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「実録・死体農場」ビル・バス著:死体はどのように腐敗していくのか・・実際にある研究施設の話 [本ノンフィクション:実録犯罪・犯罪史]


実録 死体農場 (小学館文庫)

実録 死体農場 (小学館文庫)

  • 作者: ビル バス
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/12/05
  • メディア: 文庫


7.8点

ミステリー作家、パトリシア・コーンウェルの著書に「死体農場」という作品がある。

その作品に出てくる死体農場。
死体を放置し、死体の腐敗の経過や、死体につくウジの調査など、死体を使った研究を行い、
法医学の進歩や犯罪解決などに貢献している施設である。
P・コーンウェルの「死体農場」の後書きか何かで、
この「死体農場」なるものが実際にあるというのは知っていた。

この本は、その現実に存在する「死体農場」ができるまでや、そこで行われている研究、
またそこでの研究がどのようにして事件解決の手助けをしたのか・・などが書かれている。

著者のビル・バスは、この「死体農場」という研究施設を作り上げた人間である。

この施設ができる前、彼は、腐乱死体に残った肉を取り去り骨を調べる為、
自宅のキッチンで、鍋を使って死体を長時間煮たりもしていたらしい。
帰宅したら家のキッチンで、人の頭が鍋でぐつぐつ煮えてたら誰だって嫌だろう。
嫌がった奥さんから、鍋は専用の物を使うという条件をつけられたらしい。
奥さんも研究者だったおかげで、研究への理解があり、この程度の譲歩で済んだのだと思う。
普通だったら離婚だってありえそう(^_^;)。

最初の方で語られた上記のエピソードだけでも衝撃的だし、それだけ法医学というものが、
昔は研究施設にも恵まれず、大変だったのが伺われる。

そんな著者が、100年近く昔の死体を、死後数ヶ月と間違って鑑定したことをきっかけに、
「死体の腐敗などの経過を観察する施設」を作ろうと思い立ち、それを実現させていく。

「死体農場」を作るに当たっていろいろな困難があったようだが、
それらにはさほどページを割いておらず、メインは、実際に起きた様々な事件と、
その解明に役立った観察・研究内容の説明や、実際の法廷でのやり取りになっており、
ミステリー小説や、犯罪記録を読んでいるような気持ちで読める。

ミステリー小説や犯罪史と違うのは、死体がどのように腐敗していくのか、気温の影響、
埋められている死体と、放置されている死体の変化の違い、ハエなど虫の影響・・etc、
いろいろなケースについて、詳しく語られていることだろう。

乾燥した死体の指の皮膚から指紋を取るのに、アメリカのダウニー社の柔軟材(私も使ってる)が
大活躍しているなんて話も載ってた。
洗濯物だけじゃなく、死体の皮まで柔らかくしちゃうダウニー、すごい(笑)。

腐乱したり、白骨化した遺体から、ここまでいろいろな事が判明するのかとびっくりもした。

上野正彦の「死体は語る」など一連の著作と傾向は似ているけど、
それでは語られていない、いろいろな研究結果が載っているので、
上野正彦の著作を面白いと思った人、法医学に興味がある人にお勧めっ!
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コメント 2

rudies

私もP・コーンウェルで知った「死体農場」

この本、なんだか、そそられますねえ。
興味津々。
by rudies (2009-11-24 11:22) 

choko

rudiesさん

この本にも、P・コーンウェルの作品で取り上げられてこの「死体農場」が
有名になったって書いてありました。
それでよかった事、悪かった事も。

面白いし、読みやすいので、お勧めですよ~(^_^)。


by choko (2009-11-24 18:50) 

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