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「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」時間SF傑作選:テッド・チャン、プリースト、ボブ・ショウ、ワトソン・・・名作揃い♪ [本:SF]

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

  • 作者: テッド・チャン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: 文庫
7.5点

大好きだけど寡作なテッド・チャンの短編が収録されていたので読みました。
でも他の作品も粒ぞろいで読んでよかった~と思えた一冊(^^)。

・「商人と錬金術師の門(テッド・チャン)」-中世(古代か?)アラビアを舞台にした、
時を行き来できる門にまつわる話。
テッド・チャンの短篇集「あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)」(傑作!)でも感じた、
説話っぽさを持ちながらも、切なくて、優しい人間ドラマと、摩訶不思議なタイムトラベルのアイディアが
うまく絡んでいる作品。
テッド・チャンらしい、雰囲気が楽しめて満足♪

・「限りなき夏(クリストファー・プリースト)」-写真のようにある一瞬を凍らせる凍結者達。
それから逃れられた主人公が望む事は・・・。

・「彼らの生涯の最愛の時(イアン・ワトソン&ロベルト・クアリア)」-最愛の人を失い、
彼女と合うため過去に行く研究をする主人公。その運命は・・・。
「イアン・ワトソンはやんちゃ」と解説に書いてあったけど、これを読むと、本当にそうだ!と納得。
いい話なのに、笑えちゃうという作品。

・「去りにし日々の光(ボブ・ショウ)」-光が通るのに何年もかかり、過去の情景を映し出すスローガラス。
それを題材にした作品。ボブ・ショウは、人間の機微を書くのがすごくうまく、この作品も、
スローガラスというアイディアと、それにまつわる人間の悲しいドラマがうまく融合している。
スローガラスにまつわる話を集めた「去りにし日々、今ひとたびの幻 (1981年) (サンリオSF文庫)」に
収録されていた作品で、数十年ぶりに読み直しました。

・「時の鳥(ジョージ・アレック・エフィンジャー)」-大金をかけて過去の「アレクサンドリア図書館」に、
観光旅行にでかけた主人公。そこで見たものは・・・。とんでも系かな。

・「世界の終わりを見に行った(ロバート・シルヴァーバーグ)」-未来への観光旅行の話。
観光旅行で見られる地球の終わりより、登場人物を取り巻く社会情勢の方が怖い作品。

・「昨日は月曜日だった(シオドア・スタージョン)」月曜日に寝て目覚めたら、水曜日だった。
消えてしまった火曜日はどこに?不条理ものだけど、描かれる世界が面白い♪

・「旅人の憩い(ディビッド・I・マッスン)」-激しい戦闘が繰り返される前線。しかしそこを離れるほど、
時間の流れが遅くなっていく・・・という設定の作品。
不思議な魅力を持った作品で、かなりインパクトがありました。

・「いまひとたびの(H・ビーム・ハイパー)」-戦闘で意識を失った主人公は、
13歳の頃の体に意識だけが戻っていた。未来を知っている彼が行おうとしたのは??
割りと素直な展開のタイムトラベルもの。

・「12:01PM(リチャード・A・ルポフ)」-「1時間」という時間を延々とループするようになってしまった世界。
主人公だけが、そのループの記憶を持っている・・絶望の中であがく主人公の姿が悲しい。

・「しばし天の祝福より遠ざかり・・・(ソムトウ・スチャリトクル)」-毎日、全く同じ行動をとる
「24時間」が繰り返される世界。人々はそのループの記憶も持っている。
2時間だけ休息時間があるのだが・・。

・「夕方、はやく(イアン・ワトソン)」-毎日朝から夜までの間に800年以上の人類の歴史を繰り返す世界。
朝は掘っ立て小屋だったのが、夕方にはテレビが・・・。
イアン・ワトソンらしい、破天荒なアイディアに満ちた作品。

・「ここがウィネトカなら、きみはジュディ(F・M・バズビイ)」-表題作。
意識が過去にも未来にもタイムスリップし、自分の人生を細切れに生きている主人公。
最愛の女性と再開したことで彼の運命は・・・。

最初の4作が、ロマンス系の時間SFだったので(ラブロマンス嫌い)、どうかなーと思ったけど、
どれも単なるメロドラマにはならず、時間のアイディアをしっかり生かしている展開でよかった♪
アイディア主体の物、面白い世界観を見せてくれるもの・・・バラエティに飛んでいたし、
どれも粒ぞろいで、面白く読めました。
宇宙物に比べ壮大さはないけど、難解なタイムパラドックスものは無く
(その辺期待するとがっかりするかも)、時間SFが好きな人なら気軽に楽しめるはず♪
古い作品も多いので、ちょっと古典的すぎるかなーと思えるものもあったけど、
古くても未だ魅力を持ち続けている作品もいっぱいです(^^)。
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