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「楽しい鉱物学-基礎知識から鑑定まで」堀秀道著:基本から載ってるけど、やっぱり難しい(^^;) [その他]

楽しい鉱物学―基礎知識から鑑定まで

楽しい鉱物学―基礎知識から鑑定まで

  • 作者: 堀 秀道
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 1999/08
  • メディア: 単行本
7.5点

楽しい鉱物図鑑1・2」(リンク先感想)に続いて、同じ著者による「楽しい鉱物学」を読んでみました。

今回は、「鉱物図鑑」ではなく「鉱物学」。
特に鉱物鑑定、それもX線など高価な道具を使わない、普通の鉱物マニア向けの方法が
詳しく述べられています。

最初に、鑑定の手がかりとなる鉱物の性質として、硬さ、割方(劈開)、色、比重、
光沢・・etc.について、それぞれ詳しく。
その後に、鉱物採取・鑑定の為の道具の説明。
自作の偏光器の作り方や、分度器で結晶面を測る方法(これも自作)なども載ってます。

第四章「スーパー鉱物図鑑」では、普通の鉱物の中から10種類を選び、
具体的な見分け方などを説明している。
この章の最初に書いてあるように、これはそれらの鉱物を手元に置いて、読むとかなり参考になりそう。
載っているのは「方解石」「ざくろ石」「十字石」「沸石」「赤鉄鉱」「磁鉄鉱」「閃亜鉛鉱」「輝安鉱」
「ほたる石」。
それぞれ、鉱物の写真(白黒なのが残念)や、結晶のスケッチ、結晶のパターンなども載ってます。
結晶のスケッチは、色はわからないけど、結晶の面がよくわかり(あっこの部分も面として
数えるんだみたいな)、わかり易かった。

第五章では、鉱物の名前と分類の説明。
元素鉱物、硫化鉱物、ハロゲン化鉱物、酸化鉱物、炭酸塩鉱物、珪酸塩鉱物・・・・などの鉱物の
特徴や種類が簡単に説明されている。
特に、鉱物中最も種類が多い、珪酸塩鉱物に関しての説明は詳しく、珪酸塩鉱物の構造の
基本である珪酸四面体の配列と、鉱物の関係なども、図解付きで書いてありわかり易かった。

第六章は、水晶の章だけど、日本の鉱物採掘の歴史とか、日本の鉱物学のあり方などにも触れている。

第七章は、結晶の話で、結晶の構造や、何故、鉱物によって結晶の形が違うのか、
また同じ鉱物でも結晶の形が違ったりするのか・・などが図解付きで詳しく書いてあるし、
一番理解したい章だったんだけど、わかんない部分がいろいろ。
等軸晶系、正方晶系、六方晶系、斜方晶系、単斜晶系、三斜晶系の説明や、
結晶の一般的な形が表になってたりするけど、晶系の違いと結晶の形が、何故結びつくのか、
全然理解できない(-_-;)。
等軸晶系が、軸の長さが等しい八面体に、正方晶系が2つの軸が等しい八面体になるというのは、
なんとなくわかったんだけど、等軸晶系が五角十二面体になるのとか、他がわやや。
元々、立体図形は苦手だしなーーー(-_-;)。

第10章では、造岩鉱物として、カンラン石、輝石、角閃石、長石について詳しく述べられている。
ここは、わかりそうでわからない。
読んだ時はわかったつもりになるんだけどな~(^^;)すぐにごっちゃになる。
教科書と同じで、わかるまで何度も読むのが必要そう。

第11章(オパール)、第12章青い石(ラピスラズリ・アズライト等)の歴史、第13章万葉翡翠、
第14章鎌倉のめのうなどの章は、歴史や、文学、鉱物学などの話がメイン。
宮沢賢治の作中で鉱物に触れられた章などの引用もある。

巻末には、主要鉱物肉眼鑑定チャートなる表もついてました。

ということで、本当に基礎知識から鑑定までザっと、さらってあってとても参考になる本。
ただ、じっくり読まないとわからない部分もあったし、手元に鉱物がある(それも破壊したりいいものも
含めて)状態で読むのが一番な本。
それと、「基礎知識」と言っても、やっぱり何冊かもっと簡単な本を読んでいないと厳しい本でもありました。

また著者の思考が「鉱物学」を中心に回っていて、日本の教育のあり方とかも、
その視点から批判したりしているのが、目新しかったけど、共感できたかというと・・・(^^;)。
学校教育で、鉱物学の基礎にもうちょっと力を入れていれば、この本はすんなり読めると思うけど、
確かに、鉱物学って学校教育だと、そんなに詳しくやらないし。
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コステロ

スイマセン、見出しを見た瞬間に、思わず軽く吹きました。
「来たッ!鉱物」みたいな感じで(笑


そして『普通の鉱物マニア向け』と言う語句がツボでしたね。

ここで使われている“普通”と言う言葉は
「高価な道具等、専門的な手法を用いない」
と言う意味での“普通”なのでしょうケド、字面だけみると
「“フツーの鉱物マニア”ってなんじゃそりゃぁぁ!」と言う感じで(笑


あと
>「基礎知識」と言っても、やっぱり何冊か
>もっと簡単な本を読んでいないと厳しい本でもありました」
とありましたが、“基礎知識”を謳っているこの本よりも、
もっと簡単な本、って実際にあるモンなんですか?

で、これは鉱物に限らず、何にでも言えると思うんですが、
基礎知識とか基礎技能とかを身に付けようとする際に、
「テキストだけ」ってのは本当にキビシイですよね。
最低でも動画解説くらいないと、って。
by コステロ (2012-10-07 10:05) 

choko

コステロさん

「うおおお、隙をついてくるのが上手い!!」と
コメント読んで思っちゃいましたよ(^^;)!

「普通の鉱物マニア」とか「基礎知識」の部分、自分でも書いてて、悩んだ部分です。

「普通の鉱物マニア」、コステロさんご指摘の通りの意味なんですが、
やっぱり表現としては、変ですよね~(^^;)。

基礎知識よりも簡単な本は、以前も紹介したような、初心者向けの図鑑ですね。
写真いっぱいで、写真がキレイで、説明も簡単なヤツ。
「ルビーとサファイヤは同じコランダムという種類です」みたいな、
鉱物トリビアに近い説明がサラサラっと載っているようなものかな。
ただ、コステロさんも指摘しているように、テキストだけは厳しいですね。
鉱物の場合、実物見ないと・・・でミネラルフェアに行ったんですが、
ミネラルフェアは、ある程度知識無いと厳しかったという・・・。
鉱物博物館みたいなのが無いかなーと思ったんですが、
それも少なくて・・・・。
本はいろいろ読んでますが、登山で言うと、まだ山登りの準備してるところで
足踏みしてるって感じです(^^;)。

コステロさん、剣道の試合、これぐらい巧く相手の隙を付けば、上位入賞間違い無し??(笑)。
by choko (2012-10-07 16:40) 

コステロ

やっぱり何事においても「基礎の習得」は直接人から教わるのが一番。

なのでミネラルフェアなどに行ったら、そこで独習するのではなく、
ブースなどを開いている人にイロイロ訊いてみてはいかがでしょうか?
たぶんここぞとばかりの勢いで懇切丁寧に教えてくれると思いますよ(笑

私も剣道のコトとかで他人に訊かれたら、
相手が「や、別にそこまでは訊いてないッス」って言うくらいに
思わず熱く語っちゃいますから(笑
by コステロ (2012-10-08 11:20) 

choko

コステロさん

いやー、それがですね~、ミネラルフェアで少しは聞いたんですが、
解答の難易度が高くて(^^;)。
原子記号を習っていない小学生に、物質の構成要素を説明しようとしたら、
まず、原子とかどんな種類があるかとか説明しなきゃいけないじゃないですか。
あとは、数字の概念すら怪しい子、数字すらやっと読めるようになった子に、
分数の計算の説明するとかみたいな。
そういうレベル差があるんですよ(^^;)。
鉱物学の基礎って、かなり難易度が高いというか。
で、最低限の基礎知識が無いと、説明してもらっても、全然わからない・・って感じです(^^;)。
by choko (2012-10-08 12:04) 

コステロ

あぁなるほど、そーきましたか(笑

こちらが相手のハナシを理解すれば喜んで饒舌になるケド、
いったん「はぁ・・・」みたいな態度を取っちゃうと、
内心『チッ、シロートか』みたいに思ってるのが見え見えで、
態度が変わっちゃうヤツってのも、なかにはいますからね(笑

まぁ、そこまで偏狭なヤツばかりじゃないにしても、
やっぱり敷居は高いみたいですね。
by コステロ (2012-10-09 08:47) 

choko

コステロさん

>内心『チッ、シロートか』みたいに思ってるのが見え見えで、
>態度が変わっちゃうヤツ
うーん、それとも違うような(^^;)。

とにかく、基礎部分が膨大なので、その部分から説明しようとしたら、
何時間もかかる・・・みたいな感じでしょうか。
なので、普通に説明してもらうのは無理というか。

例えば「この石キレイですね」「カバンサイトですよ」「カバンサイト??」
となると、もし丁寧に説明して貰ったとしても、
「カルシウム、バナジウム、シリコンからできている珪酸塩鉱物で、結晶は斜方晶系で針状が多く、産地は・・・、発色はバナジウム由来で、同質異像にはペンタゴナイトがあり・・・」と、
言う感じの説明になっちゃうんです。
はっきり言って、基礎知識がなくて、この辺説明して貰ったとしても、
どこをどう質問すればいいのか・・って感じで、自分の方から
より質問できないんですよ(^^;)。

簡単に説明してもらえれば「色がキレイで人気がありますよ」って
感じになると思うのですが、それだと知りたい事には全然近づけないし。
そして、鉱物の種類は膨大・・・全く同じように見えて、
違うものも多いし、結晶の状態によって、同じ鉱物でもレアだったり
そうじゃなかったり、全く違うように見えて同じ鉱物だったり、
もうどこから手をつければって感じです。
まぁ敷居が高いのは確かです(^^;)。
by choko (2012-10-09 09:24) 

choko

コステロさん

追記です。
>「カルシウム、バナジウム、シリコンからできている・・・
なんて、長い説明を、相手の知識の程度もわからないのに、
実際してくれることは無いのに、このレベルで答えて貰わないと
自分はわからないというのが問題ですね(^^;)。
上記したように、もし丁寧に説明してくれる人がいても、
きっとわからないこと多いし、質問の切り口を自分で
まとめられるほど知識が無いってのがダメダメです。

先日のミネラルフェアで、産地も重要なポイントなのを知りました。
「◯◯産のにしては、結晶が大きい」とか「色が珍しい」とか
(同じ鉱物でも産地でかなり違いがあるようで)。
そういう鉱物の一般常識すらまだわかってないんですよ(^^;)。
by choko (2012-10-09 10:06) 

コステロ

私から言わせれば、それはもう単なる“知識”ではなく
立派に“学術”の領域ですわ(笑
by コステロ (2012-10-10 09:44) 

choko

コステロさん、

そうそう、ナイスコメント!!です。
私が言いたかったのはそれだ~。

単なる「知識」を得ようと思っても、鉱物の場合、最低限の知識でも
「学術の領域」に入っちゃうんです。
鉱物の本を読みだした時、もっと簡単に基本くらいわかるかと
思ってたら、上記のような感じだったので、全然基礎知識が得られず、
いろんな本をだらだら読んでるって感じです(^^;)。



by choko (2012-10-10 17:47) 

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