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「呪眼連鎖」桂修司:北海道北見の刑務所から広がる呪い・・・ [本:ホラー&ミステリー]


呪眼連鎖

呪眼連鎖

  • 作者: 桂修司
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2008/12/03
  • メディア: 単行本

7点

このミステリーがすごい!」第6回優秀賞受賞作品。

文庫版「パンデミック・アイ 呪眼連鎖 (上) (宝島社文庫)」も出てます。

北海道の刑務所で相次いで囚人が自殺した。
囚人の遺族から依頼を受けた弁護士である主人公は、その刑務所を訪れる。
自殺した囚人が直前に閉じ込められていたという独房も調査した主人公は、そこで恐ろしい幻覚を見る。
そして、右目には黒いシミのようなものが見えるように。
「これは何かの呪いなのか??」怯え、悩む主人公の元に、
その独房に立ち入った刑務官達にも同じ症状が出ているとの連絡が。

この恐ろしい現象には、明治時代、囚人に対し、過酷な労働をかして行われた
北海道開拓道路工事が関わっていた。

呪いの原因と解く方法を解明しようと主人公たちが奔走する現代と、
明治時代の北海道開拓道路工事での囚人たちの酷い状況が交互に語られる。

話のテンポがよく、ぐいぐい物語に引き込まれた。
特に、サブストーリーである明治時代の囚人達の過酷な強制労働に関する話は、
ミステリーを読んでいるというより、歴史物を読んでいるような重々しい雰囲気に溢れ秀逸!

これを読んで、明治時代北海道開拓で強制労働に駆り立てられた囚人達を描いた
吉村昭の「赤い人」を読みたくなってしまった。
何ページか読んで、行方不明になってしまったこの本(^_^;)。
頑張って発掘しようかな。

吉村昭は実際に起きた、北海道開拓民の村を羆が襲い、
村人が何人も犠牲になった事件のドキュメンタリー「羆嵐 (新潮文庫)」も書いている。
こちらは、北海道に開拓に入った農民の話だが、
北海道を開拓することがどれだけ危険で大変だった、この本からも伝わってくる。
自主的に開拓に入った農民ですら地を這うような苦労をした事を考えると、
強制労働だった囚人たちの境遇は、想像を絶するものだったに違いないと思える。

北海道開拓史やアイヌに関して興味を持つきっかけになるかもしれない一冊。
お勧めです(^^)。

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