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「道化師の蝶」円城塔著:146回芥川賞受賞。まるで蝶のようにふわふわとした文章が心地よい♪ [本:SF]

群像 2011年 07月号 [雑誌]

群像 2011年 07月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/06/07
  • メディア: 雑誌


「群像」2011年7月号に収録されている第146回芥川賞受賞作品「道化師の蝶」円城塔を読んだ。
今回の芥川賞は、「共喰い」の田中慎弥の発言によって、円城塔氏の受賞が霞んでしまってて
悲しいのですが(田中氏本人も、申し訳無がっているらしい)、いつもより逆に注目されているとも
言えるのかも(^^;)。

円城塔の「Self-Reference ENGINE」は、私がここ数年で出会った本の中では一番好きなもの。
芥川賞受賞の「道化師の蝶」も、「Self-Reference ENGINE」を形作っていた
つかみ所のない不思議な世界観と文章に満ち溢れた作品だった♪

「旅の間にしか読めない本」についての書き出しで始められるこの短編。
その後、飛行機に乗り続けている人物の話になり、世界中を放浪しその国の言葉で
小説を書く正体不明の小説家の話、そして台所と辞書は似ているという始まりから刺繍と言葉の話へ・・・
と展開は、次々と予想しなかった方向へ移っていく。
「Self-Reference ENGINE」には、奇妙な世界、現実に近いけど常識が違う世界、
摩訶不思議な視点、様々な状況・事柄を綴った多数の短編が収められ、
一つ一つは関係なさそうに見える短編が集まり、一つの世界観を構築していた。
そして、この「道化師の蝶」でも、脈絡の無い展開は、微妙なずれを生じながらも、
どこかで繋がり合う。
そして、語られる言葉は、柔らかく曖昧で、文章自体が、ふわふわと飛び回る蝶のよう。

簡単に捕まえられそうなのに捕まらない、突然見失ったかと思ったら、また目の前に現れる、
そんな粗筋すら蝶のような物語。
とても円城塔らしい作品で、文章のセンスの良さ、イマジネーションの豊かさにも脱帽!
文章を読むのが好き!!
という人に、お勧めO(≧▽≦)O!!
円城塔の描き出す、ゆるゆるとした不思議な世界に浸りましょう♪
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