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「軍艦島入門」黒沢永紀著:ただの炭鉱の島だっただけじゃない。日本で初めての鉄筋コンクリートマンション・・他にもいろいろな特徴が! [本ノンフィクションいろいろ]

軍艦島入門

軍艦島入門

  • 作者: 黒沢 永紀
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/08/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.8点

長崎県沖に浮かぶ端島。
かつて三菱の炭鉱があった島で、島に建てられた建物の姿が、島を軍艦のように見せているため
「軍艦島」と呼ばれるようになった島。
既に閉山となり、打ち捨てられて長い年月が経ったけど、最近ちょっと流行ってる(?)、
廃墟探索などで、再び注目されてる島でもある。

「炭鉱」があった島、「廃墟がすごい!」って言うのが、本を読む前に持ってた知識。
炭鉱の島ということで、当時住んでいた人は、過酷な労働や水不足などですごく大変
(どうも「硫黄島」のイメージと被ってるらしい(^^;))だったんじゃ無いかというイメージも。

この本では、軍艦島の歴史、住んでいた人達の生活、炭鉱、そして現在の姿まで、
豊富な写真とともに、詳しく紹介している。

詳細を知ると、イメージとは全然違う事も多く、すっごく面白かった♪

まず、島に建つ建物。
狭い島に所狭しと建てられたビル。
それがこの島を軍艦島と呼ばせているんだけど、この建物の中には、
日本で最初に建てられた、鉄筋コンクリート作りの7階建「アパート」があるという。
1916年(大正5年)に建てられたその建物は、日本の団地の走りだったという。
こんな島に、日本最初のRC造りのアパートが建てられていたとは\(◎o◎)/!

その上、現在の団地の無機質な建物の姿と違い、塩害を避けるなどの理由により、
外周に木製の材料が使われていて、西洋と日本の様式が交じり合った作りになっているという。
また時期をずらして、次々と建てられた為、いろいろな姿、様式の建物が高低差のある狭い土地に、
密集して建てられていること、それらの建物が後付で渡り廊下で連結されていることなどが、
同じ建物が並ぶ本土の団地とは、全く違う、不思議な趣ある風景を作り出しているという。

ちなみに、水がないこの島は、水不足も深刻。
日本で初めて、海底水道がひかれたのも、この島だという。

狭い島に、人工地盤を造り建物を次々に建てたこの島。
緑が少なく、耕作地になるところもなかった為、日本で最も早く、
屋上に畑や田んぼなども作られたらしい。
保育園も屋上に作られていたらしいし、島の北部を埋め立てられて作られた、
小中学校は7階建てで、当時日本最大規模だったとか←公営だったけど、運営費は大半が
三菱の補助だったらしい。

また、台風被害はものすごく、海の側に建っている建物では、高波を目の前でみることができたらしい。

この島の人口が一番多かった時期は5000人以上が住んでいて、人口密度は8万以上。
現在の東京23区の人口密度が1万3千人ほどらしいので、
どれだけ人口密度が高い島だったかが伺い知れる。
また、その狭い島の中に、食堂、食料品店、雑貨店、郵便局、銭湯、医者、そして遊郭まで、
その島で生活するための様々な施設も揃っていたらしい。

そして、昭和30年初期、三種の神器と言われたテレビ・冷蔵庫・洗濯機の家電の
普及が一番早く100%になったのも、この島だったという。
この島が100%な頃、日本全体での普及率は白黒テレビ7%、洗濯機20%、冷蔵庫3%弱だった
らしいので、いかに早かったかがわかる。
当時店で商売をしていた人の話によると、本土とは違い、高いものほどよく売れるという
ことだったので、炭鉱の給料は、高かったらしい。

他に、炭鉱の事も詳しく書いてある。
ここの炭鉱は、海底炭鉱で、島の下だけじゃなく、海の下の広域に炭鉱が広がっているのには驚いた。
海底の下を、どんどんどんどん掘るんだね~!

本書では、「軍艦島」ガイドツアーも、その特徴、メリット・デメリットをあげ、いくつか紹介している。
詳しく知れば知るほど、興味深い「軍艦島」。
行く前に、この本を読めば、何も知らずに訪問するよりも、何倍も興味深く見学できる気がする。
長崎は遠いけど、歴史ある軍艦島の建物群が崩壊してしまう前に、行ってみたいと、
強く思った。
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