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「移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活」高野秀行著:日本での様々な外国人コミュニティを紹介! [本ノンフィクションいろいろ]

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

  • 作者: 高野 秀行
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7点

成田にあるタイ寺院には、タイ人が集い、西葛飾にヒンドゥー教寺院は、
日本でありながら、インドにいるような雰囲気に。
沖縄県日系ブラジル人は、鶴見でコミュニティを作り、ロシア正教会では、昔ながらの祈りが捧げられ、
中華学校では、お弁当は必ず温める。

日本に移り住んできた人々のコミュニテイは、各国の文化を色濃く残し、
日本でありながら、異国の様相を示している。

タイトルは、「移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活」であるが、
彼らの食生活を通して、彼らの日本での生活や文化を紹介しているルポで、
食生活については、表面的で、それほど詳しく語られていない。
というか、著者が食について語れるほど、食に対する知識が無いって感じがした(^^;)。
キムチの「熟成の度合いで味の変化を楽しむ」要素を、日本には無い文化と評したり
(日本だって、自分で漬物を漬けている人は、同じ事を体感している)、
他でも、著者の食に対する知識の浅さが見える表現がちらほら。

でも、国によって違う人々の考え方、日本での独自の生活などが、紹介されていて面白く読めた。

特に印象的だったのは、インド人の話。
日本にあるヒンドゥー教の寺院は、ヒンドゥーはヒンドゥー系でも、
新興宗教「ハレークリシュナ」のものばかり。
それが「ヒンドゥー教寺院」を名乗っている。
日本で言えば、天理教などが「仏教寺院」を名乗っているようなものと、著者は言う。
日本人なら、これは「仏教ではない」と行かないだろうが、インド人は気にしない。
それについてあるインド人に「インド人は寛容だ」と伝えると、
「インド人は『寛容』なのではなく、『排他的ではない』だけ」と答えたという。
「寛容」は「相手が間違っていても許す」態度、
「排他的ではない」は、「いろんな考え方があって、どれが正しいとか間違っているの
ではなく、どれも正しいことを理解する事だ」とのこと。

以前、別の本でインドのことを読んだ時、高貴だと崇められるグルが金儲けに奔走するという、
日本人なら相反すると感じることをインド人が認めていて、不思議だったんだけど、
この辺の考え方から来るんじゃないかと思った。
でも、インドでは、相変わらず親族殺人(娘がカーストの違う男性と恋愛した事により、
家族に殺害される等)も田舎では多いらしく、これですんなりインド人の事がわかったわけでも
ないんだけど。

以前「だれも知らなかったインド人の秘密」(リンク先感想)を読んだ時思った、
インド人の不可思議さの答えの一つが、この本でわかった気がした。

他にもロシア正教会の事や、ムスリムに寿司好きが多い事など、いろいろ興味深い記述が。
日本のあちこちで、いろいろな外国人コミュニテイが形成されているということ、
身近に自分の知らない世界が作られていることを実感できる本で、面白く読めました。
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コメント 6

コステロ

日本人はわりと、海外に出ると現地化したがる傾向があって、
日本人同士で固まると「みっともない」とか「島国根性」とか言って、
意図的に接触を避けてみたり、
あるいは日本人同士で会話してるのに現地語使ってみたりとか、
特に一昔前はそーゆー感じのが多かったですね。

ですが、コレが現地人には逆に奇異に映るらしい。

他国に移住した人間は、その国の人間同士で集まって
華僑とか印僑のようにコミュニティーを形成するのが当たり前で、
自国の文化を守るモノだ、と言います。
日本人はなんでそんな簡単に自国の文化を捨てるんだ?って。


「日本人学校の保護者会」、要するにおっかちゃん連中の間には
「国際結婚組」と「駐在員組」とで、わりと確執があるらしいです(笑


宗教に関して言うと、ガイジンさんが「私は仏教徒です」とか言うと
大概ソーカガッカイだったりします(笑
日本じゃ仏教として認められていないのに、
ヤツら他所の国では「仏教」として布教しますからね(笑
by コステロ (2013-06-09 10:42) 

choko

コステロさん

なるほど~「郷に入れば郷に従え」というのは、
一般的に言われてる事ですが、それは「日本ならでは」って
感じなんですね。

日本国内でも、異文化をどんどん取り入れてアレンジしてしまう傾向が
強いのも、その辺からなのかもしれないですね。
まぁ、それが「日本人」って事なんでしょう。

あまりに自国の文化を捨てちゃうのもどうかなーと思いますが、
ただ華僑とか印僑のように、あまりに馴染まないのも、
トラブルありそうですよね。

それと、国際結婚組と、駐在員組の確執ってのは、どの辺でぶつかってるのか、気になりますね~(笑)。

そっか、海外で仏教徒というと、そうかが多いんですね。
確かに、自分の周囲でも、宗教の話をする人、何かを信心してるって
はっきり言う人は、ほとんどそうかですね(^^;)。
極稀に、クリスチャンって人もいますが。
by choko (2013-06-10 02:54) 

コステロ

端的に言いますと、日本人学校、特に補習校などの場合、
「どう言った家庭のためにあるのか」と言う点の意見の相違ですね。

“日本式の教育”と言うコトになるとどうしても、駐在員子弟に比べ、
国際結婚などの現地組の子の方が遅れが出ます。
となると「教育のレベルをどちらに合わせるのか」
と言う問題がまず出てきますが、どちらの側も
「我々のような家庭のためにあるのだから、
こちら側に合わせるべきだ」と言う主張があるワケです。

あとはまぁ、駐在員と言えば、
それなりの企業のそれなりの人間が多いですから
その奥様連中も「エリート意識」を持ってたりする人がいて、
一方、ガイジンと結婚した女性には、
それだけで「ミョーな優越感」を持ってる人とかがいて、
しかも「ウチの子はハーフだからカワイイ」とか思いこんじゃったりして、
それでまた勘違いしちゃったりする人がいたりして、
その辺の意識の差が学校の役員を決めたりなんだりする際に
言外に出て来るワケです(笑


ちなみに「ハーフの子は美形」と言うのはアテになりません。
西洋人の大ぶりな目鼻立ちと、日本人の小ぶりなそれと、
要するに「調合次第」になるワケで、
確かに“上手く行った時”は結構なモンになりますが、
その実、落差が激しく、コケた時は目も当てらんなかったりしますし、
実際には“コケハーフ”の方が圧倒的に多かったりします(笑
by コステロ (2013-06-11 06:21) 

choko

コステロさん

詳しい説明、ありがとうございます!!
むちゃくちゃ参考になりましたO(≧▽≦)O!!

「エリート意識」VS「ミョーな優越感」(どっちも同じ穴のムジナですね(笑)の
対立って、皮肉とか嫌味とかの応酬になりそうで怖い。
どっちも「自分の常識が世間の常識。他の考え方は
間違ってる←認めてるふりしてても、実は認めてない」
「周囲が自分に合わせるのが当たり前」って
思ってるようなタイプ多いでしょうし(^^;)。

で、「コケハーフ」には大爆笑!!
いや、それは言い過ぎ・・・・と思いつつも、大受けしちゃいました(笑)。
by choko (2013-06-11 21:27) 

コステロ

大受けしていただいたことに気を良くして蛇足でも(笑

前回「ハーフの美醜は調合次第」と述べましたが、
その調合と言うのも匙加減一つで大きく変わってしまうようで、
よって「兄弟姉妹で全ッ然似ていない」と言うコトが結構ありますね。

「上の子は可愛いのに、下の子は・・・うわぁぁぁぁ」
とかもよくあるパターンです(笑
by コステロ (2013-06-12 10:09) 

choko

コステロさん

ハーフって、こちらで見かけるのは、テレビの中が多いし、
すると、美形ばっかりなので、どうしても、ハーフ=美形が多い
って印象をもっちゃいますが、本気で違うみたいですね(笑)。

それにしても、兄弟姉妹であまりに差があったりするのは、
かわいそうですね(^^;)。
日本人でもそれはありますが、ハーフだと差がもっと大きそう・・・。
by choko (2013-06-12 22:20) 

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