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「図説 神聖ローマ帝国」菊池 良生著:薄い本だけど、内容は濃い! [本:歴史]

図説 神聖ローマ帝国 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 神聖ローマ帝国 (ふくろうの本/世界の歴史)

  • 作者: 菊池 良生
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2009/06/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7点

ヨーロッパ中世史の「神聖ローマ帝国」。
最初知った時思ったのは「何でドイツにあるのにローマ?」。
有名なハプスブルグ家とか、皇帝争いとか、イタリア王やスペイン王と兼任とか、金印勅書・・・とか、
ブツブツとキーワード的な事は知ってても、なーんか、
もやもやよくわからない「神聖ローマ帝国」について、
ちょっとしたつかみになればと思って読みました。

でも、この本「図説」ってタイトルから簡単そうなイメージを持つけど、
「ちょっとしたつかみ」ではなく「かなり詳しい内容」。
「狭く深い」というか。
これを読むと、ドイツが何故地方分権なのかとか、神聖ローマ帝国の皇帝になる意義や、
神聖ローマ帝国存在の意義、中世ドイツはプロテスタント主体だと思っていたけど、
そうでも無かった事とか・・・、神聖ローマ帝国の内部や特徴がよくわかる。
それだけではなく、その周辺国との関わり、宗教改革の影響、30年戦争や、7年戦争・・・・
神聖ローマ帝国の影響という視点から、中世ヨーロッパの大きな流れがわかって面白かった。

ただこの本、ザクセンを中心に神聖ローマ帝国を追っているので、王道神聖ローマ帝国本でもない。
また、序章で取り上げられているヴェッティン家以外にも、ザクセン王を出した家系がいっぱい、
名前似てる、わかりにくい、他の諸侯もいっぱい絡んでくる・・・名前似てる、わかりにくい・・・と、
読んでて何度も何度も人物とか家系(家系が分裂したり)とか、治めている地域とかを確認するはめに。

ほとんど予備知識の無い外人さんが、日本の戦国時代の各藩の藩主がずらずらと
たっくさん出てくる歴史書を読んでる状態・・・って感じかな?
馴染みが無い名前が多かった上、馴染みがある名前は、○○1世、○○2世・・・みたいな感じで、
忘れた頃に、また出てくるし、同じ人なのに、国が変わると名前が違ってたり(カール5世とか)、
とにかく諸侯の名前に苦労しました。

ドイツは、大きな地区や都市なら、どの位置にあるかそこそこわかるけど、
ポーランド、チェコ、ハンガリー、オーストリア・・・なんかも入ってくるので、それも、
図説を確認しながらの作業に。

著者が日本人なので、例えなどはわかりやすく面白かったし、
内容的にもかなり充実してたけど、読むのが大変だった。

後、昔学生時代に読んで辟易した大学教授が書いた学術書を思い出す、
わかりにくい言い回しが、多かったのも気になった。
これだけは「図説」なんだから、もうちょっと平易な表現を使っても・・・とか思ってしまった。

でも「神聖ローマ帝国」を知るとっかかりになったことは確か。
中世ヨーロッパのパワーバランスとか、国同士の軋轢(特にドイツ側から見たフランス←悪いヤツ)、
国益の為ならイスラム教国と組んでウィーン包囲網を許しちゃったフランス、
自分の領地の利益の為、自国を裏切りフランスと組んじゃったドイツ諸侯・・・など、
当時の複雑な駆け引きなども見えて、興味深い一冊でした。

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