「敬愛なるベートーヴェン」映画館に第九を聴きに行こう! [映画:その他]
「敬愛なるベートーヴェン」を見て来た。
「第九」の初演を4日後に控え、まだ合唱パートができていないベートーヴェンの元に写譜師としてアンナがやってくる。ベートーヴェンを尊敬してやまない彼女。しかし、ベートーヴェンは最初、女性というだけで、アンナを拒絶する。しかし、アンナの見え隠れする才能に、アンナを雇う事を決める。年老いたベートーヴェンとまだ若く女性ながらに作曲家を目指すアンナ。二人の絆は深まっていく・・。
実は見ようか見まいかちょっと悩んだ映画だった。でも映画の中心になっている曲が、「第九」と「大フーガ」だったので行く事にした。「第九」は年末だからコンサートホールまでは行かないけど、映画館で聴くのもいいかなぁと思ったから。大フーガのほうは、不思議な曲でちょっと気になっていたから。まぁ単純な理由です(^^;)。
アンナという人物は完全に架空の人物。ベートーヴェンの生前のエピソードからかけ離れない為か、アンナに関して掘り下げがあまりされておらず、彼女を巡るドラマ部分が弱くなってしまったのが残念。ベートーヴェンとアンナの関係は消化不良という感じだったし。という事で、ストーリーに期待していくと、ちょっと肩透かしを食うかもしれない。
でも、変人と言われていたベートーヴェンの姿や、晩年の彼の孤独などを知るには、いい映画。ベートーヴェンの人柄(野獣であり天才でもある)を忍ばせるエピソードや台詞にはいいものが多い。特にたまに見られる傍若無人ぶりは、思わずクスッとしてしまうものも。
そして、この映画、「第九」の初演のシーンが本当に本当に素晴らしい。耳がよく聴こえないまま初演に臨むベートーヴェンの緊張感が、その舞台の成功を予感させる第四楽章合唱開始のシーンと上手く融合し、涙が出るぐらい感動的なできになっている。
第九は長い作品なのでもちろん全編流してくれる訳ではないが、劇場で大音量で聴く第九というのもいいなぁと心から思った。このシーンだけを見に映画館に行く価値あり。
もう1つの作品の中心である大フーガ。この曲、聴くと頭の中でバイオリンなどの弦楽器がグルグルグルグルまわる感じを受けるのだけど、映画冒頭、この曲が流れるシーンで「やっぱり他の人もそんな印象を受けるのかな?」と思えるような映像が用いられていた。それとも単なる演出で、曲のイメージとは関係ないのかな?(^^;)
年末、第九を聴きに映画館に行くのもいいと思う。
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