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「マンガの食卓」南信長著:「あの肉」「小池さんのラーメン」・・・マンガの食が盛りだくさんで楽しい! [本ノンフィクションいろいろ]

マンガの食卓

マンガの食卓

  • 作者: 南 信長
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.8点

マンガで知り、それが実在するかしないかに関わらず、「食べたいっ!」と
思ったことがある人は、多いと思う。
一番有名なのは、「ギャートルズ」の「あの肉」でしょう。

マンガの中に登場する食べ物、料理を、食中心のマンガだけでなく、
小道具として「食」を生かしているマンガも含め、200点以上紹介した、「マンガの食」の集大成!

最初の章は「伝説の”トラウマ料理"がはなつ魅力」として、「ギャートルズ」の「あの肉」、
「男おいどん」の「タテだかヨコだかわからんステーキ」、「ど根性ガエルの「梅さんの寿司」、
「チビ太のおでん」、そして「包丁人味平」の「ブラックカレー」(麻薬入りで病みつき(笑))など、
心に刻まれた「マンガの料理」が、いろいろ紹介されている。

ただ「トラウマ料理」ってネーミングは無いと思う。
「心に強く残ってる」けど、「心の傷」ではない。
トラウマだったら、見るだけでも嫌、思い出したくもないし食べたくない・・・・って料理のイメージなので、
この言葉が文中に出てくるだけで違和感が・・・内容が面白かっただけに残念。
実は、著者とは感性が違うらしく、そういう違和感は、ちょこちょこ感じた。

単なる料理紹介だけではなく、「あの肉」の場合、それが商品化されたものや、
「あの肉」は「アニメ版」で登場したこと、「ギャートルズ」本編の紹介が、
「おいどんのステーキ」も当時の貧しかった時代の学生についての話、
「チビ太のおでん」の構成と、実際サークルKサンクスで発売された「チビ太のおでん」の構成など、
周辺についてもいろいろ紹介されていて読み応えがある。

その後の章も、
マンガに出てくる「美味しそう(と思える)料理」
・五十嵐大介「リトル・フォレスト」のバゲットサンド
・久住昌之×谷口ジロー「孤独のグルメ」の焼肉
・よしながふみ「愛がなくても喰ってゆけます。」の極上フレンチ
・山口晃「すずしろ日記」の金沢の寿司←山口晃がこんなエッセイを出してたなんて知らなかったので嬉しい♪
etc・・・・

「キャラクターの大好物」として「どら焼き」「ハンバーグ」「牛丼」「コロッケ」など有名処の中からは、
「小池さんのラーメン」をピックアップ。
それが生まれた背景や、トキワ荘のエピソードが。
他にも「はいからさんが通る」の「つくね」とか、「伊賀野カバ丸」の「焼きそば」とか、
うわっ、懐かしいっ!!ってのが。
「あしたのジョー」は、マンモス西のうどんが紹介されてます。

第二章では「食事シーンを描く作家、描かない作家」として、
食事シーンが多いちばてつやと、ほとんど無い手塚治虫の比較を筆頭に、
食事シーンや食の好みがキャラクターや、マンガの中の世界観に与える影響を、考察してます。
あだち充VS高橋留美子、浦沢直樹VS大友克洋・・・・etc。
諸星大二郎本人自体が、食に興味があまりなく、マンガの中でも、確かに食事が美味しく
なさそうな事や、ワンピースとドラゴンボールの対比で、ドラゴンボールが初期には、
食が美味しそうなシーンがあったのが、後半は「ドーピングと化している」なんてのが、面白かった。

「小道具としての料理」では、料理が中心ではないマンガでも、料理が小道具として
キャラクターやストーリーのマンガの奥深さを演出するのに、一役かっているマンガ、
深みを出すのに、料理を使うのが上手なマンガなどの紹介が。
・福本伸行「最強伝説黒沢」のアジフライ
・花沢健吾「ボーイズ・オン・ザ・ラン」のカップめん←こんなマンガも書いてたのか~!と思った
・渡辺ペコ「にこたま」のキムチ鍋←小道具としての使い方が上手い!が、恋愛物で、
好きそうな内容ではないのが残念(^^;)
・「グラゼニ」唐揚げチャーハン
・吉田秋生「海街Diary」のちくわカレー←途中で読むのをやめてたんだけど続きを読みたくなった
・米田達郎「リーチマン」のたらいうどん←主夫実録もの(?)。これも読んでみようかと
・荒川弘「銀の匙」の豚丼とピザ
etc・・・・。

「フェティシズムとしての食」や「貧者の食卓」の章も。
いしいひさいちの「バイトくん」の食卓は、切ないほど貧しいけど、学生時代を思い出す(^^;)。

最後の章は、「包丁人味平」「ミスター味っ子」などバトル料理マンガ列伝、
そして、「パン」の「焼きたてジャパン」、寿司の「将太の寿司」、中華の「中華一番!」、
最近では「ダシマスター」という、出汁をテーマにしたマンガまであるという、
細分化する料理バトルマンガの流れ。

そして、「トンデモ化」しているバトル漫画の筆頭として「鉄鍋のジャン!」(ちょろっとしか、
読んでないけど、読みたくなった)が紹介されている。
他に「トリコ」と「ヘルズキッチン」が紹介。

「料理人という仕事」をテーマとしてマンガとして、ブラックジャックをおおいに意識してる「ザ・シェフ」、
「大使閣下の料理人」「包丁無宿」「蒼汰の包丁」「バンビーノ」「美味しい関係」、
そしてあの「ドカコック」(リンク先感想)も。

「作るより食べる主人公」では、もう説明の必要はない「美味しんぼ」がもちろんトップに紹介。
他に「孤独のグルメ」、「孤独のグルメ」のB級グルメガイド版的な「駅前の歩き方」、
全国の駅弁を紹介している「駅弁ひとり旅」、「うなぎだけを食べるマンガ」「う」(ほんとにうなぎだけ
食べてた。これが終わった後「豚肉」を食べるマンガをラズウェル細木は連載中)など。

美味しくなさそうな食事マンガ「鬱ごはん」(リンク先感想、好き♪)が、紹介されてたのも嬉しい♪

実録物では神足裕司と西原理恵子の「恨ミシュラン」(出た時は衝撃だっし面白かった)、
「奇食ハンター」(ネタはいいけど、マンガはつまらない・・・)。

最後の章は、紹介文は短いけど、「クッキングパパ」「深夜食堂」「のんちゃんのり弁」
「おいピータン!!」・・・etc、とにかく、膨大な数の「食」に関するマンガが紹介されている。

「マンガの食卓」を読んで、思った以上に自分が読んでる「食マンガ」が多い事も実感したけど、
それ以上に「読んでない食マンガ」もたくさんあることを知った。

マンガの中の「食」の考察も面白いし、「懐かしい~!!!」って読むのも良し、
逆に「こんな食マンガがあったのか!!」と知るきっかけにもなるし、楽しんで読めました。

ただ、著者が美味しそうと紹介しているマンガの中には、全然そう思えないものも、多かった。
グラゼニの「唐揚げチャーハン」を主人公が食べてるシーンとか、
「極道めし」のおじさんがラーメンをすすっているシーンとか、
中年のおじさんが、汗たらしながら、ハフハフ、ずるずる、くちゃくちゃ・・・ってものを
食べてるシーンって、全然美味しそうに見えないんですよ・・・・・(-"-;A。
男性と女性の感覚の違いなのかな?
ある程度画面がキレイなじゃないと、美味しそうに思えない自分というのにも気が付きました。

花輪和一の「刑務所の中」は、著者は「のどか」と感じてるみたいだけど、
私には全くそう思えなかったし(^_^;)。

「食」って感覚・感性の部分が大きいから、その辺の差もあるだろうけど、
それでも、これだけ大量に「マンガの食」について集めた本なので、
必ず「自分の心に残ってる」「すごく美味しそうと思える」、
「マンガの食」と出会えそうな本です(〃∇〃)♪

マンガが好きで、食べることが好きな人にお勧め(^-^)ノ♪
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コメント 4

ちょび

マンガの食に関する本って面白そうですね。

吉田秋生「海街Diary」は食べ物のエピソードが上手だなあ!とよく感心します。時に一番最近の巻は食堂のオーナーに関するエピソードなんですよね。

包丁人味平のカレーのエピソード、子供心にパンチがありました。
by ちょび (2013-12-26 22:39) 

choko

ちょびさん

うん、これ面白かったです(^^)。
ちょびさんも、「懐かしい~!!」ってマンガや、
「これ知ってる!」ってマンガがたくさん紹介されてるんじゃないかな?

機会があったら読んでみて下さい♪

「海風Diary」、やっぱり面白そうですね~!
今度読んでみます(^-^)ノ♪
by choko (2013-12-27 00:10) 

コステロ

麻薬物質入りの『ブラックカレー』、
醤油を入れて一晩寝かせた『味平カレー』、
その他『タレーメン』『一本麺の味平ラーメン』など、
『包丁人味平』に出てくる料理は個人的に
「喰ってみたい」と思わせるモノがわりと多かったですね。
絵からはあまり旨そうには思えないですケド(笑

『美味しんぼ』は理屈先行で、出てくる料理も
「喰ったら旨いんだろうなぁ」と思いはしますが、
味平ほど惹かれないのはなんででしょ?(笑
美味しんぼは「実際に存在する料理」を扱うコトが多いのに対し、
味平はフィクション的な要素が強いからでしょうか(笑

『ミスター味っ子』の料理は全然惹かれませんね。
コレ絶対旨くないだろ、ってモンばっかりだった気がします(笑

by コステロ (2013-12-27 10:49) 

choko

コステロさん

味平の料理は、なんかこう「惹かれる」ものがありますよね~!
好奇心をそそるというか。
「ネズミ」とか「ワニ」とか、食べたことないものを食べてみたい
欲求を刺激するんじゃ??

「美味しんぼ」は、美味しいだろうと思うし、実際食べられるものが
メインですが、そこに到達するまでの道のりが遠そうで・・。
◯◯で捕れたての魚(それも捕り方とか捕る時期とかいろいろ
事細かに決まってそう、もちろん料理方法も)とか、
食材と調理してくれる人、両方とも敷居が高い。
その苦労を考えるといいやって気になります(笑)。

で、ミスター味っ子は、マンガは普通ですが、
アニメの超絶に派手で大げさな「美味しい表現」に尽きるでしょう!
あのアニメはすごかった。
どんな料理でも美味しそうに見えます(笑)。

今読んでるマンガでは「きのう何食べた?」が美味しそうだし、
レシピ付きなので、たまに作っちゃったりしてます。
よしながふみのマンガに出てくる料理は美味しそうで(〃∇〃)♪

by choko (2013-12-27 15:14) 

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