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「誰も知らない「無添加」のカラクリ」西島基弘著:国が安全だと言えば安全なのか?? [本ノンフィクションいろいろ]

誰も知らない「無添加」のカラクリ (青春新書INTELLIGENCE)

誰も知らない「無添加」のカラクリ (青春新書INTELLIGENCE)

  • 作者: 西島 基弘
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2013/05/02
  • メディア: 単行本
5点

食品添加物を嫌がる人、避けたい人は多いと思う。
理由は「体に悪そうだから」。

もちろん国内メーカーの食品は、国の安全基準を守っている。
でも、本当に、国の安全基準って大丈夫なの??

アスベストの規制の遅れとか、薬害エイズとか、昔の公害病とかの印象から、
国が信用できない・・・と思っている人も多いんじゃないかと。

で、この本、そういう不安に答えてくれてるかというと、全然違って、
東京都の健康安全研究センターに勤務していた著者の視点、
「国が安全だと言ってるのは絶対安全。何で消費者は無駄に不安がるんだ」
という視点で語られているため、多くの消費者の不安には、全く答えていない内容になってます(^^;)。

発がん性なんて、強い発がん性はともかく、何十年もの間、多くの人を追跡調査する必要があり、
「国が安全だと言っているから、全く発がん性の心配は無い」なんて結果を出せる人は誰もいないと思う。
もちろん、あまりにも添加物を不安がって、あれも食べられない、これも食べられない、
何でみんなこんな危ないの食べてるの、キーー!!とかストレスをためてる方が
体には悪いとは思うけど(^^;)。

もちろん参考になる話も、いろいろあったのも確か。

例えば「もやし」の袋によく書かれている「無漂白」。
もともと、「もやし」って漂白しないものだそう。
でも、「無漂白」って書いた方がイメージがいいから、そう書いてあるんだとか。
確かに「漂白してない」んだから、嘘は書いてないというのがメーカーの言い分らしい。

「無添加」「保存料無添加」と表示されているものにも、本来何も添加されていないのが普通なのに、
敢えて「無添加」とか「保存料無添加」と書かれているものもあるそう。

保存料の代わりにもなり保存料として表示の義務が無い「日持ち向上剤」(グリシン等、
調味料としても使われる←現在はPh調整剤に変わっているらしい)を使って
「保存料無添加」を謳ったりというのも、よく行われているとか。

そうやって、メーカーがこぞって「合成着色料・保存料無添加」は安全・品質が良いと宣伝するので、
使っているのは「とても危険だ」というイメージを消費者に植え付けているとも書いている
(これはあると思う)。

最近では、保存料というのは、食品を長持ちさせる為、それだけではなく「食中毒」など
命にかかわる危険を避ける為のものでもあり、むやみに怖がるのも良くないというのも、
言われるようになってきたけど。
保存料の不使用が食品廃棄量を増やしている、そして食品のコストを上げていると
いうのも言われているし。

「天然のが安全」で「合成が危険」という思い込みについても、
天然の着色料「アカネ色素」に発ガン性が認められたり、
また合成の場合、使用料が少量で済むが、天然の場合、大量に使う必要がある、
(大量にとった場合の方が、影響が大きくでる可能性は高いんだろうな)、
そういう面を無視して、合成はダメだと頭から否定する事への疑問も書いている。

ただ、化学的に合成された「合成酢」と発酵で作られた「醸造酢」、
どちらも化学式は同じ酢酸で、醸造酢の方が不純物が多い為、口当たりがまろやかで味はいいが、
健康の為に「酢」を飲むのであれば、「合成酢」も「醸造酢」も同じ酢酸なんだから同じ!
という著者の考えはわかっても、食べ物ではないものから合成されたものへの拒否感というのは、
なかなか払拭するのは難しいと思う。

「虫」はタンパク質豊富な栄養価の高い食べ物だと言っても拒絶する人が多いように、
ちゃんと美味しく調理されても「ゴキブリ」や「ネズミ」などを食べるのを嫌がる人が多いように、
そういう生理的部分の拒否感を消すのは難しい。

著者が消費者は「安全」と「安心」を取り違えていると書いているが、
多くの消費者は食べるものに「安心」も欲しいのだ。
自分が「嫌」と思うものが含まれているものは、食べたくないんだと思う。

また着色料としては「リボフラビン」と呼ばれている食品添加物は、
サプリだとビタミンB2に、保存料として「トコフェロール」と表示される食品添加物は、
サプリだとビタミンEに、栄養強化剤の添加物「チアミン塩酸塩」は、ビタミンb1、
またペットボトル入りお茶に表示されているビタミンCは、酸化防止剤代わりに添加されているし、
「アスコルビン酸」という表記で食品添加物としても使用されているなど、
名前が変れば、ビタミンが食品添加物として利用されているという内容も。
この辺は知識として知っておくといいと思う。

この本で、「健康に気を使って食品添加物は避けている人が、サプリを飲んでいる人がいる」と
書いてあったけど、そういう人はそんなにいるのかな?
添加物はそれほど気にしてないけど、サプリは嫌って人は、知り合いに割りといるけど。
薬はあまり飲みたくない・・・って気持ちと同じなんだと思う。
確かに、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は、通常の食事から摂っている場合は過剰摂取は起きないけど、
何種類ものサプリを飲んでいると、過剰摂取になり、その場合、足りないよりとても危険というのも
あるので、サプリに頼り過ぎるのは怖いのもわかるけど(私は、たまに鉄とカルシウムのサプリは
飲みます(^_^;)、自分の食事の栄養管理を数年やった時、どうしても不足しがちだったので)。

その他、「コラーゲン入りの化粧品は意味が無い」(肌からは吸収されない、コラーゲンを
食べるのも似たようなもので、消化されて分解されちゃうからね)。
「レタスに含まれている食物繊維はかなり少ないのにレタス○個分」となぜ表記されているのか。
健康食品やサプリで食物繊維を取り過ぎるとどんな危険があるか(通常の食べ物の摂取で
摂っている限りは普通平気)。
「特定保健用食品」は薬ではないので、効果は少なく、食生活を見なおさない限り大きな効果は無い。
「コレステロール0のマーガリン」を選ぶのは、摂取量が微々たるものなので無意味。
「上白糖は漂白されていて危険、三温糖は体にいいと信じているのは間違い」
(上白糖は結晶で白いだけだし、上白糖を何度も作った後の残りで焦げた色が三温糖の色、
ミネラルは多少入っているけど、普通の砂糖の摂取量だと影響が無いほど微量
←不純物が多いので味はまろやか)。
と、いろいろおもしろい話も載ってたけど、うーん、これは無理、強引過ぎという話も。

中国の工場を1つ・2つ見学しただけで、しっかり管理されてて素晴らしかったし、
日本の検査体制もしっかりしているので、中国産は安全と言い切ったり、
発がん性は、動物実験をしっかりしているから大丈夫。
動物は人間よりデリケートだから、動物実験して大丈夫なら大丈夫みたいな話があったり。
その辺が信じられないからこそ、みな不安なんだと思うんだよね。

後、最初にも書いたけど、生理的拒否感の問題。
食べ物だって、みんな化学式で書けるものでできてるし、天然物も、工場で合成されたものも
化学式が同じだから同じってのは、なかなか受け入れるのが難しい人が多いと思う。
食べ物ではない石油から作られたタール着色料を安全だからと受け入れるのは、
もし「うんこから作られた醤油だけど安全」のがあっても、嫌なように難しいかと。

そういうのを、「なぜこんな当たり前のことがわからないんだろう」って視点で書かれても、
説得力に欠けるというか。

天然物が安全という信仰・盲信も、胡散臭くて苦手なので、その辺で面白いことが書いてあるかなぁと
期待して読んで、まぁそういうことも書いてあったんだけど、全体的には強引にまとめ過ぎかなという印象。
もうちょっと語り口が違えば、印象も違った気がするんだけど。
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コステロ

もともと漂白なんかしないモノにわざわざ「無漂白」と表記する、と言う、
もやしの件はスゴイですね!
それを思い付いた人、アタマいいですわ(笑
by コステロ (2013-10-13 10:42) 

choko

コステロさん

「無漂白」の罠にはまってましたよ、私。
もやしって普通は「漂白」するものだとばかり思ってた(爆)。
何か悔しいです(^^;)。

by choko (2013-10-14 01:58) 

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