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「ドキュメント滑落遭難」羽根田治著:「いのちの代償 山岳史上最大級の遭難事故の全貌!」川嶋康男著:「雪山100のリスク」近藤謙司著 [本ノンフィクション:冒険・登山、遭難]

ドキュメント 滑落遭難

ドキュメント 滑落遭難

  • 作者: 羽根田 治
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 2008/06/27
  • メディア: 単行本
7点

いのちの代償 (ポプラ文庫)

いのちの代償 (ポプラ文庫)

  • 作者: 川嶋 康男
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 新書
7点

雪山100のリスク

雪山100のリスク

  • 作者: 近藤 謙司
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 2008/12/12
  • メディア: 単行本
7点

登山関係3冊。

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「ドキュメント滑落遭難」は7件の滑落遭難事故を取り上げ、原因、予防方法を探る本。

この著者の本には「山の遭難―あなたの山登りは大丈夫か「気象遭難」「生還-山岳遭難からの救出」(リンク先は感想)などもあります。

今まで読んだ遭難物との違いは、「滑落遭難」は一瞬で運命が決まる事が多いということ。

道迷い遭難や、気象遭難などは、状況が悪化する前に対処法があったり、
遭難という状態に陥ってからの過ごし方なども、大きなファクターとなる。

しかし、「滑落遭難」の場合は、ほんの一瞬の油断、不注意、それが事故につながる。
つまずいたり、転んだり、ちょっとしたことが滑落につながり、
滑落して助かるかは、運次第の部分が大きい。

それを避ける為には、どんなベテランであろうが、登山中いつも気を抜かないという事が必要になる。

危険な難所を抜けた直後ホッとした瞬間、焦って前に追いつこうとした時、
滑落の危険はすぐ側に迫っている。

また、道迷いから山中をさまよっている最中の滑落事故(多いらしい)の例や、
同行者が滑落した時の対処方法などについても載っている。

先日読んだ「雪崩遭難」(阿部幹雄著)に比べると、専門用語も少なく、
山登りに詳しくない人でも分かりやすい内容で書いてあるのも良かった。
さくさく読めるし、登山をする人なら読んでおいて損は無いと思う。

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「いのちの代償」は、以前「凍(しば)れるいのち」として出されていた本を、改題・再構成したもの。

1962年、北海道大雪山で、北海道学芸大学函館分校山岳部のパーティ11人が遭難し、
10人が死亡、リーダー野呂のみが生還した。

この本では、生還した野呂からのインタビューを元に、
この遭難事故当時の状況を、克明に描き出している。

またリーダーだけが生還したという事から非難され、
凍傷により足のかかと部分より前を切断し障害者となった野呂の、
そのハンデを物ともしない見事な生き様を、出生から社会人になってまでを追っている本でもある。

遭難事故の記録は、要所要所で仲間との強いつながり、信頼感が、感じられる分、
遭難する前、これからの運命も知らず、パーティメンバーが和気あいあいと
雪山登山を楽しんでいる過程を読んでいる間も、より辛く切ない気分になってしまう。

弱った仲間の為、まだ下山出来る状態であるのにビバークしたことをきっかけに、
パーティのメンバーを襲う自然の驚異と災い。

猛烈な吹雪の中、弱った仲間を見捨てず、サポートしながらの試行錯誤が、
結局元気だったメンバーの体力すら奪い、悲劇的な結末へと繋がっていく様子は、
「その時、彼らはどうすればよかったのだろうか?」とすごく考えさせられた。

また生還後の野呂の生き様も、あの雪山を一人生き延びた理由がわかる、
どんな困難な状況でも試行錯誤し、目的に向かい道を切り開き、目的を達成するという生き方で
(樺太で生まれロシア軍に追われ・・という幼い頃の体験もすごいが)、
感銘出来る部分も多かった。
ただ、本の半分がそれに裂かれてしまっており、野呂の人生自体が、
興味の範囲外でもあった為、もう少し短くても・・・と思ってしまう自分がいた。

困難にぶち当たった時、読むと勇気づけられる本ではある。

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「雪山100のリスク」は、雪山でどう行動すべきかのハウツー本。

雪質の確かめ方や、雪山でのリスク回避の為のあれこれ、
ビーコンの使い方、雪崩に巻き込まれた仲間を探す時の方法、手当の仕方・・・・などが100個。

なので、雪山登山をする人や、バックカントリースキーヤー・スノーボーダーなら、
読むべき本。

逆に、そういうのを全くやらない私にとっては無用な物に近い本なのだけど、
先日読んだ、専門用語が多くよくわからない部分があった「雪崩遭難」の内容が、
これを読むと、おおおおおーーー、という感じでよくわかる部分があった。
また、雪洞、スノーブリッジ、ウインドスラブなど、今までぼんやりとしかわかってなかった事が、
絵や写真付きで解説してあるので、はっきり認識することができた。
特に、滑落した時、ピッケルを雪面にさして体を確保する滑落防止技術については、
想像していたのと、かなり違っていて驚いた。
「滑落防止技術」や、「ロープで滑落した人を釣り上げる」「骨折した時の応急処置」などは、
思っていたより複雑で難しく、何度も練習しないとできないものなんだなーと実感。

そういう意味で、本来なら実践の助けになるものだけど、
私の場合、雪山登山の本を読むベースになる知識を得た本でした(^^)。

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