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「サハラに死す-上温湯隆の一生」日本版イントゥ ザ ワイルド?? [本ノンフィクション:冒険・登山、遭難]

サハラに死す―上温湯隆の一生 (講談社文庫)

サハラに死す―上温湯隆の一生 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1987/07
  • メディア: 文庫

7点

若干22歳で、サハラ砂漠単身横断を試み、志し半ばで、逝ってしまった青年の旅行日記をまとめた本。

アフリカ大陸の1/3を締めるサハラ砂漠。
世界最大級の砂漠である。
そのサハラ砂漠を、大西洋側から太平洋側に単独でラクダに乗り横断しようとした青年。
誰も成しえなかったこの偉業を達成する事によって、自分に自信を持ち、将来への大きなステップアップにしようとする、青年の心の動きが日記の中から伝わってくる。

イントゥ ザ ワイルド」の邦題で映画化された、荒野に単身飛び込み、逝ってしまった青年の軌跡を丁寧な取材で追った、ジョン・クラカワーの「荒野へ」を彷彿とさせる内容でもあった。

青年の真摯な、真摯過ぎる悩み、何かを成し遂げたいという強い気持ち、それに向かって突き進むパワー、そして若さ故の無知と無謀な行動。
共通する部分がかなり多い。
「荒野への」著者クラカワーもまた若い頃、同じ様に無謀な命がけの冒険に挑んでいる。

冒険物は、植村直己の北極圏犬ぞり探検など、いくつか読んでいる。 エスキモーの村に滞在し、かなりの期間犬ぞりの練習をしたりと、入念な準備を重ねる植村直己を知っていたので、この青年が、あまりにも準備不足な状態で命をかけた冒険にチャレンジしていることに、最初は驚いてしまった。

若いというのはそういうことなのかもしれない・・とも思う。

でも、私は、青年の母親の視点で読んでしまうので、どうしても否定的な目線でみてしまう。

タムタムアフリカ」の著者が、この本を読んでアフリカに惹かれたというのとは正反対である(この本を読んで、「サハラに死す」を読もうと思った)。

若い時に読んでいたら、きっと感想は違っただろう。
昔はよく「なんとかなるさ」と多少無謀に思える事もチャレンジした。
いまは、「○○になったらどうしよう」と、細かい事でも気になってなかなかそう思えない自分がいる。
青年のチャレンジ精神に共感できない自分が少し悲しい。

将来に悩んでいる、思い切ったことがしたい(命をかけるようなのはダメだけど)なんて思っている、若い人に読んで欲しい本。


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コメント 6

コステロ

私もちょこさんに同感ですね。
命をかけて無謀な冒険に出るくらいなら、命がけで仕事しろ!と言いたい。
命を燃やすその情熱を、社会に貢献するような方向に持って行け!と言いたい。

「旅に出るコトによって得られるもの」があるのは分かりますが、
後の人生に、それを生かしてナンボでしょうから。

by コステロ (2008-09-24 07:58) 

choko

無謀なチャレンジは、生きて帰れれば得るものも大きいみたいですが(クラカワーは、生還して、その後有名な作家になれたし)、失敗したら失う物が大き過ぎますよね。

冒険にリスクは付きもの。それを恐れていては何もできない。
でもリスクを最低限にする準備と努力も絶対必要。

というのを登山家の誰かが言ってたんですが、ほんとそう思います。


by choko (2008-09-24 15:27) 

teru

 彼の準備がいたらなかったのは事実でしょう。しかし私は、人間そして、若さということこをこれほど鮮烈に体現した人はいないと思います。冒険家としては未熟であっても彼の生そのものはひとつの作品として成り立っています。マロリーと共通するものを感じます。
 彼の冒険は 私は若者より、己に真摯に生きることに取り付かれた人間の最後の心のよりどころなのではないでしょうか?冒険家としての彼の行為は無謀に過ぎたかもしれません。むしろ非難されるべきでしょう。しかし、私はその心に頭を垂れるしかないという気持ちになります。人間という不可思議な生き物のどうしようもない美しさ、それが上温湯の姿だと思います。Chokoさんのように頭ごなしに社会の役に立てというのは少し上温湯に対して失礼でないかと思います.
幾多の荒野に散っていった名もなき冒険家によって私たちの住む世界は創られて来たのですから。
   
by teru (2009-08-24 07:31) 

choko

teruさん コメントありがとうございます(^^)。

えっと、どのような部分から「頭ごなしに社会の役に立て」と
書いたと受取られたのでしょうか?

無謀すぎた冒険を頭ごなしに否定しているつもりはないのです。
子供がいる身からすると、彼の行動の無謀さを自分の子供が
そのような行動を取ったらと思ってしまい、どうしても
肯定できない自分を悲しく思う(若い頃ならそう思わなかったのに)
という自分の気持ちを書いたのですが。
by choko (2009-08-24 07:48) 

amarift

多分、teruさんはコステロさんのコメントをchokoさんのコメントと間違って書かれたのではないでしょうか。
突如通りすがりで失礼しました。
(ルート:まぐまぐの映画メルマガ→「イントゥ・ザ・ワイルド」→「荒野へ」→「サハラに死す」→上温湯隆の検索→このページ)
by amarift (2009-11-19 18:06) 

choko

amariftさん 

わざわざコメントして下さってありがとうございます(^_^)。

映画「イントゥ・ザ・ワイルド」に興味をもたれているようですが、
もうご覧になりましたか?
原作「荒野へ」も面白かったですが、映画の方も
よくできていたので、まだでしたらお勧めです(^_^)。


by choko (2009-11-19 21:01) 

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