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「のぞきめ」三津田信三著:あの隙間から、この隙間から、何かが覗いている気がする・・・そういう怖さを味わえる小説 [本:ホラー&ミステリー]

のぞきめ

のぞきめ

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/11/30
  • メディア: 単行本
7.5点

作中作家「三津田信三」が他人から聞いたり、調べたりした話を
小説仕立てにまとめたという構成の長編ホラー。
三津田信三の作品ではお馴染みの、くどいほどの前置きは相変わらず健在だけど、
長編ホラーなので、それは最初と最後だけで、許容範囲と言えば許容範囲。
それに、ここでタイトルにもなっている「のぞきめ」の不気味な存在が提示されているし。

今回の題材は、「誰かに見られているという恐怖感」と「憑き物」。
狭い隙間から覗く不気味な目の悍ましさ、誰もいないはずなのに視線だけを感じる恐れ、
夜中にシャンプーしていて、後ろに誰かいるような気がする恐怖・・・・多くの人が、
ゾっとするだろう事がメインなので、かなり怖いです。

2部構成になっており、第一部は「覗き屋敷の怪」。
鄙びた貸し別荘でバイトをすることになった大学生4人。
そこの近くには「名知らずの滝」という、巡礼者が訪れる霊験あらたかな場所もあった。
貸し別荘の管理人から、地図に無い道には勝手に入らないようキツく、
言い含められた4人だったが、好奇心から、森の中に入り込んでしまう。
森の奥で見つけた廃村。
そこで彼らは恐ろしい体験をする・・・。

第二部は、その廃村が舞台になった「終い屋敷の凶」。
日本の伝承を研究していた大学生四十澤。
彼には、同じ研究をする鞘落惣一という親友がいた。
故郷のことも家族のこともほとんど語らない鞘落。
しかし、彼はある時、彼の生まれ故郷である「侶磊村」(ともらいむら)の話をしてくれる。
弔い村と不吉な名前でも呼ばれる山奥の山村。
そこの村で、鞘落家は2番めの資産家ながらも、村人から忌み恐れられているという。
その理由は過去の伝承、近年起きた事件・・・・・いろいろあるという。
一緒に故郷を訪ねると約束した矢先、鞘落は、不可解な死をとげる。
死の直前、彼は何者かに怯えるように周囲を気にしていたという。
彼の墓参りの為に「侶磊村」を訪れた四十澤は、奇怪な村の風習を目撃する。


第一部「覗き屋敷の怪」は、現代版怪談、伝承伝奇ホラーの雰囲気満点で、かなり面白かった。
何者かに見られているような気がして背筋が泡立つ感じが、伝わってくるし、
中盤から後半へかけての盛り上がりもすごくいい。

ただ、謎解きも入る第二部「終い屋敷の凶」の方でかなりパワーダウン。
前半の、村の異様さ、鞘落家の雰囲気などは、怖いし面白いんだけど、
「謎解き」部分に入りだした頃から、主人公である四十澤の行動に無理が。
大人しく内気な性格なのに、研究の事となると、突然「好奇心」を原動力にすごい行動力を発揮。
恐怖にかられる度に「好奇心に負け」と無茶とも思える行動を起こす
(どこかで見たようなキャラクター設定だ(^_^;))展開が続くのが不自然というか、
そういう行動が自然に思えるほどに、四十澤を描ききれていない。
ネタバレになるからラストは書かないけど、突然方向転換してしまったという印象も強かった。
第一部と第二部中盤くらいまで面白かったので、ラストが中途半端な印象になったのが勿体無い。

でも、怖さはかなりあるので、三津田信三が好きな人は、満足できるんじゃないかと思います♪
夜中に頭を洗うのが怖くなる??
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コメント 4

コステロ

ビビりながらの洗髪などに関しては
私も以前言及したことがあります。
ttp://trackback.blogsys.jp/livedoor/monsieur_costello/52009926
ナカナカ面白そうな本だなー、と思いましたが、
私は読まない方がいいかもしれませんね(笑

ホラー系にありがちな“登場人物の無分別な行動”に関する、
その動機付けって、書き手の側からしたら本当に難しいんでしょうね。
「これはどー考えても手を出すべきじゃァないだろ」とか、
「んなこたぁいいからとっとと逃げろよ」とか、そーゆー場面で、
一番楽で無難なのが「好奇心」ってコトなんでしょうか、
私も何度かそのテの作品を目にしたことがあります。


でまぁそれはそーと
1日おき更新の完成おめでとうございます。
今年に入ってから「鉱物モノ」が出て来てないのが意外でしたが(笑
by コステロ (2013-01-30 05:48) 

rudiesgirl

久しくホラー系の本から遠ざかっていたので
これは、是非とも読んでみたいです。(*^_^*)

by rudiesgirl (2013-01-30 11:24) 

choko

コステロさん

そそそそ、実はこれを読みつつ、コステロさんの該当記事を思い出してました(笑)。
第一部がその記事にピッタリ。
第二部は、謎解きで、怖さが半減しちゃってるので、きっと読んでも大丈夫です(笑)。

謎解きの為に恐怖に立ち向かうって、追い詰められた極限状態ならともかく、
そうじゃない時に、動機付けするのって難しいですよね。
そういう行動をしても不思議じゃないキャラクター付けが巧くいってるといいんですが、
第二部の主人公は、「内気で慎重派」な設定、なのに、
次々次々次々と、好奇心のみで無茶するので、とにかく違和感が。
この辺、もう少しキャラを変えればよかったのに・・と思っちゃいました。

で、鉱物ですが、読んではいるんですが、似たような感想になっちゃうので、
単にアップしてないだけです(^^;)。
あっ、でも少し熱も冷めたかも??
by choko (2013-01-30 22:40) 

choko

rudiesgirlさん

第一部が怖いですっ!!
ゾゾゾって来ますよ~!
第一部だけ、もっと膨らませてくれたら、より面白かったのに・・とも思っちゃいました。

夜中に第一部読んで、お風呂に入るのが一番お勧め(^-^)ノ(笑)。


by choko (2013-01-30 22:42) 

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