本多 勝一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1989/11
  • メディア: 文庫  7.5点
305 ポル・ポト<革命>史 虐殺と破壊の四年間

305 ポル・ポト<革命>史 虐殺と破壊の四年間

  • 作者: 山田 寛
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/07/10
  • メディア: 単行本
7.5点
 
 
最初に父が殺された―飢餓と虐殺の恐怖を越えて

最初に父が殺された―飢餓と虐殺の恐怖を越えて

  • 作者: 小林 千枝子, ルオン・ウン
  • 出版社/メーカー: 無名舎
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 単行本
  • 7点
1970年代カンボジアを支配し、国民を虐殺したとされるポルポト派に関する本3冊。

最初に読んだのは「検証・カンボジア大虐殺 」。
難民キャンプや、ポルポト政権崩壊後のカンボジア国内での民衆へのインタビューにより、虐殺の有無、虐殺された人の数などを検証している。
この本の著者、本多勝一氏の本は、最近かなり読んでいるんだけど、気になる点があったので、調べてみたら、やっぱり賛否両論あった(^^;)。
このポルポト派の大虐殺に関しては、最初懐疑的であったらしいのだが、この「検証・カンボジア大虐殺」では全くその点には触れられていないばかりか、本書の最後では、ポルポト派の大虐殺は無いという人達の主張の粗を指摘していたりする。
「取材しない事は書けない」と何度も記事の中で主張している為、著者の推測すら、取材してきた事、しっかり裏を取った事のように錯覚してしまうのが怖い。
実際いろいろ読んでいて、上記のような主張をしているのに、これはちゃんと調べてないな?と思える部分があったりしたし。
それでも、自らの危険を顧みず現地に赴き真実を取材しようとする姿は評価に値するとは思うが。
 この本では、難民キャンプ、解放後のプノンペン、農村などいろいろまわり、ポルポト政権下で亡くなった人数、原因を詳細に調べ、数十万~数百万まで開きがある、虐殺された人々の数をなるべく正確に推測しようと努力している。
多くの人の口から語られるポルポト政権下の過酷な体験や、惨い家族の死は、生々しい。
ただ、多くのデータを集める為、一人一人のインタビューは、あっさりした物になっているのがちょっと残念。

これは、ポルポト派支配下の飢餓と虐殺の恐怖の中、生き延びた少女の手記である。
プノンペンで裕福な暮らしをしていた少女が、プノンペン陥落、ポルポト派支配が始まると同時に都市を追い出され、粛清と過酷な生活環境の中次々に家族を失っていく。
ポルポト支配下で人々が体験した事を少女の視点で描いているこの本は、少女の視点という事で、ポルポト支配に関する全体像は見え難いが、逆に多くの人々がこの少女が体験したような悲惨な生活を強いられていたのだという事が想像できる。
北朝鮮を脱北した人の手記と重なる部分は多いのだが、虐殺された人の数の多さや、殺すのが目的とも思われるような重労働を人々に強いた事などを考えると、北朝鮮以上に人権が無視されていたように思える。
ポルポト政権下での、人々の悲惨な生活の現状を知りたいという人は、これがお勧め。
政権というのは暴走した場合、このような地獄を作り出してしまうのだと思うと、とても怖い。

305 ポル・ポト<革命>史 虐殺と破壊の四年間 」の方は、ポルポト派の活動を、指導者の生い立ち、党の設立から、方針の変化、虐殺と破壊の実態、外交政策、支配崩壊、裁判まで追いかけた本で、ポルポト派に関する全体像を少しでもつかみたいなら、こちらがお勧め。
 ポルポト派が、知識人を嫌悪し、学者、教師、医者、看護婦、学生、留学経験があるものなど、少しでも知識人階層にいた人ほとんど全てを虐殺、無知で無学な農民を国民が目指すべき存在として優遇したのは有名である。
知識人を虐殺した理由の1つに、無学な方が御しやすいという考えがあったのだろうが、それでも、病院、農業改革など社会機能の円滑な運営に支障を来すほどほとんどの知識人を殺害したのは、何故なんだろうという疑問はあった。
この本では、ポルポト派の中心をになった人達は、どんな人物だったのかなどを詳しく追っている。
知識人を弾圧し、虐殺した指導者達、驚いた事に、その多くが、フランスなどへの留学経験がある知識人なのだった。
 現在裁判中でもあり、その多くが口を閉ざしたままであるので、何故ポルポト派がここまで暴走してしまったのか、はっきりとした事は、この本でも述べられていないが、国民の多くを虐殺するに到った背景が、おぼろげにも見えて来る本である。

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