「図説オーストリアの歴史」増谷英樹・古田善文著:オーストリア建国は誰も望まないものだった? [本:歴史]
7.5点
オーストリアと言えばハプスブルク家。
後は、第一次世界大戦勃発の原因がサラエボでオーストリア皇太子夫婦が暗殺されたこと。
音楽の都ウィーン。
でも、実際、はっきりしたイメージはそれくらい(^^;)。
この本の最初の方に「オーストリア共和国の建国は誰も望んでいなかった」と書いてあったことに、
興味を持ったので読んでみた。
「オーストリア」の語源となった「オスタリキ」は、996年に初めて現存する古文書に登場する。
しかし、単なる地名だし、この地域、神聖ローマ帝国の一部だったので、
統括する諸侯が変わったり、その領土も拡大したり、縮小したり、ゴチャゴチャ。
「オーストリア帝国」は、1804年、神聖ローマ皇帝フランツ二世が、
オーストリア帝国皇帝(フランツ一世)を名乗った事で、歴史に登場。
第一次世界大戦後、それまでオーストリア帝国(「オーストリア-ハンガリー二重帝国」)だった
チェコ、ハンガリー、ポーランドが独立し、残されたオーストリアは、ドイツとの統合を望んだが、
敗戦国ドイツの勢力拡大を恐れた他の国の思惑もあり、「パリ講和会議」でドイツとは別の
「オーストリア共和国」が成立したのだという。
オーストリアが思った以上にドイツ寄りだったのにはびっくりだった。
でも、元々神聖ローマ帝国の一部だったのが、ドイツの母体になったプロイセンに普墺戦争で負け、
はじかれてしまった・・という流れを知ると、納得なんだけど。
中世ヨーロッパでのオーストリア(オスタリキ)やその周辺地域の、
勢力の変化が第一章で語られている。
第二章では、すでに近代の話になり、マリア・テレジアとその息子ヨーゼフ二世の統治について。
第三章は、「オーストリア帝国」。
第四章は、フランス革命の影響。
第五章は、「オーストリア=ハンガリー二重帝国」。
第六章は、ウィーン世紀末文化と反ユダヤ主義。
第七章は、第一次世界大戦。
そして、八章からは、九章「ナチ支配下のオーストリア」他、第二次世界大戦~現代までの
オーストリアの内情を扱った章が続く。
中世ヨーロッパの動向からオーストリアの複雑な人種構成を語り、
ナチス・ドイツを歓迎した反ユダヤ主義が生まれた理由、
対外的に認識されていた「ナチス・ドイツの被害者」という事実とは違う立場から、
オーストリアの人々がナチスの反ユダヤ主義を歓迎し、ナチスドイツに積極的に協力したという事実を、
認識していく過程が、書かれている。
この本は、オーストリアの成り立ちを追う事がテーマではなく、
中世・近代の歴史を踏まえた上で、現代のオーストリア国家のありようを語る事がテーマになっている。
そういう視点は自分には目新しく、面白く読めた。
また、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の功罪(実際は、ナチス・ドイツによる侵略を歓迎した
オーストリアが、ナチスドイツの被害者であるような認識を世界に広めた)なども興味深かった。
第二次世界大戦後、永世中立国の立場をとっているオーストリアだが、
同じ永世中立国スイスとは違い、EUに加盟したり、海外派兵したり、かなりその動向も
国民意識も違うのが興味深い。
最も不思議な国の一つである「スイス」についても、何か読んで見ようと思った。
オーストリアと言えばハプスブルク家。
後は、第一次世界大戦勃発の原因がサラエボでオーストリア皇太子夫婦が暗殺されたこと。
音楽の都ウィーン。
でも、実際、はっきりしたイメージはそれくらい(^^;)。
この本の最初の方に「オーストリア共和国の建国は誰も望んでいなかった」と書いてあったことに、
興味を持ったので読んでみた。
「オーストリア」の語源となった「オスタリキ」は、996年に初めて現存する古文書に登場する。
しかし、単なる地名だし、この地域、神聖ローマ帝国の一部だったので、
統括する諸侯が変わったり、その領土も拡大したり、縮小したり、ゴチャゴチャ。
「オーストリア帝国」は、1804年、神聖ローマ皇帝フランツ二世が、
オーストリア帝国皇帝(フランツ一世)を名乗った事で、歴史に登場。
第一次世界大戦後、それまでオーストリア帝国(「オーストリア-ハンガリー二重帝国」)だった
チェコ、ハンガリー、ポーランドが独立し、残されたオーストリアは、ドイツとの統合を望んだが、
敗戦国ドイツの勢力拡大を恐れた他の国の思惑もあり、「パリ講和会議」でドイツとは別の
「オーストリア共和国」が成立したのだという。
オーストリアが思った以上にドイツ寄りだったのにはびっくりだった。
でも、元々神聖ローマ帝国の一部だったのが、ドイツの母体になったプロイセンに普墺戦争で負け、
はじかれてしまった・・という流れを知ると、納得なんだけど。
中世ヨーロッパでのオーストリア(オスタリキ)やその周辺地域の、
勢力の変化が第一章で語られている。
第二章では、すでに近代の話になり、マリア・テレジアとその息子ヨーゼフ二世の統治について。
第三章は、「オーストリア帝国」。
第四章は、フランス革命の影響。
第五章は、「オーストリア=ハンガリー二重帝国」。
第六章は、ウィーン世紀末文化と反ユダヤ主義。
第七章は、第一次世界大戦。
そして、八章からは、九章「ナチ支配下のオーストリア」他、第二次世界大戦~現代までの
オーストリアの内情を扱った章が続く。
中世ヨーロッパの動向からオーストリアの複雑な人種構成を語り、
ナチス・ドイツを歓迎した反ユダヤ主義が生まれた理由、
対外的に認識されていた「ナチス・ドイツの被害者」という事実とは違う立場から、
オーストリアの人々がナチスの反ユダヤ主義を歓迎し、ナチスドイツに積極的に協力したという事実を、
認識していく過程が、書かれている。
この本は、オーストリアの成り立ちを追う事がテーマではなく、
中世・近代の歴史を踏まえた上で、現代のオーストリア国家のありようを語る事がテーマになっている。
そういう視点は自分には目新しく、面白く読めた。
また、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の功罪(実際は、ナチス・ドイツによる侵略を歓迎した
オーストリアが、ナチスドイツの被害者であるような認識を世界に広めた)なども興味深かった。
第二次世界大戦後、永世中立国の立場をとっているオーストリアだが、
同じ永世中立国スイスとは違い、EUに加盟したり、海外派兵したり、かなりその動向も
国民意識も違うのが興味深い。
最も不思議な国の一つである「スイス」についても、何か読んで見ようと思った。
『オーストリアと言えばハプスブルク家』だそーですが、
欧州の歴史に疎い私は
『オーストリアと言えばシュワの故国』と言うイメージしかありません(笑
by コステロ (2012-01-16 09:32)
コステロさん
そういえば、シュワちゃんもオーストリアでしたね~。
シュワルツネッガー(Schwarzenegger)って姓、
考えてみれば、つづりからしてドイツ語系ですね。
オーストリアとドイツ、元々は同じ同胞だったんだからなんだなーと
改めて思っちゃいました。
で、ハプスブルク家ですけど、知ったきっかけは
ベルばらなので、コステロさんのシュワちゃんと
そんなに差は無いです(^^;)。
by choko (2012-01-16 19:14)