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「アンティシペイション」クリストファー・プリースト編纂:ワトスン、バラード、オールディス、デック・・・個性溢れる短編集♪ [本:SF]

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アンティシペイション (サンリオSF文庫)

アンティシペイション (サンリオSF文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: サンリオ
  • 発売日: 1987/03
  • メディア: 文庫
8点

1978年クリストファー・プリーストが編纂した、英米SFの旗手8人の作品を集めた短篇集。
ワトスン、シェクリィ、ボブ・ショウ、プリースト、ハリスン、ディッシュ、バラード、オールディスと、
その顔ぶれがすごいですね~!
そして、各自その持ち味が炸裂してて、かなり個性的な作品の揃った短篇集になってます。
古き良き時代の、サイエンス・フィクション、そしてスペキュレイティブ・フィクションを味わえます(*^.^*)。

「超低速時間移行機」イアン・ワトスン著:突然現れた「超低速時間移行機」(タイムマシン)。
搭乗者は明らかに精神に破綻をきたしていた。
しかし、時間と共に、その搭乗者は時間を逆行しつつあるのが、確認でき・・・・タイムパラドックス物の名作!

「隣は何をする人ぞ」ロバート・シェクリイ著:処分市でエディが買った双眼鏡。
それは、研究室から間違って持ちだされたらしい、特別な能力を持つ双眼鏡だった。
幻想小説的なSS。

「闘技場」ボブ・ショウ著:石に模した「地球外頭足類地下石状形態」(E.T.セフアロボダス・
ペトラフォルム)の殺しのテクニックの撮影をする為、ある惑星に降り立ったハーベンとその恋人。
前の撮影隊がこつ然と姿を消した事への不安感と大金への期待。
ペトラフォルムの罠にかかった獲物の悲痛な姿。
「助けるべき」と抗議する恋人の意見を、ハーベンは「意味が無い」と切り捨てるが・・。
未知なる惑星と生き物を題材にしつつも、人間の心の機微がメインにあり、
ちょっとシニカルな風刺があるのがボブ・ショウらしい。

「拒絶」クリストファー・プリースト著:壁を挟み、長年続く戦争。
その国境警備隊に勤務する青年は、ある作家に出会った事から、壁を登ろうとするが・・・。
「壁の向こうの敵も自分たちと同じ」という戦争風刺が入った作品。

「美しき青い鳥」ハリイ・ハリスン著:石油が枯渇し、あらゆる石油製品が高騰し、
パンティストッキングが黄金より値打ちがある世界。
CIAの任務によりイタリアに潜入することになったジュリオ。
スパイ物のように思えて、そうではなく、その世界観を楽しむような作品・・って感じかなぁ。

「老いゆくもの」トマス・M・ディッシュ著:「老いていくもの」と「不死人」が共存する世界。
その日常の一コマを切り取ったような作品。

「ユタ・ビーチの午後」J・G・バラード著:第二次世界大戦で激戦の場となったユタ・ビーチを
訪れたデヴィットは、遥か昔に死んだはずの衰弱した若いナチスドイツ兵と遭遇する。
彼は、そのドイツ兵を救おうとするのだが・・・。
古典SF的な作品。

「中国的世界観」ブライアン・W・オールディス著:資源は枯渇し、「中国的世界観」に
支配されつつある地球。
宇宙空間には、いくつもの居住空間「横道惑星」が作られ、そこには「西洋的価値観」が残っていた。
確率により、その人の遭遇する出来事を予測する機械を作り上げたフェリシティは、
その機械を売り込む為に、地球に降りることになるのだが・・・。
「科学的原理」「合理性」と「中国の易」の比較は、西洋と東洋の価値観の比較でもあり面白い。
「国土を強姦したアメリカ」と、「国土に使役し、贅沢を否定し、『貧困』を立法化しようとする中国」
という視点に立ったこの作品、書かれたのが「1978年」で、この時代、中国はこう思われていたの
だと思うけど、今の中国には全く当てはまらないというのが、笑えるような複雑な気持ちのような。
最後に収録され、中編くらいの長さがある作品だっただけど、東西比較だけでなく、
未来を予想する機械、物語を語るロボット、「横道惑星」の描写など、イマジネーションも豊かで、
面白かった♪

さすがに、古さを感じる部分もあったけど、全体的な作品のレベルはもちろん高く、
名作「超低速時間移行機」や、印象深い「中国的世界観」なども収録され、楽しんで読めました(*^.^*)!
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