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「感謝されない医者-ある凍傷Dr.のモノローグ」 [本ノンフィクション:冒険・登山、遭難]

感謝されない医者―ある凍傷Dr.のモノローグ

感謝されない医者―ある凍傷Dr.のモノローグ

  • 作者: 金田 正樹
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 単行本

8点

 

 

登山関係の本を読むと必ず出てくる凍傷の話。
凍傷で指を失ったり、鼻を失ったり、遭難した時、凍傷になる事を心配したり、凍傷にかかった仲間を必死で治療したり、凍傷に関するエピソードは物凄く多いのだが、凍傷についてあまり知らないので、この本を読んだ。

自分自身が登山をしたりする為なのか、望んだ訳でもないのに凍傷の専門家と言われるようになってしまったドクターの本。
凍傷に関しては詳しく、治療経験も豊富なのに、著者は凍傷の治療が嫌いだという。

何故なら凍傷の治療では、患部を切断してしまう事が多いから。治療の為とはいえ、体の一部を切断する行為というのは、生み出すものもなく、非常に辛いのだという。できれば避けて通りたいと、一度もやらずに済んだら済ませたいと著者は望む。
でも、凍傷治療に詳しいという評判が、著者の元に、次々と凍傷患者をひきつける。

凍傷に詳しい医者に見てもらえば切断しなくても済むのではないか?と希望を持って受診してきた患者に、切断の事実を告げる著者の気持ち。
そして、治療して貰っても素直に感謝できない患者の気持ち。

そんな著者の気持ちを交えながら、凍傷の原因や治療法、治療に来た患者のエピソードなどを綴ったのがこの本だ。

何枚か患部の写真が載っているが、その衝撃的な様相にはびっくりした。重度の凍傷は患部が黒ずむとは知っていたが、本当に真黒である。まるで体の一部が炭化してしまったような状況。 

アルピニストとして有名な加藤保男(人跡未踏のエベレスト冬季登頂に成功した直後遭難)が、始めてエベレストに登った時、重度の凍傷になり、足の指を全部切ったという話は知っていたが、その治療をしたのもこのドクターであった。
加藤保男の患部の写真もあった。写真で真黒になっている部分を切除したとの事だったが、写真を見ると、足の指だけではなく、足全体の1/3以上を切ったことがわかる。これほど足を切断してしまっても登山を続けることができることに、そして数々の偉業を成し遂げたことにびっくりした。
もちろん、加藤保男の並々ならぬ努力があったからの復帰ではあると思うけど。

他にも手の指や足の指を切断してしまった後立ち直り力強く生きている人達のエピソードが語られている。

また表面上はぶっきらぼうで頑固者っぽいドクターの、暖かく責任感が強い人柄がそこかしこから覗いている、そんな本でもある。


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コメント 4

KOTO

うにょちゃんところでコメント見つけたのでやって参りました☆あいかわらず本読んでるねー。私はオフになったらって思ってるのにオフになったらグダグダしててだめっすわー。
8月の終わりからちょいと旅に出てくるのですが、海のきれいなところで読むのにオススメの本ありますか?できたら文庫がいいな…持ってくの重いから(笑
by KOTO (2007-08-04 14:24) 

choko

コッチ、こんにちはヾ(@^▽^@)ノ。
海のきれいなところに行くんだ(^^)。どこ行くのかな?
いろいろな所に旅行してて羨ましい~。

で、海のキレイな場所で読むのに向いてる本・・・・難しい。
読んでる本がかなり偏ってるので、ホラーで、海からおどろおどろしい物が上がってくる本とか、そういうのならいくらでもお勧めできるんだけど、どう?ホラー読む?(^^;)。

少し前に読んだ「渚にて」は海に関する話だし、いいと思うけど、絶版だと思うので図書館で借りるようになっちゃうかも。

旅行中という事なので、旅行関係の本、コミック系なら、「ハワイで大の字」とか、グレゴリ青山のいろいろな旅行記とか、高橋由佳利の「トルコで私も考えた」、文庫なら塩野七生の「イタリアからの手紙」とか。

ちょこちょこと読めそうで、読んで楽しくて、話のネタにもなりそうなのは「世界の日本人ジョーク集」や、同じ著者の「世界の紛争地ジョーク集」(「反米ジョーク集」はちょっと重いのでお勧めしない)かな?

うーん、ちゃんとしたお勧めにならなくてごめん(^^;)。
旅行後のブログ楽しみにしてるね(^^)。
by choko (2007-08-05 02:17) 

KOTO

ホラー……読まにゃい。トイレに行けなくなるから(爆)
『イタリアからの手紙』ヒットしました♪探してみよー。
行き先はマルタ共和国です。もしかしたら船でシチリアにも渡るかもなのでナイス提案でした。ありがとー。
by KOTO (2007-08-09 03:07) 

choko

確かに、旅先でホラーはちょっと嫌だよね。
ホテルとか、舞台にした話なんて読んだら、夜怖くなりそう(^^;)。

でもコッチが気に入る本が入っていて良かった(^_^)。
マルタ共和国から船でシチリアに・・・・聞いてるだけでウットリしちゃうような旅だよ~。
私をトランクにいれて連れてって~~!!
by choko (2007-08-10 03:14) 

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