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「不可能楽園〈蒼色館〉」倉阪鬼一郎著:〈蒼色館〉で葬儀の最中、故人の家で、起きた殺人事件と誘拐・・・バカミスだよ、ほんとに! [本:ホラー&ミステリー]

不可能楽園 〈蒼色館〉 (講談社ノベルス)

不可能楽園 〈蒼色館〉 (講談社ノベルス)

  • 作者: 倉阪 鬼一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/06
  • メディア: 新書
7点

元文字校正をしていた経歴を生かしたんじゃないかと思える、
漢字と画数の渦!的印象なホラー「文字禍の館」を最初に読み、それ以来、
「ブラッド」「鳩が来る家」「屍船」(リンク先感想)や
「夢見の家」「十人の戒められた奇妙な人々」「首のない鳥」(リンク先感想)など、
いろいろ読んだ倉阪鬼一郎。
最初は、伝奇ホラーやモダン・ホラーっぽい作品が多く、好みだったけど、
最近はミステリー始め、いろいろなジャンルの作品を書いているっぽい。
また、実験的小説、あまりにも意外過ぎるオチな小説が多く、最初は新鮮で面白いが、
同じようなテイストの小説に当たると、ちょっと食傷気味になりがちで、
その食傷気味さを強く感じた「ダークネス」、ラストがあらら~(>_<)な「ひだり」、
普通過ぎるし、怖くないホラー小説「うしろ」、作品の構成が大失敗な「恐怖之場所 死にます。」など、
後になるほど質が下がった気が。

ということで、最近ご無沙汰だった倉阪鬼一郎のミステリー「不可能楽園〈蒼色館〉」を読んでみた。

絶大な人気と美貌を誇りながら、早くに引退し、その後、長きに渡って人の前に
全く姿を見せなかった女優の死。
その葬式は「蒼色館」(そうしきかん)という、葬儀場で行われた。
外観は蒼く塗られ、館内は少し照明を落としすぎとも思えるが、葬儀を行うには
最適な雰囲気である「蒼色館」。
他に珍しい特徴といえば、出入り口が、表玄関一箇所だけなこと。
そして、往年のファンまでも集まり、感動と厳粛な雰囲気で行われた葬儀の間に、
故人の家では、2人の使用人が殺され、故人の妹である浪江が溺愛している「孫の美咲」が誘拐された。
犯人の狙いは、莫大な遺産なのか?
美学に満たされた「美しい犯罪」を求め続ける上小野田警部が、事件の捜査にあたる事になるが、
彼はずっと違和感を感じ続けていた・・・・。

「すっごくバカミス」ということで読んでみたけど、本当に、
押しも押されぬバカミスだった。
それも脱力系2段構え。

あまりに逝っちゃってて私は大好きな、マイケル・スレイドの作品などを、
愛をこめて「バカミス(オバカなミステリー)」と称する。
ただ、この作品、私の好きな「バカミス」のタイプである、あまりにも懲りすぎたり偏ったりしたために
異様な雰囲気になってしまっている「バカミス」ではなく、
意図的に娯楽性、意外性を狙っているタイプの「バカミス」。

「バカミス」のための「バカミス」というか、「バカミス」としか言いようがないというか・・・。
とにかく、「バカミス」をしっかり書こうとして書かれた「バカミス」。
話のネタとしてはそれなりに面白いし、なんで誘拐事件の捜査中に、ミステリー小説談義とか、
マラソンの話で盛り上がれるんだ??と感じたことへの違和感は解消されたし、
「うわっ、そうだったのか(-"-;A」と思った部分もあったし、
その無駄過ぎるほどの凝り方には脱帽だったけど、
ストーリー・内容的には中の下くらい。

ストーリーとか置いておいて、馬鹿馬鹿しい程手間がかかったろう仕掛けを、
ウヘーw( ̄△ ̄;)w!!!と、驚いて感心する本。
馬鹿馬鹿しいのが好きな人は、すごく好きなはず。
私も、馬鹿馬鹿しいのは好きだけど、ちょっと狙い過ぎかなーと引いた。
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