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「図説スイスの歴史」踊共二著:今もユニークな国「スイス」の成り立ちがわかる! [本:歴史]

図説 スイスの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 スイスの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

  • 作者: 踊 共二
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2011/08/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7点

永世中立国スイス。
それも武装中立、核シェルターも国民全員が入れる分あるという。
世界の金融のハブでもある。
EU加盟国の地図を見ると、ヨーロッパのど真ん中にあるスイスだけ加盟していない。
独自の道を歩んでいるスイス。

スイスの歴史に興味を持ったのは、先日読んだ「図説オーストリアの歴史」がきっかけ。
中世ヨーロッパって、日本の戦国時代みたいに、とにかく近隣国同士が戦争戦争。
少し前は味方だったところと戦ったり、敵と手を組んだり、新旧宗教による対立も多く、
そこにオスマン・トルコまで入ってきてるし・・・・とにかく戦国時代が何年も何年も続いたって感じ。
そして、中世の大規模な、ヨーロッパの広域を巻き込む戦争で、ピカっと目立つのが、
周囲が戦争しているのに「中立」になってるスイス。
すでに中世から中立国の立場だったとはw(゚o゚)w!と驚いたのがきっかけ。
オーストリアなどは今は中立国だけど、中世ではドイツの一諸侯だったし、
侵略したり、されたりも繰り返してた。

で、スイスは、現在でもかなりユニークな国なので、「スイス人のまっかなホント」(リンク先感想)
などを読み、現在のスイスを知ってから歴史を紐解いた方が、何倍も楽しめます。

スイスは、26のカントンという州に別れており、独自の議会、政府、法律を持ち、その自治権は強い。
アメリカの州制度と似ているけど、人口780万なので、一つのカントンはかなり小規模。
日本で言えば、県や、大きな市が政府、議会、法律を持つという規模。
そして、カントンでも、それをまとめる連邦でも、すぐ国民投票をする国でもある。
何か問題があれば国民投票、そして可決された法律で問題が出れば、また国民投票。
カントンによっては、地域民の投票の結果から、連邦政府が決めた事を守らないことすらある。
アメリカより自治権が強いらしい。
その上、スイスは、公用語がドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つ。
言葉が違うというのは、その地域同士の対立も生みやすい。
しかし、まとまっているスイス。

そういう現在のスイスに見られる事の起源は、中世ヨーロッパの時代から培われた事が
この本を読むと、すごくよくわかる。

スイスの母体になったのは、13世紀頃、自治権を認められた3つの共同体。
それが他の共同体や都市などと同盟を結び拡大していった。
当時、領主の支配下にあるのが普通だったのを考えると、かなり異例。
スイスは、成り立ちからユニークな国だったのだ。
チューリヒ、ツルェルン、ベルンなど、今ある都市の名前もすでに、この時代に出てくる。
そして、宗教改革などによる、共同体同士の闘いなど、分裂の危機を乗り越え、
今のスイスがある。

最初は、領土拡大の為、共同体で同盟を組み、他の国と組んだり、傭兵を派遣して、
他地域への勢力拡大も行なっていたが、16世紀フランスに大敗してから、
政治的に他の国の戦争に加担しないという、今も見られる中立の姿勢をとるようになったという。
ただ、面白い事に、傭兵だけは(農作物などがあまりとれなかったスイスでは、重要な資金源だった)、
派遣している。
それも、敵味方に分かれ戦っている国両方に、傭兵や資材の援助を行なっているというのがすごい。
金さえ払ってもらえばOK!というのも凄いけど、うまく立ち回っているスイスの外交も凄いと思った。

スイスの傭兵というと、バチカン市国の衛兵は全部スイス人だと聞いたことがあるけど、
スイスの傭兵の歴史が長かったのを知ると、すごく納得できる。

中世から、第二次世界大戦後まで、一つ一つのカントンの自治権が強く、
言葉も宗教も違う人々、共同体が集まってできた国スイスがしっかりまとまり、
また人の意識が「スイス人」となっていく過程というのは、とても面白かった。

ただ、薄い本なのに、中世からのスイスの歴史を詳しく追おうとしている為、
固有名詞、地名の羅列羅列羅列で、ものすごい情報量。
細かい部分は、ちゃんと消化できずに終わってしまった。
それでも、スイスという、ユニークな国の成り立ちは、国の成立・あり方の一つの形として、
とても興味深く読むことができた。
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