「ジェノサイドの丘-ルワンダ虐殺の隠された真実」知らなければ良かった真実 [本ノンフィクション:ジェノサイド]
読後感が最悪として有名なケッチャムの「隣の家の少女」は、少女を襲った運命の残酷さと救いの無さ 、そして実話に基づいているという事実が、最悪の読後感を作っていると思う。
しかし、この本の場合、ルワンダで虐殺された人々の悲惨な運命も然る事ながら、「ジェノサイド」という行為に、自分も何かしら関係しているのかもしれない・・と思える所、そして「ジェノサイド」に対して自分がいかに無力かというのを思い知らされる事に、読後感の悪さがあると思う。
難民を救済する為の募金活動、PKO、国の税金から出される発展途上国への援助、こういうモノが虐殺した側の人間を助け、また虐殺行為の準備に使われているとしたら???その事実がわかっていても、何の手も打てず援助が続けられているとしたら??
カンボジアで虐殺の限りを尽くしたポルポト派は、ベトナム軍の進行により敗走した後、タイの難民キャンプに逃げ込んだ。
そこで武器を持つポルポト派の兵は、本当のカンボジア難民を盾にして、難民に対しての援助物資を得、甘い汁を吸い、のうのうと生き延びていた・・・というのは、知っていたが、それは昔の話だと思っていた。今はそういう事は無いだろうと思っていた私が無知だった。今でもそういう状況は変わってないのをこの本は教えてくれる。
難民キャンプで起きる殺人。それは、ルワンダから逃げてきた虐殺犯達の行為である事がわかっていて、それが目の前で行われているとしても、いろいろな協定やらなにやらで全く手を出せないPKOや救済機関。そういう中で、虐殺犯達は、力を蓄え、またルワンダで虐殺に加担する準備をしている。しかし、援助を打ち切れば、本当に非難してきた人々達も被害に合う。
それに、このルワンダの「ジェノサイド」は、それが起きている事実を知っていても国連が関与を拒み「ジェノサイド」が行われているという事から目をそらし続けていた事で被害を大きくしたとも言われている。ルワンダに兵を派遣しても得る物はほとんどなく、どの国も嫌がったのだ。平和維持という名の元に派兵が行われているが、それは自国にメリットがあってこそ。真に平和維持の為などではないのだ。
国連が派兵を渋った理由の一つに、その前に起きたソマリアの内乱が関係しているのは知らなかった。このソマリア内乱で派兵されたアメリカ兵が作戦の失敗により、何人も命を失った(映画「ブラックホーク・ダウン 」はこの作戦の失敗を描いている)。これに懲りたという。
私自身、ルワンダの虐殺に関して、当時小さな記事を新聞で読んだ気がしたが、それ以外ほとんど扱われず、その上、記事が「○○らしい」という仮定の表現だったので、真実はどうなんだろう?と思いつつ、忘れてしまっていた。
でも、多くの人が興味を持てば国際世論も変わり、国連も早く動いただろう。
何かまとまらなくて、読んでからずっと書けないでいたけど、今年ナンバーワンだった本として、今年中に感想を書きたいとまとめてみた。やっぱりまとまってないけど、知らなければ良かったと思う、でも知らなければいけない真実としてこの本を読んで欲しいと思う。
そして、世界には、このように知らないけど、知らなくてはいけない事がたくさんある。紛争はそこかしこで起きているのだ。そして、そこで苦しむのは、何も罪のない人々なのである。
イマキュレーの「生かされて」を読みました。
読むと気持ちは落ち込みますが、自分が21歳だったときに、
世界でこのような大事件が起きていたことを初めて知りました。
とても考えさせられました。
by しげもじゃ (2009-11-07 01:48)
しげもじゃさん、コメントありがとうございます(^_^)。
ルワンダの虐殺は、私も衝撃でした。
それもこれだけの事が、当時ほとんど報道されなかったことにも。
「生かされて」も辛い話ですが、どんな絶望的な時でも
希望を捨てない著者に尊敬の念を抱きます。
彼女を見習わなければ・・と思うのですが、
現実はなかなか難しいです(^^;)。
こんな平和な日本で生きて、ほんと些細な悩みだったりするのに。
by choko (2009-11-07 02:39)