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「下世話の作法」ビートたけし著:下品とは?上品とは?ビートたけしが語る [本:エッセイ]

下世話の作法

下世話の作法

  • 作者: ビートたけし
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2009/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.3点

ビートたけしが思う「粋な生き方」、そして「下品」や「上品」について語られている本。

「金」自体が汚く下品。
だから、それを持っているのをひけらかすのも下品。
もともと芸人というのは下品なものなのに、それを持ち上げる風潮もおかしいと切る。

人前で、美味い不味いを言うのも下品。
黙って食えばいい。
お店で行列して食べるのも下品。
安いだけで店を選んで買うのも下品。

いやー、食べ物関係は下品なことばかりしてるな~私(^^;)。

下品についてだけじゃなく、たけしが思う「上品」についても、
高倉健さんやたけしの師匠などを例にあげて、いろいろ語られている。

共感できる部分、できない部分、いろいろあったけど、面白く読めた。
ただ、これは「ビートたけし」の本だから、面白く感じたのかなーとも思う。
全く同じ事を言われても、言う相手によって受け取り方って違ったりするし。
映画で世界的に有名になっても、相変わらずテレビでバカをやってるビートたけしの姿勢は、
好きだしすごいなーと思えるからこそ、彼の主張も受け入れられるというか。
たけしが売れ出してからずっと、その生き様を見て、尊敬出来る部分がいろいろあるし。
事故後復活した直後は、やる気ないなーって幻滅した時もあったけど、今は元気なのが嬉しい。
絵の方で売れ出して(?)から、変に気取ってる片岡鶴太郎がこの本を書いたとしたら、
全く同じ内容でも、「お前に言われたくないっ」って気持ちが先に立って、
パラっと見るだけで読まなかった気がするし(^^;)。

そしたらこの本の最後の方にも、同じ事を言ったりやったりしても、下品になる人と、
ならない人がいる・・・なんて話が書いてあって、自分の上記の気持ちにどんぴしゃりだった。
その人の生き様や考え方、それがにじみ出て下品や上品を感じさせるんだろうなーと思えた。

興味深く読んだのは「夢」の章。
「夢は叶えたら終わる」って話。
プロ野球選手になりたい!ってなれちゃったら、夢はそこで終わり、先が無い。
叶えられないから夢なのであって、人は2番とか3番目の望みを叶えるのが一番。

その上で、最近の「夢を持つことがいいことだ」って教育や、「自分探し」「自分には何か才能がある」
という風潮をちくり。
「自分に何も無いことを認めたくないから、ずっとあるわけが無い宝探しをしている」と厳しい。
「夢を叶えよう」「夢に向かって努力することがいいことだ」って教育されてきたやつが、
夢が叶わない、先が無いと知って、やけになって世間を恨んだりするのは当たり前だ・・・とも。
「身の丈にあった生き方」が一番いいと、たけしは言う。

昔の下町の話も新鮮だった。
昔の下町は人情味あふれてたなんて嘘っぱちだ、閉鎖的だった、村だったと言う。
仲間には義理堅く親切で結束は固いけど、それ以外に徹底的に無視。
新しい寿司屋ができても、今までやってる寿司屋の手前、誰もそこには行かない、だから潰れる。
仲間にはご飯を食べてけなんて言うけど、知らない人間に泊まっていけなんて言うことはあり得ない、
そういうすごく閉鎖的な社会だったと。

以前読んだアマゾンの未開部族「ヤノマミ」の話で、その閉鎖性が印象に残ったけど、
それと通じるものがあった。

「老醜」については共感。
老いてから醜くなるのではなく、中年以降の生き様が出るんだと。
これは本当にそうだと思う。
だいたい、中年くらいになると、性格って大きく変化ってしない。
愚痴っぽい人は、そのまま愚痴っぽく、ひがみっぽい人は、そのままひがみっぽく歳をとる。
歳をとると、そういう本質的な部分が前面に出てくるので、表面を取り繕ってそういうのを隠してた人は、
醜く老いるんだと思う。

素敵に歳をとってるなーって思う人って、自分をしっかり持ってるだけじゃなく、
周囲にはいつも感謝してる。
自分をしっかり律してるけど、他人には寛容、そういうお年寄りはすごく品があるし、
これって歳をとってなれるものじゃなく、きっとそういう風に生きてきたんだなーって思える。
心根がよくて、素直に生きていた人も、多少わがままでも、愛されるお年寄りになる。
逆に、表面では人当たりがよく、いい人に見えていても、心の中で、人をけなしたり、
恨んだり、妬んだり、そういうのが強い人というのは、歳をとるとその悪い部分が見えてくる。

自分もどんどん歳をとって思うけど、情報処理能力とか状況判断能力とか、
自分を抑える能力とか、そういうのが徐々に弱まってきてる。
もっと歳をとれば、もっとそういうのが弱くなって、自分の本質的な部分が、
他人からもより見えるようになるんだろう。
なので、なるべく寛容に、うじうじせず生きようって最近は心がけてる>なかなか難しいけど。
上品な生き方をしているお年寄りって、歳をとってもみんなから慕われてて幸せそうだし。

共感できる、できないは別として、面白おかしいエピソードを混じえ語られるたけしの「上品」「下品」に
関する考え方は、いろいろ考えさせられるものがあったし、面白く読めました(^^)。
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