「藁にもすがる獣たち」曽根圭介著:藁にもすがりたい状況に陥った人々が落ちる罠・・・どよーんと重い [本:ホラー&ミステリー]
7点
跡を継いだ床屋が潰れ、どうにかサウナ店でのアルバイトで凌ぐ59歳の赤松寛治。
家には認知症の母親と、パートをしながらも、姑を見る献身的な妻。
しかし、認知症の母親には、嫁の献身的な態度は伝わらない。
金銭的にも切迫している折り、バイト先の忘れ物のバックの中に大金が・・・。
刑事である江波戸良介は、暴力団郷田組に借金があり、逼迫した状態に。
「鴨」を見つけ、金を騙し取ろうとするが・・・。
FXで多額の負債を抱えた主婦庄田奈美は、夫からのDVに耐え、工場とデリヘルのバイトに励む。
そんな時、デリヘルの客と懇意になり、夫の殺害を持ちかけられる。
3人の藁にもすがりたい状況が、彼らの人生を狂わせ、そして彼らの運命が絡まり合っていく・・・。
曽根圭介は、心理描写が上手い作家なので、3人の追い詰められた状況が、
ヒシヒシと伝わってきて、読んでいるとかなり辛い気分になる。
刑事は自業自得の部分があるけれど、寛治と奈美は、普通の人が、
ほんの少し道を外れただけで、落ちてしまう不幸が描かれていて、どんより重い気分に。
どんどん追い詰められていく彼らの運命が重なりあっていく様子は、緊迫感もあり面白いんだけど、
とにかく、どよーーーーーーーーーーーんって気分いっぱいになっちゃって、
面白さより、無常感でいっぱいになってしまった。
ラストがちょっと駆け足だったのも気になる。
でも、まぁ楽しめました。
読後も、どよーんとしたけど。
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