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「バーナード嬢曰く。」施川ユウキ著:読書しないのに読書家の自分を演出してる女子高生が主人公の、浅い読書マンガ。SFネタ多め♪読んでて楽しい! [本:コミック]

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

  • 作者: 施川 ユウキ
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2013/04/19
  • メディア: コミック
7.5点

「一度も読んでないけど、私の中ではすでに読破したっぽいフンイキになっている!!」と、
「カラマーゾフの兄弟」を手に叫ぶ女子高生が表紙のこの本。

この女子高校生が、読書は苦手なのに、読書家をきどりたい主人公「バーナード嬢」(自称)。
同作者の、グルメマンガなのに、全く美味しそうじゃないのが魅力な「鬱ごはん」(リンク先感想)が
面白かったので、こちらも読んでみました。

で、これいいですね~!
「バーナード嬢」の愛読書は「名言集」。
日常の台詞の中に、名著の名言をサラリと入れて通ぶりたい気持ちいっぱい!!
鴨長明の方丈記の冒頭を頑張って暗記して、サラリと言おうとするんだけど、
不自然な上、長すぎる(笑)。

文庫本化された「銃・病原菌・鉄」を、
『「あっそれ文庫本化されたんだ」と、 ハードカバー版でとっくに読んでる風な顔をする作戦』の為、
読もうとするんだけど読めず、4ヶ月も挑戦し、読んでないのに愛着が湧いて、
「心の底からお勧めしたい一冊」にしてたり。

三浦しをんの「船を編む」は読破できたけど、
「タイトルや装丁から純文学的な小説だと思っていたのに、超ライトなエンタメ作品」で、 「読破したところで自慢できないっ!」とがっかりしたりもする。

そんな「バーナード嬢」にいろいろツッコミをするのが、一昔前に流行った本を古本屋で買って読むのが
趣味という男子高校生遠藤。

そしてもう一人、SFファンの女子高生神林さん。
神林さんが、なんていうか、「SFファン」っぽい頑なさがあっていいんだ。

バーナード嬢に「SFって何?」と聞かれ、「サイエンスフィクション・・・スペキュレイティブ・フィクション・・
SFマインドがある・・結局センス・オブ・ワンダー・・・・」と、SFマニアの間でよく言われている
いろんなことをブツブツとつぶやいた挙句に、「うんざりだよ!」と叫ぶという(笑)。

バーナード嬢に「読んだら通ぶれるSFを一冊教えて」と言われ、「イーガン、ステープルドン、
アシモフ、クラーク、ハインライン、ティプトリー」(本当の台詞は、作品名も出てます)と、
だらーーーと、いろいろ並べて悩んだり。

「イーガン」は、わからなくてもすっごく面白い(「自分がわからないならイーガンも
わかってない」という視点でとうとうと語ってます)と言い切ったり。
いやー、イーガンに関しては、私もわかんない部分が大半だったのに、面白かったので
(イーガン「万物理論」を読んで、その後かなり量子力学の本読んだし←結局研究者も
わかってないらしい・・という結論に)、思わず納得してしまった(笑)。

そんなバーナード嬢は、読まずにSFのタイトルを覚えるだけで、
「読まないほうがあれこれ想像できて面白い。一度読んだらもう二度と読む前には戻れない。 読む前のワクワク感を失った人に優越感を覚える」とか言ってる(笑)。
そういえば、この台詞があるページで知ったんですが、
エヴァの庵野監督は、「世界の中心で愛を叫んだけもの」を読んだことが無かったんですねΣ( ̄ロ ̄lll)!
内容的に全然関係が無いのに何でTV版最終話に使ったんだろう?と
思ってたんですが、「バーナード嬢」と同じ視点??
ついでに、ちょっとこの事について調べてたら、「ガイナックス」は、最終話にSFのタイトルを
引用するのが通例だとか。
なるほど、先日見た「グレンラガン」の最終話もそうだった。

神林さんの「SF語るなら最低1000冊!」「ハインラインさえわかってないっ!」ってのは、
ありそうで笑えた。
私も、ハインラインあまり読んでません(^^;)。
SFはちょくちょく読んでるけど、好みが非常に偏ってて、名著で読んでないのが
あまりにも多いので、SFファンは名乗れない・・と自分で思ってたりします。
自分は、ホラーファンだなー←SFファンを名乗るのに比べ、敷居が低い気がするし。

サンリオSF文庫(マニアックなラインナップで、表紙の絵が良く、いい作品も多く出してたけど、
訳が酷いとか、いろいろ問題もあり。かなり前に無くなり、現在古本では数千円と高い物が多い)に
関しても、神林さんが語ってる話があるんだけど、神林さんは一冊も持ってない。
これは著者も持ってないことに由来するらしい。
そっか、著者の年代だと、持ってないのかーーーと、月日の流れを感じました。
私は、本屋で普通に売ってた頃に買ったのがかなりある←今の青背(ハヤカワ)と同じ感じで買えた頃。
そして・・・・・・・・読んでないのもかなりある・・・・(-_-;)訳がねぇ、読みにくいんですよ・・・。
「サンリオSF文庫の表紙だけを集めた本」を持ってる著者と同じような感じだ・・・。
サンリオの表紙、いいのが多いんです。
最近、プリーストの「逆転世界」の表紙が、「パタリロに似ている」という思ってもいなかった見解を、
先輩から聞かされ、斬新!!と驚いたけど(^^;)。

裏表紙にも載ってる、
「ディックが死んで30年だぞ!今更初訳される話がおもしろいワケないだろ!」
という、神林さんの台詞には、思わず同意(^^;)。

「シャーロキアン」とか「太宰ネタ」とか「文豪ネタ」とか、他にもいろいろあり、
本を読むことが好きな人にとって「あるある・ありそう」と思えるエピソードが多いけど、
SFネタが多めなので、SFを読んでる人の方が楽しめると思う。
というか、SFを読んでる人なら、きっとニヤニヤして読んじゃう気が。
読んでて楽しかった♪
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コメント 2

ちょび

うわー、すごい本ですね。いろいろうなずきそう。

サンリオ文庫!うわぁすごいネタが。

近所の古書店で激安で売ってくれるところがあって(800円とか。普通の文庫よりずっと高かったです)、20冊くらい買った記憶が。

うちは夫が表紙イラストのデータを全部持っているはずです。自分で持っているのをスキャンしたのでは飽き足らず、スキャンするために古書店で買い(買っても未読多数)、知人友人から表紙だけ借りてスキャンして、それでも揃わないものはネットでくれる人探して揃えてました。

確かに訳がひどかったですね、最後の刊行の方は特に。
ディックの作品で1ページ読めなかったのがあったし。学校の専門書で凄くひどい翻訳文になれてたけど、それでもだめ。すでに日本語じゃないレベルだった記憶が。その後、創元で訳しなおして出版されたのはふつーに読めましたよ・・・。

買っちゃおうかなー


by ちょび (2014-03-10 10:24) 

choko

ちょびさん

これ、楽しいですっ!
すごくちょびさん夫妻にお勧め(笑)。

サンリオSF文庫の表紙はいいのが多いですが、
表紙を全部スキャンしてるとはすごいっ!!
スキャンのために、高い古書買ったというのもすごい!!

表紙だけでみるとライバーの「バケツいっぱいの空気」とか、
ディックのヴァリス三部作、「暗闇のスキャナー」など、
いろいろ好きなのはあります♪
プリーストの「伝授者」「逆転世界」も好きなのですが、
最近「パタリロ」という指摘を受けて衝撃を受けてます(笑)。
「猫城記」はみたら忘れない表紙な気も。

で、内容は・・・・やっぱ訳の酷さが問題ですよね。
名作揃いなのに、別の出版社で新しい訳で出されると、
断然別出版社の方がよくなっちゃうという・・・。

SFは最近低迷してると思うので、新しく出ることは少なく、
サンリオSF文庫が最初で最後の訳本ってのも、
たくさんありそうですね(^^;)。

サンリオSFネタを除いても、「バーナード嬢曰く」は、お勧めです(^-^)ノ♪
「鬱ごはん」もどうぞ!



by choko (2014-03-10 22:16) 

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