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「宝石・鉱物 おもしろガイド」辰尾良二著:宝石を買うならどんなのを選ぶべきか、から鉱物トリビアまで、面白い! [本ノンフィクションいろいろ]

宝石・鉱物おもしろガイド

宝石・鉱物おもしろガイド

  • 作者: 辰尾 良二
  • 出版社/メーカー: 築地書館
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 単行本

8点

宝石や鉱物について、わかりやすく、面白く解説した一冊!
宝石・鉱物関係はいろいろ読んだけど、ちょっとしたトリビアが多いのと、
読み物としても面白く、とても楽しんで読めました♪

宝石コレクターと鉱物コレクター、傍目から見ると同じように見えるけど、内実はかなり違う、
というのが、最初にはっきり書かれています。
宝石コレクターは、お金が無いとかなり難しい。
この著者の場合は、鉱物コレクターメインだけど、宝石の方もそれほど高くなければ
コレクションしているようで、鉱物コレクターの気持ちと、宝石コレクターの気持ちその両方が、
いろいろな所に顔を出しているのが、面白い♪

「婚約指輪として持っていたら宝石通をうならせることができる」と著者が評価している、
稀少な「バライバトルマリン」(色味がイマイチなのは、流通量もある程度あるようですが)。
他人が持っていないものを持つという優越感、満足感で、この宝石が欲しい!と言い切った著者。
しかし、別の章では「ラピス・ラズリ」は原石の方が美しく、こぶし大でも2万円ほど。
持ち歩ける大きさではないけど、人様に見せる必要はなく、毎日手をとって頬ずりして
1人楽しめばいい・・なんて事を書いてたりします。
本人も、そう思ったのはこの石くらいらしく(『宝石は「いかに自分の虚栄心を満足させられるか」の
付加価値だけで成り立っているのに、人に見せなくていいと思うなんて!』と自分でびっくりしてた)、
ご神体とラピス・ラズリを同じようなものだとまとめてたりします(笑)。

一般的に、鉱物に興味がある人よりは、宝石に興味がある人の方が多いと思います。
数百万もする宝石は買わなくても、数万~10万程度の宝石を買おうか、
でも本当に、その価値があるの???いい品なの?と悩んだ人は多いはず。
そんな疑問に、答えてくれる本でもあり、各宝石章には、その宝石毎の価値の基準やチェック点、
大まかな値段(8年ほど前の本なので、変動はあると思いますが)も書かれています。
価値の基準は、独断と偏見に満ちている部分もありますが、
ちゃんとそういう部分は、そう断ってあります。

また業界裏話とまでディープじゃないけど、「シトリントパーズ」のように、トパーズでは全く無い
「シトリン」(黄色い水晶)を、トパーズと間違うようなネーミングで売っている、
店員すら、「シトリントパーズ」を、水晶ではなく「トパーズ」と思っていたりするなど、
宝石業界のネーミングの節操の無さと、社員の無知さなどについても触れています
(水晶に宝石的な価値はほとんどありません)。
トルコ石などは、天然物が少なく、1cmほどの指輪で20万ほど。
通常1万前後などで売っているものは、偽物、練り物などの上、本物そっくり。
通常見分けが付かない上、出回っていないので、本物を買ってもそれと分かってもらえず、
少し知っている人なら「偽物」と判断されてしまう為、身に着けていてもその価値が分かってもらえず、
「トルコ石は買わない事がベスト」とまで言い切ってます(^^;)。

ちなみに水晶玉って、本物は直径10cmを越えるものは100万くらいするらしい。
水晶玉ってよく売っているけど、普通見かけるのは、全部ガラスらしいと、この本で知りました
(でも、店員さんも「水晶」だと信じて売ってたりするとか)。
大きな水晶玉に関しては、複屈折を使った有名な見分け方がありますが。

宝石を加熱・放射線・浸透などの処理をして、耐久性を高めたり、色を変えたりする
「エンハンスメント処理」(天然石としての価値は無くなると著者は断言してます)についても、
耐久性などの問題で必要な宝石、流通しているのはエンハンスメント処理されたもの
ばかりの宝石など、これも各宝石の章で語られています。

また鉱物コレクターの側面も語られ、黄色いベリル「ヘリオドール」など幾つかの鉱物に関しては、
「ケースに入れてその美しさをニヤニヤ楽しむ」なんて表記も。
宝石店で買うべき石、ミネラルフェアなどで安くゲットできる石なども書いてあります。

それに、宝石の特徴もかなり分かりやすく、面白い例えで語られていたりするのも楽しい♪
「硬い」の代表、ダイヤモンドは、「傷つきにくい」だけで、「割れにくい」のとは違うというのを、
「試しに(ダイヤモンドを)ハンマーでボンと叩いてみて頂ければ、思った以上に木っ端微塵に
砕け散るそのさまに、目の玉が飛び出るというステキな体験もできる」なんて書いてあるし、
「やったことは無いけど、ダイヤモンドはボーボー燃える」なんて表現も。
ちなみに、割れにくいのは「翡翠(硬玉・ジェダイト)」だそう。

一つだけこの本の難点を言えば、宝石・鉱物の写真がほとんど無い事。
最初の方に、4ページほど、カラーで一般的な宝石・鉱物が紹介されているだけ。
読み物中心だからこそ面白いのだろうけど、オレンジとピンクが交じり合ったようなコランダム
「パパラチャ」や、空の青とも海の青ともつかない色の「バライバトルマリン」
(著者の表現では「青色発光ダイオード」)など、本書の中で、
興味をすごくひく紹介をされているものの多くは、自分でネットなどで探さなければいけない。

でも、笑えて勉強にもなって、実用性もある、かなりお勧めの本です(*^.^*)!
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