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「弱いロボット」岡田美智男著:不完全でできることが少ないロボット。それが周囲に及ぼす影響とは・・? [本ノンフィクションいろいろ]

弱いロボット (シリーズ ケアをひらく)

弱いロボット (シリーズ ケアをひらく)

  • 作者: 岡田 美智男
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2012/08/24
  • メディア: 単行本
7.8点

アシモが二足歩行した時も、そして走った時もすごく衝撃を受けた。
世界でもトップクラスの工業用ロボットの会社ファナック(ロボットより、
黄色過ぎる-リンク先参照-のが衝撃で覚えたんだけど(笑))。
歩き、走り、物をつかみ、会話し、オリジナルに似せ、表情を豊かにし・・どんどん進化するロボット。
本書の中の言葉を借りれば「足し算としてのデザイン」。

しかし、この本で取り上げられている「弱いロボット」とは、「引き算としてのデザイン」。

最初に取り上げられる「む~」というロボットは、上下左右の動きをPCから操作できる
ウエブカメラに、バネをつけたものがベースになっている。

カメラ本体が上下左右に動くと、バネで揺れる。
話しかけると、「む~」というような喃語で返す。
作られた当時のチップの処理速度の遅さから、反応までに間があく。

自分で移動できない、何かをとることもできない、シンプルでアナログなロボット。

著者は、このロボットの開発で、雑談などのちょっとした人間のコミュニケーションの研究と、
人間が何気なくやっていることの複雑さ、そして「何もできない」事、不完全な事が、
周囲に及ぼす影響を考察している。

ということで、この本、ロボット開発の本でもあるけど、人々の認知や、
コミュニケーションや、弱いものへの人の働きかけ、そしてその心理についても語っている本である。

最初、ロボット開発の本だとばかり思っていたので、どんどん話がコミュニケーションメインに
なっていくのに違和感を感じたんだけど、この本のシリーズは、看護や介護、
発達障害などのケアに関する本ばかりのラインナップなのに気がつき納得してしまった。

本の表紙の折りこみ部分に書いてあるように「自分でとれないならとってもらえばいい・・・・
不完全さを悟りつつ他者に委ねる姿勢を持てるか・・・他者への眼差しを持てるか・・」(途中略)が、
テーマなのである。

私達が普通にやっている「歩く」という行為。
昔のロボットの歩き方のぎこちなさは、バランスをとったまま歩行していたから。
人間はバランスを崩しながら、歩いているという。
これは、地面に自分を委ね、地面にしっかり受け止めて貰えなければ成り立たない行為。

会話も、自分の言葉を相手に委ね、相手の返事もまた、自分へ委ね・・・
互いに委ね合って2人で作り上げているものほど雑談っぽくなるという。

人と人の関係は、相手との距離、視線の向き・・・etcと、知らずにいろいろと調整されている。
「ソーシャルなロボット」の開発には、そういう視点も重要だ。

自動販売機から言われる「アリガトウゴザイマシタ」という言葉は、心に響かない。
でも、他人からの挨拶やお礼の言葉には、知らず知らずに「応答の義務(応答責任)」を感じる。
乳幼児は、何もできないのに、ちょっとした仕草、喃語などによって、
周囲が自主的に働きかけ、助けてくれる。
どうやったら、ロボットに対し、そういう気持ちを持ってもらえるかの工夫。

そして「1人では何もできないロボット」が、子どもたちや、老人ホーム、養護学校などで、
どのような影響を人々に与えたのか、どのような「場」を作り出したかなども、書かれている。

後半には、単にもぞもぞと歩きまわるだけの「ゴミ箱の姿をしたロボット」の紹介もある。
誰かがゴミを入れてくれなければ、役に立たないロボット。
ロボットが一体だけだと、三体にすると・・どう周囲の反応が変わるかなどの、観察結果も面白い。

またロボットに関することだけでなく、電車の中での携帯電話や、化粧がなぜ嫌がられるのかを
「儀礼的な無関心」を強いるからだと考察したりもしていて、人間が日々何気なく行なっている
コミュニケーションや行為について、科学的に考察、説明してくれている本でもある。

とりあえず何か作ってみよう・やってみよう!というスタンスのロボット開発の経過も楽しいし、
社会学、認知科学的な考察も面白く、またその語り口が、ほんわかとしていて、
読んでいて心地良いのも良かった♪

読みやすいので、ロボット、人間のコミュニケーションの妙、どちらかにでも
興味がある人にお勧め(^-^)ノ。
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「図解 元素」富永 裕久著(こっちがお勧め!)、「元素と周期表が7時間で分かる本」PHP研究所編 [本ノンフィクションいろいろ]

元素と周期表が7時間でわかる本

元素と周期表が7時間でわかる本

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2012/10/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
6.5点

元素 (図解雑学)

元素 (図解雑学)

  • 作者: 富永 裕久
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 単行本
8点

元素の基本に関する本2冊。
昨年からの「鉱物マイブーム」の流れです。

「元素と周期表が7時間でわかる本」は、周期表の簡単な説明(中高校の科学の教科書的)と、
118個の元素について、その性質や用途、歴史、発見エピソードなどが、
簡単に書かれている本。
Fe(鉄)、Cu(銅)、Au(金)etc・・とメジャーな元素については、1~2Pほど割いて、
少し詳し目に説明してあるけど、原子番号が大きくなりマイナーな元素が多くなるにつれ、
各1/2Pほどの説明(それも絵などが入っているので実際の説明はすごく短い)、
発見の過程や、ちょっとした用途が、ちょろっと書かれているだけ。
タイトルにある通り、ザッっと目を通すにはいいけど、あまりに説明が短いし、
発見についてなどは、似たような説明が続いたりとか、印象に残らないものも多い。

---------------------------------------------------------------------

で、これを読んでいて思い出したのが「図解 元素」。
昨年くらいに読んだ本で、「元素と周期表が7時間でわかる本」の参考文献にもなっており、
この本で読んだエピソードのいくつかも使われていた。

「図解 元素」は、感想を書いたと思ったら、書いてなかったので、改めて書くけど、
「元素と周期表が7時間でわかる本」をもっと詳しく丁寧に説明したような本で、
断然こちらの方が面白いし、わかりやすいし、内容も深いしで、すっごくお勧め!!
読むのにちょっと時間がかかるけど、時間があるなら是非こちらを(〃∇〃)。
元素や金属にまつわる面白いエピソード、原子配列について詳しい説明と原子配列が元素の性質に
どのような影響を与えるか・・・その他元素についていろいろ知ることができます♪

この本に書いてあった、Sb(アンチモン)のエピソードがすごくインパクトがあった!
アンチモンは毒性があり(昔は化粧品などに使われていたらしいけど)アンチモンの鉱物を
中世ヨーロッパでは、下剤代わりに使っていたという。
そこまではいいんだけど、鉱物なので消化されずに出てくる。
それを何度も使う、子孫もそれを使う・・・ということがあったらしい・・・・すげーΣ( ̄ロ ̄lll)!
これ一発でSb(アンチモン-元素記号と読みが全く違うのでわかりにくいけど)は覚えました(笑)。
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「ダニ・マニア-チーズをつくるダニから巨大なダニまで」島野智之著:ダニのあれこれがわかるけど、一部掘り下げ過ぎの感も [本ノンフィクションいろいろ]

ダニ・マニア―チーズをつくるダニから巨大ダニまで

ダニ・マニア―チーズをつくるダニから巨大ダニまで

  • 作者: 島野 智之
  • 出版社/メーカー: 八坂書房
  • 発売日: 2012/12
  • メディア: 単行本
7点

少し前「殺人ダニ」(昔からあった病気で原因がはっきりしただけという記事も)が
巷を騒がせましたが、感染症を媒介しないとしても、やっぱりダニって何か気持ち悪い。

以前、藤田紘一郎氏の書いた寄生虫の本を読んで、寄生虫が気持ち悪いながらも、
若干親しみも持てるようになったし、その功罪両方について知ることができたので、
今回はダニの本を読んでみました。
ちなみに、藤田紘一郎氏の本で読んだのは「体にいい寄生虫」(リンク先感想)、
笑うカイチュウ (講談社文庫)」「空飛ぶ寄生虫 (講談社文庫)」等。
どれも、寄生虫への愛!が溢れてます(笑)。

で、まず、意外だったのが、ダニを研究している著者が、「ダニを研究している」事を、
ちょっと隠したいと思っていること。
確かに、周りは引きますからね(^^;)。
でも、もっと周りが引きそうな寄生虫研究の藤田紘一郎氏は、そんなこと微塵も感じさせず、
「寄生虫の素晴らしさを世の中に広めたい!」「寄生虫ラブっ!」って感じだったし、
ふしぎな生きものカビ・キノコ―菌学入門」(リンク先感想)を書いた菌の
研究者ニコラス・ マネー氏も同じ印象だったので、研究者というものは、
何を研究していようと平気なんだ・・という思いは違ってたことを知りました。

で、この本を読むと、ダニのことが確かによくわかって、よい入門編になってます(^^)。
多くは目に見えないほど小さい事、種類はものすごく多く、日本には1800種ほど。
その中で吸血などするダニは1%。
ダニのいない環境は無く、森などでは、1m2に2万から10万個体もいるという。
また、和名は「フリソデダニ」「マイコダニ」「コシミノダニ」とかなり面白い名前のものが
多いのもわかった(命名した人のセンスらしい)。

ダニが蜘蛛の仲間だったというのは、ある意味納得。
蜘蛛に感じる気持ち悪さをダニにも感じるから。
大きいのは見た目が苦手(血を吸って巨大化したマダニとか)、小さいのは体が
柔らかくてつかむところがない、はらおうとすると潰しちゃう・・って事で、
蜘蛛は嫌いなんだけど、ダニも同じ感じだし。

外でたまに見かける赤いダニっぽい虫は、やっぱりダニで、カベアナタカラダニかハモリダニらしい。

細菌やウィルスがどこにでもいる!!ってのは受け入れられるのに、
ダニがうじゃうじゃいるというのを受け入れられないのは、一部目に見えるダニがいて、
それを見た時の嫌悪感を、見えないダニにも感じてしまうからかも。

もちろん、ダニを研究する著者は、逆に、ダニで熟成する「ミモレット」を、生きたダニ付きで
買えてすごく喜んだり、わんさかその辺にいるダニを想像してうっとりしたり
(ササラダニがたくさんいそうな落ち葉の上に腹ばいになって、ダニの目線で
落ち葉を眺めているのが至福の時だそうだ)、さすが「ダニ研究者!」という、
ダニへの愛を本書のあちこちで語ってくれますが(^^;)。
そういえば、生きたウジがついてる「カソ・マルツゥ」というチーズがあるけど、
さすがに畑違いだから、こっちは喜ばないかな??

で、中盤からは、著者が研究している「ササラダニ」に関する記述が、ものすごく詳しく語られてます。
ササラダニの生態、生殖、種類だけじゃなく、体や足の詳細な構造とか、
自分にとってはちょっと詳しすぎの内容ではあったんですが、それでも、種類も個体数もとても多く、
落ち葉などを粉砕し、菌を食べ、生態系の分解者として重要な役割を担っているササラダニに関して
知ることができたのは、面白かったです。
著者のように、「愛」を感じるまでには行きませんでしたが(^^;)。
ササラダニは、ダニには珍しく硬い殻を持ち、動きは恐ろしく遅く、落ち葉などを食べながら、
のんびり生きているようで、ちょっとだけ親しみも。

付録には、「観察の為のダニの三枚おろしの方法」なんていう、ほんとうにマニアックな説明まで。
ササラダニに関して、本の半分くらいを締めてしまっているのが、ちょっと残念だったけど
(もっと別のダニについて知りたかった)、それでも、ダニについてわかりやすく解説してあり、
面白く読めました♪

ダニに興味がある方にお勧め(^-^)ノ。
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「「猛毒大国」中国を行く」「さらば中国」癌村・エイズ村・・中国の裏の面 [本ノンフィクションいろいろ]

「猛毒大国」中国を行く (新潮新書 267)

「猛毒大国」中国を行く (新潮新書 267)

  • 作者: 鈴木 譲仁
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: 新書
7.5点

写真録 さらば中国

写真録 さらば中国

  • 作者: 八木澤 高明
  • 出版社/メーカー: ミリオン出版
  • 発売日: 2008/06/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7点

2冊とも、2008年出版、5年前の本で、読んだのもかなり前。
感想書いたまま埋もれさせてたけど、今の中国の現状は変わっていない、
もしくはもっと酷くなっていそうな感じなので、サルベージしてみた。

汚染により村人の多くが癌にかかっている癌村、劣悪な環境での売血によりエイズが
蔓延しているエイズ村、少し前テレビでも話題になってた地方から役人の汚職などを
中央政府に訴えに来た人々が集まっている北京の直訴村など、中国は、隠された顔が存在する。

2冊とも、そういう中国の悲惨な現状を取材した本。

「『猛毒大国』中国を行く」は、癌村、エイズ村、土壌や河川の汚染の現状、
村ぐるみで禁止されている薬品を使い食べ物を作っている村、段ボール肉まんの
真相に関する考察、食に関するモラルの低下、地方役人や公安の横暴ぶり・・・
とにかく、とんでもない中国の現状が列挙されている。

中国政府の発表は「順調に進んでいる」なら問題がたくさんあり、
「問題点がある」の場合、既に解決策が見つかっている、悪い情報は
30~40%少なくしてある・・など興味深い見解も。

「さらば中国」は、写真も多い。
うつろな目をした直訴村や癌村の人、売春をする都市部に出てきた若い女性の姿、
成功し金持ちになった人の生活・・今の中国の現状を写し取ろうとしている。
「猛毒大国」・・と同じ様に、危険な取材に挑んでいるが、中国をずっと追っており、
中国の問題点に焦点を絞った「猛毒大国」の著者の書いた内容に比べるとあっさりめ。
でも「コピー製品を作っている工場」と「直訴村」はこちらでしか取上げていない。

また、犬食や、纏足の女性の取材もしており、中国の問題点だけでなく、
消え行く文化にも目を向けている。
纏足の女性の足の写真は、衝撃的。
赤ちゃんの足である。
後で気がついたけど、この著者「ネパールに生きる」(リンク先感想、面白かった!)を書いた人だった。

環境を犠牲にして経済発展している中国。
大気汚染物質pm2.5では、日本でも騒ぎが起きたし、土壌汚染も深刻なよう
「中国の耕地の7割が汚染されている」独紙等)。

日本でも、高度経済成長期に公害問題が起きたけど、中国は、どこまで行ったら対策するのだろうか?
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「面白いほどよくわかる 世界の宗教 宗教の世界」ひろさちや著:仏教の視点から宗教を語る [本ノンフィクションいろいろ]

面白いほどよくわかる 世界の宗教/宗教の世界

面白いほどよくわかる 世界の宗教/宗教の世界

  • 作者: ひろ さちや
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2012/10/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7点

著者は元々仏教に関して研究し、仏教の思想を本などでわかりやすく広めている人。
宗教を「立派な人間になる為ではなく、人間らしい生き方を教えるもの」と定義している。
この本では、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教(大乗・小乗)、
神道、儒教などについてその成り立ちや教義、そして違いに関してわかりやすく語られているが、
視点は仏教の立場から。
その辺、かなり偏りがあるので(最初に著者もその点を断っている)、
違和感を感じる人もいれば、そういう見方があるのかと面白がれる人もいたり、
評価がわかれるかも。
仏教の教えの入門書的な意味合いも大きい。

それでも、自分が思ってもいなかった視点から物事を眺めるというのは、
新しい発見があったりして、なかなかおもしろかった。
「民族宗教」である「ユダヤ教」と「ヒンドゥー教」(インド人が多民族なので、あまりその特色は強くない)、
民族宗教を脱したことで全世界に広まった「キリスト教」。
「宗教を信じる事」とはどういう事なのか。
言葉を大切にする「言霊信仰」の「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」、
神への讃歌(祝詞)を道具とする「バラモン教」、言葉を重要視しない「仏教」。
教義が法でもある為政治と一体化しやすい「イスラム教」「ユダヤ教」、
政教分離の「キリスト教」「仏教」。
それぞれの宗教の死後の世界観。
現代の日本の仏教を「葬式仏教」と言い切り、その問題点を指摘したり。

大乗仏教と小乗仏教に関しては、大乗仏教支持の視点で書かれているが、
仏教の教えをわかりやすく解説していて、参考になった。

「智慧」と「知恵」。
人間が持っている「知恵」は分別智。
「雑草」と「園芸花」のように、勝手に区別し優劣をつけることは、幸福になれないという。
自分が優等生になったとしても、それは誰かが劣等生になるということだと著者は言う。
仏教では物事を区別せずあるがままに見る「無分別智」を教えるという。

仏道の歩み方を示した六波羅蜜の紹介では、「人に迷惑をかけない」は道徳で、
「人は他人に迷惑をかけずなければ生きられない存在だ」が宗教の教えだととく。
「人に迷惑をかけない」という考えは、「自分は迷惑をかけていない。あの人は迷惑をかけている」と
人の優劣を判断する事になるという。
少し前から「負け犬」など、人生を他のとの比較で勝ち負けで判断する風潮が強いけど、
それに比例して「自分を不快にさせる人間を許せない人」(自分はちゃんとやって迷惑をかけていないと
自負している人がほとんど)が増えているのは、この辺りの心理なのかな?

日本も無宗教の国だけど、神社にお参りしたり、お葬式は仏教式が多かったり、
完全な無宗教だと自分は思っていなかったんだけど、この本を読むと、
やっぱり「無宗教」なのかも・・とも思った。

現在世界的にも、無宗教である人の割合がすごく増えているという。
著者が言うように「のんびり・焦らず・人間らしく生きる」というのが宗教の定義であるのなら、
豊かに生きる為に、人を押しのけ(意図しなくても、自分が豊かになれば、豊かじゃない人もでる)、
あせくせと働くことを良しとする価値観の広がり(グローバル化によって進んでいると思う)と、
無宗教の広がりは関係しているのかもしれない。

仏教的視点が強いけど、興味深く読めた本でした♪
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「あるこーる白書」吾妻ひでおと西原理恵子による、アル中対談本。「アル中は病気!」と真面目に訴えている本でもある。 [本ノンフィクションいろいろ]

実録! あるこーる白書

実録! あるこーる白書

  • 作者: 西原理恵子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
8点

アルコール中毒で、入院、失踪、浮浪者生活までした吾妻ひでおと、
アル中であった夫鴨志田氏と離婚、その後鴨志田氏が末期がんとわかり、
和解し、最後を家族で看取った西原理恵子の対談集。

実際は2人ではなく、もう一人「月乃光司」という人が加わっており、3人の対談なんですが、
吾妻ひでおの「失踪日記」(リンク先感想)と西原理恵子の「毎日かあさん
(リンク先9巻の感想)を読んでいれば、すごく面白く読める一冊。

2人の本来の舞台である「マンガ」ではなく、対談で語られるアルコール依存症の現実は、
マンガのネタとして使えなかったのがわかる、かなり重く苦しい内容、真面目な内容が多く、
また詳細まで語られていることも多く、アルコール中毒の症状や治療、病院の様子(入退院を
繰り返す人も多いとか)、他のアルコール依存症患者などについても語られているので、
アルコール依存症に関して、より詳しくわかる内容になっている。

西原理恵子が離婚直前、アル中である鴨志田氏の精神的DVにより心を病んでいた
ことなども語られるし、鴨志田氏のアルコール依存症での問題行動や、和解してからの事、
鴨志田氏のアルコール依存症の治療経過などが、マンガより詳しく書いてあるので、
とても興味深かった。

「失踪日記」「毎日かあさん」の裏側がわかるのと同時に、
「アルコール中毒は本人が自堕落なのではなく、病気である」という言葉が、
何度も繰り返されていたりと、アルコール中毒の現実を、世間に知ってもらおうという、
アルコール中毒啓蒙本にもなっている。

自分は大丈夫だと思っていても、その前段階(黄信号)であり、日本人では数百万人はいるという
「プレ・アルコホリズム」の判断基準、アルコール依存症の完治率、
治ったと思っても、たった一口、場合によっては「酒蒸し」など、料理に入っているお酒でも
再発してしまう可能性があるという現実、知らなかったアルコール依存症の姿がよくわかる。

お酒を飲むためなら、なんでもする心理になってしまう「アルコール依存症」。
アルコール依存症であった吾妻ひでおや月乃光司本人が、アルコール依存症時の、
「普通ではない心理状態」を語っている。

そして、本人だけでなく、周囲をも不幸にするアルコール依存症の怖さ。
アルコール中毒患者の周囲には、本人を助けるつもりで助長者(イネーブラー)になって
しまう人が多いという。

アルコール依存者の家族が、依存者が暴れた酒屋や迷惑をかけたところに謝りに行ったり、
弁償したりする、汚物まみれで失禁している依存者を介抱してあげる・・・
家族なら誰でもやってしまうことだが、依存者の尻拭いをしてあげる、
これが、アルコール依存症患者をつくりだしてしまう、
より酷いアルコール中毒にしてしまう・・・・という現実。
その上、本人は、「自分の意志ではどうにもならない病気」な状態なわけで、
それに振り回されつつ、それを助長してしまう立場にも立つ家族の辛さ・・・
そういうものも伝わってくる。

「失踪日記」「毎日かあさん」が好きな方にお勧め(^-^)ノ。
できれば両方、少なくても一方は読んでる人に。
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「津波の墓標」石井光太著:今だから書ける、震災直後の忘れられない光景・・・読んでて辛い [本ノンフィクションいろいろ]

津波の墓標

津波の墓標

  • 作者: 石井光太
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: 単行本
7.5点

東日本大震災により、信じられないほど多くの方が亡くなった。
多すぎる遺体を相手に、死者の尊厳を守ろうと必死に奔走する人々の姿を克明に描いた
遺体-震災、津波の果てに」(リンク先感想)を書いた著者が、
当時の取材で、胸に刻み込まれた忘れられない様々なエピソードを書いたルポ。

「当時書けなかった事を、今更だけど書く」と、前書きにあるんだけど、
読んでみて、なるほど、当時書けなかったわけだ・・・と思う事、多々。

震災ルポの多くは、確かに辛い話も入っているけど、被災地で前向きに頑張る人々の姿が
描かれていたり、追跡ルポがあったり、どこかしら、希望や前向きな気持ちが見えるものが多かった。

しかし、この本で扱われているのは、取材中、著者が、一瞬だけ携わった、もしくはちょっと見聞きした
エピソードの中でも、人間の醜さや、人間の弱さ、悲しさだけが伝わってくる内容や、
この怒りをどこに・・と思ってしまうような内容が多く、読んでいて、途中何度もため息をついてしまった。

避難所で、周囲に気を遣い、嘆くことすらできない状況、早々に遺体が見つかった遺族への哀れみが、
逆に遺体が見つからない遺族への哀れみに変わる過程、ボランティアの若い女性への酷いセクハラと、
被災者だから大目に見ないと・・とそれを周囲が放置している状況、
逆にボランティアに来た人たちが無神経に撮る、被災地での笑顔での記念写真。
遺体の写真を撮り、遺族の神経を逆なでする野次馬達、
被災地近隣から来る窃盗団(中・高校生ぐらいの未成年も多かったという)、
息子が、孫が、母親が・・・身内が亡くなった事を受け入れられない遺族の悲痛な言葉・・・etc。

「どこどこに幽霊が出た」という噂が出ると、多くの被災者がそこに行ったという。
もしかして、その幽霊は身内かもしれないと・・・そんな、切なすぎるエピソードもあった。

またマスコミにあり方についても、まだまだ現場は混乱し悲惨な状態なのに、
上の命令で、被災地でも前向きな明るいニュースメインにシフトしてしまったことや、
上司の命令で、被せてあるシートを剥がしてまで遺体の顔写真を撮るマスコミのあり方に対する
著者の憤りなど。

また、復興が始まっても、家が津波被害にあった人と、ギリギリ難を逃れた人、
ほんの数メートルの距離が分けた明暗が妬みという感情をうみ、その後の人間関係にも、
大きな影響を及ぼしたり、地元の復興に力を注いだ結果、離婚にまで至るような状況に
なってしまった家庭があったり、やるせない気持ちになる話が多かった。

自分が被害にあってどん底の状態になっても、被害にあわなかった人の幸福を喜べる人も
いるだろうが、人間は強い人ばかりではない。
身内の不幸を早く乗り越えられる人もいるだろうが、ずっと乗り越えられない人もいる。
他人を恨み蔑む事、大声で罵倒し理不尽とも言える罪をなすりつけることで、
身内の不幸から自分を守ろうとする人もいる・・・。

もちろん、そういうネガティブな話だけではなかったけど、人間の弱さ、悲しさが、つまっている本だった。
そして、これもまた現実なんだと思うと、気持ちが滅入る本でもある。
いい話、感動的な話ばかりではなく、そういう部分も直視しなければいけないとは思うのだけど。
「津波の墓標」、この本を読み終わった後、改めてタイトルを見ると、「墓標」という言葉の持つ悲しさが、
より強く感じられる本だった。
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「世界を変えた10冊の本」池上彰著:「アンネの日記」「聖書」「コーラン」「資本主義と自由」・・世界に影響を与えた本を紹介! [本ノンフィクションいろいろ]

世界を変えた10冊の本

世界を変えた10冊の本

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/08/09
  • メディア: 単行本

7.8点

池上彰が、「世界を変えた10冊の本」というテーマで、10冊の本を紹介したこの本。
その本の内容と、世界への影響が、池上彰らしく、とてもわかりやすく解説されていて、
面白く読めました♪

1・「アンネの日記」父親の修正が入って出された最初の版(清純なアンネのイメージ)と、
後で出版された原文のままの内容(母親や周囲への批判や、性への目覚め、etc)の違いや、
「アンネの日記」と「イスラエル建国」の関係などについて。

2・「聖書」欧米文化の基礎を築いた書物として、「旧約聖書」「新約聖書」の解説や、
現代でも強く残るその影響を考察。
「旧約聖書」では、ユダヤ教に関しても説明があります。

3・「コーラン」では、イスラム教についての説明。

4・「プロティスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(マックス・ウェーバー著)は、
宗教が経済に与える影響を書いた本で、アメリカなどプロテスタントの国で資本主義が
発達した事から、「プロテスタントの思想が、資本主義の精神を作った」と考察。

5・「資本論」(カール・マルクス著)資本主義を批判し、社会主義国家形成の元にもなった本。
わかりやすく、内容が解説されてます。

6・イスラム原理主義の「道標」(サイイド・クトゥプ著)現在過激なテロ活動を行なっている
イスラム原理主義の元になっている本。
異教国だけではなく、同じイスラム教国まで、堕落していると糾弾し、世界を救うために、
滅ぼさなければいけない・・という、原理主義の思想がわかります。

7・「沈黙の春」(レイチェル・カーソン著)、DDTや農薬・・・そいうものが自然を汚染することを、
世界に知らしめた一冊。

8・「種の起源」(チャールズ・ダーウィン著)キリスト教世界を揺るがし、今なお、アメリカでは
進化論を学校で教えるべきか、否か、もめているという、キリスト教国に多大な影響を与えた本。

9・「雇用、利子および貨幣の一般理論」(ジョン・M・ケインズ著)不況時に、公共事業投資や
金利をあげるなど、現在では当たり前に行われている経済政策を生み出した本。
この本が出るまでは、逆の対応がされていた。

10・「資本主義と自由」(ミルトン・フリードマン著)新自由主義経済の元になった本。
国の影響を小さくし、多くの会社を民営化・・・、日本でも小泉改革などで取り入れられ、
一定の効果はあげたけど、格差社会を拡大する可能性も高い、強者の理論的な部分も持つ内容。

この中で、一応読んだと言えるのは、2冊のみで、残りは「種の起源」や「資本論」「聖書」
などのように概略だけ知ってるものと、この本で初めて知ったものばかり。

読んでないのは、どれも面白そうだけど、問題は、この本の解説が上手過ぎて、
本を読まなくても解説だけで十分かも、と思えてしまうこと(^^;)。
実際の本の内容が、難解そうな本も含まれているし。

知的好奇心を刺激してくれるお手軽に読める本として、とてもお勧め♪

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「トコトンやさしいレアアースの本」西川 有司著:レアアースの基礎が載っているけど、トコトンやさしいわけでもない [本ノンフィクションいろいろ]

トコトンやさしいレアアースの本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしいレアアースの本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 西川 有司
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2012/08/21
  • メディア: 単行本
6点

レアアースに関して、その種類、何をレアアースというのかなどの概略や、
レアアース資源の世界分布や採掘法、精錬法、リサイクル、レアアースの世界マーケットなどに
ついて書かれた本。

レアアースの一つ「ネオジム」で作られたNd磁石は、恐ろしく強力で、タバコ一箱くらいの
大きさで、車が引っ張れるw(゚o゚)w!!

なんて、おもしろトリビア的なものを期待して読むのはやめた方が吉。
そういうネタも、あることはありますが、基本は、最初に書いた項目からもわかるように、
すっごく真面目な本。
鉱物学とか、そっちよりかな?

レアアースの採掘とか精錬、その採掘法とか、鉱石1tからの生産量、
精錬法などが、詳しく述べられているので、そういう詳しさを求める人向け。
後、中国のレアアース問題に興味がある人は、後半、それについて触れられている項目が
あるので、参考になるかも。

また「トコトンやさしい!」ってなってるけど、ある程度、鉱物学に興味がある、
少なくとも、元素名118種ぐらいは馴染みがある人向け。
鉱物学系の言葉、元素記号や、化学式、レアアースの名前が羅列されているので、
それらの基礎知識が無いと、ちょっと厳しい気が。

レアアーストリビアみたいなのを求めていた私にとっては、真面目すぎて、
興味が無い内容が多すぎました(^^;)。
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「校庭の雑草図鑑」上赤博文著:身近な雑草がよくわかる♪ [本ノンフィクションいろいろ]

増補改訂版 校庭の雑草図鑑

増補改訂版 校庭の雑草図鑑

  • 作者: 上赤 博文
  • 出版社/メーカー: 南方新社
  • 発売日: 2012/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.5点

身近な雑草を、その特色と共に、カラー写真で紹介した図鑑。

青い「露草」。
なんか印象が違う「露草」があるなーとずっと思っていたら(ちょっと感じが違うけど「露草」だよね?
と見る度に思ってた)、葉っぱが少し丸い感じの「マルバツユクサ」という種類が、
日本各地に広がっているらしい←帰化植物ではないが繁殖域が増えているとか。

「ネコジャラシ」とも呼ばれる「エノコログサ」。
普通の大きさの、穂が大きくて曲がってるの、穂が大きくて曲がってないの、いろいろあるけど、
同じだと思っていたら、実は「エノコログサ」「アキノエノコログサ」「オオエノコログサ」と別の種類だった。

他にも、同じだと思っていたけど、実は種類が違うものが多数あるのを、この本で知った。

帰化植物も近年どんどん増えているようで、子供の頃は見かけなかった、
道端などに自生しているキレイな花(帰化植物は、きれいな花のものも多い)の幾つかが、
帰化植物だったのも知った。

一部の植物は違いがわかるように、その特徴が、写真で詳しく、紹介されたりもしている。

各植物1~3枚ほどのカラー写真(基本は1枚)で紹介されていて、近所を散歩する時に、
持ち歩いたら、とても楽しそう♪
存在を知っていたけど、名前を知らなかった植物の名前がわかったりしたのも嬉しかった♪

身近な雑草に興味がある人にお勧め(^-^)ノ。
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「世界しあわせ紀行」エリック・ワイナー著:本当のしあわせとは何か?を各国を周りながらユーモラスにそして鋭く描いた紀行。面白いっ!! [本ノンフィクションいろいろ]

世界しあわせ紀行

世界しあわせ紀行

  • 作者: エリック・ワイナ―
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/10/24
  • メディア: 単行本
8.5点

つかみどころの無い、そして個人によっても大きく感じ方が違う「しあわせ」について、
幸福度の高いオランダやスイス、最も不幸と思われる「モルドバ」、
お金があれば幸せになれるのかと「カタール」・・・10カ国を巡って、探求した本。

「紀行」となっているように、各国の滞在期間は2週間など、それほど長くなく、
「しっかり研究した学術書」ではないが、短い取材期間の中で語られる著者の考察が、
彼の幅広い知識と見識に裏付けされ、ついでにユーモラスな独断も混じり、
とっても楽しめ、また「しあわせ」について考えさせられた一冊。
目からウロコな内容もいろいろ。
視点をちょっと変えただけで、失敗は幸福へ、幸福は不幸へと変わるのもわかる。

ちなみに、日本は先進国の中では「幸福度6.5」とかなり低い方
(幸福度は、貧しい国・豊かな国に関わらず、極一部の例外を除きほとんどが5~8の範囲)。

最初は、「世界幸福データベース」を設定している、すなわち「幸福を数値化しよう」という
試みがなされているオランダへ。
「幸福を数値化する」という試みは、著者に、
「民主主義が独裁政権よりしあわせとは限らない、気候が良ければしあわせとは限らない
(北欧は幸福度の高い国が多い)」等、いろいろな幸福の捉え方は与えたが、
「世界で一番しあわせな国はどこか」答えは与えてくれなかった。
この章では、哲学者や著名な人の言葉などを引用、宗教の影響なども考察し、
「しあわせ」の定義の難しさも語られている。

面白かったのは、現代人は誰もが「学問的研究の成果」に興味を持っているという話で、
ニュースでは最初と最後に「最新の研究では・・・が明らかになりました」をつければ
視聴者の興味をひけるというもの。
その後に、ちょっと辛辣に「特に自分の癖を正当化するもの」(「頭の良い人ほど机の上を
散らかす事が明らかになりました」などの例えが)への興味は特に高いと結んでいる。
いやー、これ、わかりますね~(^^;)。
自分でも、自分に有利な研究結果が発表されれば肯定するし、逆にそうじゃないと、
「そんなの一つの研究結果だし」とか思っちゃうし。
こういう、ユーモラスに、そしてチクリと現代社会を風刺する内容が、
全体に散りばめられていて、それもこの本の魅力となっています。

また、オランダは、幸福度が高い国(7.6)で、その理由を、マリファナも安楽死も認めている(そして
デメリットがあるようなことにすら受け入れる)、オランダ人の寛容性にあるのではないかと考察している。
幸福データベースでも、「寛容な人ほど幸福度は高い」と出ているらしいし、
些細なことでグチグチ言っている人と、たいていの事は受け入れてしまう人を比較しても、
それはすごく納得できる。

昔遭遇した「あるトラブル時」に、それをうまくやり過ごしたスイス人夫婦から感じた、
喜びは感じられない静かな満足感(書いてはいなかったが、著者が同じ立場だったら、
盛大な満足感と自己肯定と喜びがあった気がする)。
幸福の定義の一つが「幸福とは不幸の欠如」が本当なら「スイス人は
幸福であるのが当たり前」だが、喜びが必要なら、それは謎のままだ・・ということで、
スイスを訪れた著者。

スイス人の興味深い特徴を紹介しつつ語られるスイス人の高い幸福度(幸福度8)は、
規則の多い生活と、狭い社会である為の監視(車が汚れていれば「洗うように」と忠告の
張り紙がされる)、しかし、それに伴う「社会の信頼感の強さ」、そして「自然」
(多くのスイス人がそう答えるらしい)から来ていると考察する。
そして、スイス人の幸福は、単なる満足よりは高く、100%の喜び以下のもの、
掃除機をかけている、古いCDを聴いたなど、日常のちょっとした時に感じられる、
地に足がついた喜びだと言及している。

「嫉妬心を持たない。また他人に嫉妬心を持たせないように目立たないように振る舞う」
「出る杭は打たれる」、「成金が富を見せびらかすのはみっともない」等、
アメリカで「負け犬」に向けられる視線が、スイスでは「にわか成金」に向けられるという、
アメリカとは対極な価値観が面白かった。

また、自殺が禁止されている「ローマカトリック」圏の自殺率が低いのが、幸福度と結びつかないように、
スイスの自殺率の高さが幸福度とは関係ないとも考察している。

3章で取り上げられているのは国民総幸福量を掲げている「ブータン」。
犯罪率が低く、ちょっとした軽犯罪でもニュースになり、教育と健康診断の無償提供、
僧侶の数が兵士より多く、軍は酒の製造に力を入れている。

この国でのインタビューで、しあわせな理由が「現実的でない望みを抱かなかった事」と聞き、
アメリカの「希望を高く持つ事が、しあわせを追求することだ」という価値観と対比させる著者。

「生きる事は試練である」とする仏教的な思想と、
「自分自身の達成したことを人は高く評価しがちだが、それは取るに足らない事、
逆に辛い事も同じ(とるに足らない)」と考える事の融合により、心の平安を得られるという。
ブータン人が幸福なのは「身の程をわきまえ、足るを知ること」だという。

では、物が溢れる豊かな社会で、それができるだろうか・・と著者は考える。
働いて、お金を稼ぐ事が有意義なことへとつながる社会では、
生産性の無い「何もしないことは罪悪感」につながる。
しかし、ブータン人は、何も特別なことをせず、日がな一日を過ごすのを悪しとはしていない。
またスイスと同じく、信頼関係、特に隣人との信頼関係が幸福度に大きな影響をブータンの人が
考えており、またある研究結果でも健康や収入ではなく、信頼関係が幸福度を
決定する最も大きな要因だと出ているとも書いている。


またブータンでは、国王が民主主義を導入しようとしていることに対して、「汚職や暴力がはびこる」と、
ネパールやインドなどの実情を知って反対している人がいることも興味深かった(現在、
議会制民主主義が導入されましたが)。

ただ、英語が通じる国に比べると、「しあわせ紀行」というより「旅行記的」な
側面が強くなってしまうのは残念。

4章は、お金がうなるほどあるカタール。
男性は結婚すると土地が貰え、無利息の家用のお金が借りられ、月額7000ドル(56万円)の
手当まで出る。
税金は無く、医療も教育も無料。

命題は「お金があればしあわせなのか」だ。
しかし、話はそう単純ではなかった。
カタールの空港で、ホテルで、飲食店で・・・働いている人は、全て外国人。
カタールにいる人口の80%が外国人なんだそうだ。
そして、どんな職業でも外国人労働者は、カタール人にとっては「使用人」。

カタールにいるのに、カタール人となかなか接触できないなんて、そっちの方に驚き!
イスラム教の戒律というデリケートな問題もあり、カタール人にインタビューするのすら困難な事態。
また、この国には豊かな国になら必ずある「セブンイレブン」(というのにも驚いた)が無いという。
何故なら、カタール人は、自分で買い物をせず、買い物をするのが使用人な為、
その便利さを必要としていないから・・・だとか(ほぉ~!w(゚o゚)w)。
また、授業で「環境にやさしい洗剤」などを説明しても、カタール人は自分で洗濯をしたことがないので、
「環境にやさしい」だけでなく「洗剤」という言葉もピンと来ないらしい。

国土の98%が砂漠のカタール。
ここ数十年で突然お金がうなる国になったが、それまでは生きるだけで大変だったカタールは、
特有の料理も、文字も芸術も無く、強いて言えば「文化が無い」。
最初、「文化が無いわけがないっ!」とその言葉に反発した著者だが、
カタールの博物館に行って、それを実感する。
有り余るお金で、海外の芸術品を買いあさってはいるが、国特有の文化は無く、
都市が「空港のロビー」のようだと評する。

この章では、カタールの興味深い特徴を知ることはできたが、
「しあわせ」に関して、カタール人からの有益なインタビューはとれず(イスラム教の話になってしまう)、
宝くじに当たった者の、幸福度の変化、その快楽が当たり前になれば以前ほど楽しめなくなる
「満足の踏み車」、「何かを強く欲しても、いったん手に入れてしまえば喜びはほとんど得られない」
(すごくよくわかる(^^;))などのエピソードや、著者の見解が中心。

5章はアイスランド。
国家が破綻した国だけど、幸福度は8.2とかなり高い。
ここは、以前「アイスランド人のまっかなホント」を読んでいたのもあって、
その補足的な側面もあり、とても楽しく読めた。

以前、「まっかなホントシリーズ」だったか、別の本だったかで、アイスランド人は、
思い立ったらすぐ事業を起こし(周囲から見れば絶対無謀な事でも)失敗する人が多いというのを
読んだ事がある。
「あまり考えない国民なのか?チャレンジ精神が旺盛なのか?」とか思っていたんだけど、
それはこの国の、「失敗を悪いこととはみなさない。逆に失敗を名誉とみなす」という風潮にあるようだ。

失敗しても平気(何度でもやりなおせる)、転職も興味があれば異業種に転職する
(全く傾向の違う職歴を持つ人が多い)、失業しても福祉が厚い国なので安心、
バイキングの子孫としての誇りを持ち、国民全員が詩人であり、自国の言語を愛する
(「幸福は客観的分析ではなく、想像力の極地」という説がある)、この辺が、
幸福度の高い理由なのか?

アメリカも再チャレンジの国だけど、最近は失業すれば保険を失い、次の転職先も見つかりにくく・・・
と再チャレンジしにくい国になっていると著者は思う。

また白夜があるこの国。
寒い国では1人では生きられず、他人との協調、互助が絶対必要だ。
互助は愛情の母であり、最初は自分の為であっても、最後は、他人の為に何かすることが、
見返りを期待しない無償の行為、当たり前の行為、「愛」となると著者は考える。
北欧の国の幸福度が高いのは、その辺があるのかもしれない。
後に出てくる幸福度5を切った極稀な不幸な国「モルドバ」は、この部分が全く欠けているし。

また「嫉妬しない」という点で、スイスとは似ているが、スイス人は「嫉妬される原因を表に出さない」
のに対し、アイスランド人は「共有」することで「嫉妬」という感情を消しているという。
そして憂鬱な気分さえ「親しんでしまう」「憂鬱もたまにはいい」と受け入れるたくましさ。

第6章は不幸な国「モルドバ」。
旧ソビエト連邦に属していたこの国は、幸福度が5を切る、稀有な国。

この国では民主主義になったことを喜ばない人も多い。
社会主義から民主主義になり、自由になったが、「自由」を知らなければ「自由」を求めなかった為、
社会主義時代を不幸と感じなかった、安定したソ連の生活を懐かしむ人も多いというのは、
以前テレビでも見た。
特に、解体時にある程度年齢が行っていた人たちは、時代の流れにも乗れず、
改革は苦難でしか無かったというのもわかる(頑張って働いて年金が貰えると思っていたのが、
貰える年齢になったらその制度が突然廃止されたようなもの・・・・って、自分達にもありそうだな~(^^;))。
幸福度が高い人々が民主主義を選ぶ事が多いだけで、民主主義が人々を幸せにする
わけではないというのは、旧ソ連の国々で民主主義になり、幸福度が下がった国も
あるというのからもわかるし、独裁政権も同じように絶対悪ではない。

この国では、民主主義とは名ばかりで、汚職と賄賂が蔓延し、人々は、他人、隣人どころか、
身内ですら信用しない。
アパートの水道管をみんなでお金を出し合って直すなど、自分にメリットがあることを持ちかけられても
協力しない。
状況を改善することを、端から諦めてしまっているのだ。
また、他者を救うことが自分を幸せにするという気持ちも信じていないという。
蔓延する嫉妬。それも向上心には繋がらない不毛な嫉妬だけがはびこる国。
互いに挨拶もせず、人々の顔には笑顔も無い。

そして、元々ルーマニアに属していたこの地域の人々は、「モルドバ人」であるという、
アイデンティティも誇りも無い。
「モルドバ」は建国に大失敗した国だという。
ルーマニア人からは、ロシア人と呼ばれ、ロシア人からはルーマニア人と呼ばれ、
言葉はルーマニアと差異がほとんど無く、宙ぶらりん。

著者は日本に数年間滞在していた事もあるようだが、日本はあまり合わなかったのがわかる
記述がちょくちょくある。
でも、この国に来て、「ありがとうございます」「失礼します」・・・etc、日本で辟易していた表面だけの
薄っぺらい挨拶の大切さを実感したらしい(笑)。

また、幸福は相対的なもので、全体が貧しい国よりも、先進国の貧しい人の方が、
住む家があり、テレビがあるなど、貧困国の貧しい人々より、恵まれた環境にいたとしても
不幸に感じる度合いが高い。
モルドバの生活は、金銭的にも厳しいが、それが不幸につながっているのは、
近隣に豊かなヨーロッパ諸国がある為、自分たちをドイツ人やイタリア人と比較する為、
周囲も貧困国であるアフリカなどより、幸福度が下がりがちというのもわかる気がする。

気分が滅入るモルドバの記事だが、著者が滞在していたロシア人老女との、
ほんとうにさりげない、ちょっとだけの心のふれあいが、心を癒す。

第7章、ほほ笑みの国「タイ」(幸福度6.6)では、考えない事が幸せにつながっているという。
思慮深さを美徳とする西洋の人にとって、タイで暮らす時、
タイ人達が頻繁に口にする「マイペンライ」(「気にするのはやめて、うまく生きよう」)は、
慣れるか、頭がおかしくなるかのどちらかだという(笑)。

タイ人は自己啓蒙本を買ったり、問題についてとことん議論することはない。
長年自分を深く省みる努力をして、それで何が得られたのか・・と疑問に思う著者は、
自分も「マイペンライ」と思えればと願うが、何かを放置しておくのは耐えられないだろうと、
自己分析もする。

タイ人やイヌイットは「考えることに懐疑的」な文化だと著者は言う。
イヌイットの言葉に「幸せな人々というのは考える動機がない。彼らは生きることについて疑問を持たず、
ただ生きている」というのがあるという。

またタイ人は、「冷静な心」を美徳とし、冷静さを失う事、怒ることを恥ずべき事としている。
だから滅多に怒らない。
しかし、怒った時はアクセル全開になるので、殺人・暴力事件が多いとも。

また「何事も楽しくなければ」という考えも持っている。
仕事も楽しく、人が転んだら助け起こしながらも、その人を見て笑う、芝刈りだって楽しむし、
楽しくなければやる価値がないとも。

大きな不幸でも、洪水でも災害でも、タイ人が他人や、政府などの責任を追求することなく
受け入れるのは、その宗教観も大きいのかもしれない。
現世がダメでも来世に・・・というタイ人の考え方は、最初に知った時は違和感を感じたが、
今はそういう考え方もあるなーとも思える。
タイ人は運命を操れないと思っている。
だから、物事を重く考えず、人生を楽しむ。

第9章、イギリス(幸福度7.1)では、幸福なことを表面に出さない。
「自分が幸福であるなら、それを出さずに、他の人と一緒に不平をこぼしなさい」だそうだ。
先進国の中では幸福度があまり高くないイギリスでも、日本よりは高い。
イギリスとアメリカは、元は同じ国だったとしても大きく違う。
イギリス人にとって「アメリカ人になりすぎる」「アメリカ的に少しでもなる」というのは、
考え得る限り最悪の事態だそうだ(^_^;)。
イギリス人は、アメリカ人が飛びつく「自己啓蒙本」は子供だましだと言って買わない。
もし買うとしたら「自分は大丈夫じゃない。でも他人はもっと大丈夫じゃない」というタイトルだという
風刺は、イギリス人の気質をよく現しているのかもしれない。
イギリス人は人生は耐えるもの、切り抜けるものだと思っている。
「最大多数の幸福」、功利主義を唱えたベンサムはイギリス人。
国民の大多数を幸せにする事は、逆に少数派を切り捨てることにもなると著者は言う。
この辺は、難しいけど、イギリス政府は、この功利主義的な傾向があるという。

さて、著者がイギリスを訪れたのは、地域のイメージが悪く、住んでいる人達の幸福度も低い「スラウ」
(泥でぬかるんだ土地という意味)の住民達の一部に、幸福学の専門家が指導し、
その指導された住民たちの幸福度をあげ、それが連鎖反応的に周囲を幸せにするという、
テレビ番組の大規模な実験のその後を追うためである。
その実験で、「スラウ」に住む人達の幸福度はあがったのかの追跡調査である。
ここでは、向き不向きはあるだろうけど、幸せ度をあげるためのいろいろな方法なども語られている。

9章はインド。
インドでは「アシュラム」という修行施設に3日ほど滞在する話がメイン。

インド人が矛盾したことを受け入れてしまうことについても触れている。
「誠実でありながら、いかさま師でもある」というのは、著者にとっては受け入れがたいが(私もだ)、
インド人は、それも有り得ると言う。
高尚なことを言っているグルが、お金儲けに奔走していても、インド人は、それも認める。
オウムの麻原彰晃も、インドなら受け入れられるのかもしれない。
「インドでは全て正しくて、その逆も正しい」とか。
この辺は、以前読んだインドの本で、触れられていたような記憶があるんだけど、朧気。

また手厚く保護されているカリフォルニアのホームレスより、インドのカルカッタのホームレスの方が
幸福度が高かったという結果も載っている。
インドでは「ホームレス(家族がいない)」ではなく、「ハウスレス(家がない)」であり、
社会とのつながりが深い事、また貧しいのは運命、前世のせいと考えられているインドと、
貧しいのは自己責任と追求されるアメリカとの違いもあるのかと考察している。

最後は著者の母国アメリカ。

彼は、幸せを求めて、マイアミに移住する。
物質的に恵まれているアメリカの幸福度は7.4。
世界で23番目の幸福度だそうだ。

アメリカは1950年に比べて3倍豊かになったが、幸福度はあがっていないという。
離婚率は2倍、暴力犯罪は4倍、精神衛生上の問題の発生率も上がっている。
稼ぐために仕事をし、家族や隣人との触れ合う時間は減り、「所有すれば幸せになれる」と
思ったものを次々と所有できるが、それは自分を幸せにしてくれないと知り、失望する。

著者は、幸せを求めてマイアミに引越し、そこに慣れ親しむ為に努力もしたが、幸福にはなれなかった。
幸福を求めて、アメリカ国内を転居する人は多いという。

エピローグは、幸せへの道は一つではない事、そして同じ要素でも、
人を不幸にしたり幸せにしたりすることが、簡潔にまとめられている。
「アイスランドは幸せたる資格が無いのに幸せだ」という文にはちょっと笑ってしまったけど(^^;)。
そして、著者が最後に書いているように、幸せの形がいろいろあることは、少し自分を幸せにしてくれた、
幸せな思考ができるようにしてくれたとも思う。

同じ事でも、不幸に感じるか、幸せに感じるか、辛いことでも、それを嘆き周囲へ恨みを募らせるのか、
辛さの中から、良い所を拾い上げるのか、1人1人違うのは知っていたけど、それ以上に
「しあわせ」の捉え方は広いということが、この本を読んでわかった。
お勧め(^-^)ノ!
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「図説 死因百科」マイケル・ラルゴ著:不条理、マヌケすぎ・・etc、アメリカでの様々な死因を集めた本! [本ノンフィクションいろいろ]

図説 死因百科

図説 死因百科

  • 作者: マイケル・ラルゴ
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2012/06/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.5点

戦争、伝染病、交通事故など、まっとう(?)な死に方から、カフェ、しゃっくり、寄生虫、電気製品・・など、
「こんな事でw(゚o゚)w?」「これは情けなさ過ぎる・・(-_-;)」なんて死因まで集めた本。
著者が、アメリカの膨大な資料をあさり、面白いエピソード、興味深いエピソードも網羅して
様々な死因をまとめた集大成本!
愚かな死に方などを集めたダーウィン賞でも取り上げられている、
強化ガラスが割れない事を証明しようと体当たりして、高層ビル24階から落ちたエピソードなど、
トホホだけど笑える事例も多数。

構成は死因・あいうえお順、「アイスクリーム」から始まり「あくび」「厚底靴」・・・・と245項目。
読み応えは満点!
不謹慎だけど笑っちゃうエピソードもあれば、自分も気をつけなきゃと思うものも。

「アイスクリーム」は、アイスクリーム移動販売車にアイスクリームを買いに行く途中で
交通事故にあった子供の数や、移動販売車の縄張り争い(熾烈らしい)での殺人事件と、
アメリカらしい事例が。
他にもアメリカならではという事例は多数だし、またかなり古い時代から調べてあるので、
死因の移り変わりから(トースターによる感電死が多発した年とか、エレベーター事故多発とか)、
アメリカの文化史(開拓時代の決闘の話や過酷な西部開拓の話)や、
科学技術の進歩(昔は多くの人が命を失った病気等)なども伺い知ることができる一冊。

映画「ポルターガイスト」は、出演者4人が亡くなっているのは知ってたけど、
「エクソシスト」も出演者や関係者が9人も亡くなっているとは知らなかった!・・・
と思って調べたら、これは噂の一人歩きみたい。
ということで、この本、歴史的なものなどの中には、諸説あるなかから面白いもの、
この本のテーマに沿ったものだけが紹介されてたり、ちょっと数値が怪しいものもあったり
(日本の伊豆大島三原山の連続自殺は、東京都大島町の公式サイトだと1933年1年間で129人。
よく見かける数値は944人、この本だと300人ちょっとでどこから出た数値か不明)、
「エクソシスト」の例のように、噂がそのまま載っているものもある。
膨大なデータ一つ一つを深く検証するのは難しかったのだろうし、完全に鵜呑みにするのではなく、
一つの読み物として楽しむのがいいかと。
様々な死因を知ることで、人々が歩む人生の多様性まで見えてきます。

最後に少しだけ紹介されている「墓碑銘」は、「エールをたっぷり飲み、パンチもワインもたっぷり飲んだ。
そして99歳まで生きた」なんてその人の生きざまを伺い知ることができる内容から、
「焼死。爆発したランプには「R.Eダンフォースの爆発しない灯油」が入っていた」なんて
欠陥商品の告発文、そして、「この石の下にわが妻が眠る。ようやく気が安らいだろうが、
それはこっちも同じだ」なんてのまで、ここだけでも面白かった。

ブラックなユーモアたっぷりで、楽しめます♪
お勧め(^-^)ノ。
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「オランダ人のまっかなホント」ロドニー・ボルト著:ものすごく寛容、でもケチなオランダ人、少し日本にも似ているのが不思議 [本ノンフィクションいろいろ]

オランダ人のまっかなホント

オランダ人のまっかなホント

  • 作者: ロドニー・ボルト
  • 出版社/メーカー: マクミランランゲージハウス
  • 発売日: 1999/10
  • メディア: 単行本
7点

各国の国民の特徴を、ウィットに飛んだ内容と、ちょっとシニカルな視点で紹介する
「まっかなホント」シリーズ。
今まで読んだこのシリーズ一覧・感想はこちらのページで。

今回読んだのは「オランダ人のまっかなホント」。

大麻が合法だったり、安楽死が認められていたり、傍目から見ても「寛容」そうなお国柄だけど、
実際そうらしい。

「寛容」と「柔軟性」、これがオランダ人の最大の特徴。
男同士がいちゃつこうが、マリファナがコーヒーショップで売られていようが、
移民や難民が変わった習慣を持ち込もうが黙認し、ヘロイン中毒者には、
無料で注射針を配ったりする。

寛容さは「美徳」であるだけではなく、「義務」なんだという。
ただ、この寛容さには、超えてはならない一線があるという。
それは「おのれの自由を侵害されないこと」。
自分が自由に生きる為に、他人の自由を尊重する、それがベースだと。

ただ、その「寛容さ」や「柔軟性」は、商取引上役に立つという点から生まれたらしい。
他の国で、オランダ人がジョークに取り上げられる時、その「ケチ」がよくネタにされているのを見る程、
オランダ人というのは、商売に対して抜け目が無いようだ。
中世時代、商業の発達により、商業都市がベースになり発展してきた国だからかな?

寛容で柔軟性がある為、他国の文化もどんどん吸収し、どのヨーロッパの国の人々も、
オランダ人には、何か自分と似たものを見つけられる。

またオランダ人は、率直な物言いをし、また全てに対してオープン。
家の中はカーテンが開けっ放しで、外から簡単に見える。
問題がある家庭かもすぐわかるが、その点は寛容の精神でスルー(^_^;)いいのか?

オランダ人は、「ヘゼリフハイト」(くつろぎと和やかさが合わさった状況)を理想とする。
狭い国土でひしめき合っているオランダ人は、この状態を大事にし、
日々の生活は「細やかな気配り」と「礼儀正しさ」から成り立っているという。

ここで面白いと思ったのは、この点、日本に似ているのだが、
日本人の「近所の人にどう思われるだろうか」とは違い、
オランダの場合、「ご近所のことを考えてあげなければ」という視点だということ。

日本も狭い国土に人々が暮らし、周囲に気を配る・迷惑をかけないことに重きを起き、
他国の文化をどんどん吸収するなど、表面上似ているけど、
根本が違うのが、どんどん不寛容に窮屈になっていく日本と、
寛容なオランダの違いかなと思ったり。

また、反対意見を重要視し、耳を傾ける姿勢がある、いろいろな視点から物事を見ようとする
というのも、寛容な理由かもしれない。

「人間は普通に行動しているだけで、じゅうぶんおかしな存在なのだ」と、
子供の頃から言い聞かされるという。
そんなオランダ人にとって許されないことは「ヘゼリフハイト」を壊すことと、
「ビジネスに悪影響をおよぼすこと」。

ただ、細かいマナーはいろいろある。
客は、出されたケーキを1切れ以上食べてはいけない(倹約精神)、
ふた切れ目を食べようものなら、無言の非難にさらされる(やっぱりケチだ(^^;))。

ただ、寛容という言葉に惑わされてはいけないらしい。
オランダ人は、カトリックだったりプロテスタントだったり、何かしら属するグループを持ち
他のグループの存在は認めている決して交じり合ったりはしないという。
干渉せず、平行線のまま、お互いが潰し合うこと無く、いろいろなグループが、
潰し合うことなく存在しあい、何本もの柱で支えている社会がオランダ。
自分と異質なものと交じり合わず、社会の一員として実感も感じられるという居心地の
良いシステムだという。
しかし、それが歪曲され極端になると「アパルトヘイト」(オランダ人植民者が創りだしたシステム)
のような状況にもなるという。

面白かったのは、熱狂的なファンのいるローリングストーンズのコンサートのチケットの
販売時のエピソード。
主催者側は、チケットを販売するのは3箇所だけ、その上、実際にチケットが販売されるのは、
その中の一箇所だけとしたというもの。
チケットを求めるファンを分散させただけでなく、そのチケットはブレスレットになっていて、
外そうとすれば切れ、並んだ本人しか入場できない、転売できないものとしたというもの。
すごく合理的だけど、日本だったら、「せっかく並んでも買えないなんて!」という
意見が多数で、できない方法な気がする。

オランダ人について、いろいろわかって面白かったけど、後半、オランダ人の生活(食、自転車、
法律・・・)などは、最終的に「寛容」や「商業主義」など、最初に説明されたことを
補足する構成になっており、似たような内容を繰り返し読まされている気分になってしまったのが残念。
それだけ、オランダ人は、基本的性質が、全体に影響を与えているということなのかもしれないけど。

そういえば、寛容なオランダ人は、似た気質であるドイツ人(もっと規則ガッチリだけど)を毛嫌いし、
これまた似た気質であるベルギー人を下に見ているとか。
隣国同士というのは相容れないものがある、どこでもそういうものなのかもしれない。
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「日本を捨てた男たち-フィリピンに生きる『困窮邦人』」水谷竹秀著:日本を捨てたのか、逃げただけなのか・・ [本ノンフィクションいろいろ]

日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」

日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」

  • 作者: 水谷 竹秀
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/11/25
  • メディア: 単行本
7点

「居場所を失って日本を捨て、彼らはフィリピンに飛んだ。待っていたのは究極の困窮生活。
しかし、フィリピンは彼らを見捨てなかった。」
と帯にもあるように、フィリピーナに入れ込み追いかけて、借金から逃れる為、心機一転新しい生活を
するため・・いろいろな理由でフィリピンに渡ったが、困窮生活に陥ってる邦人を取材した本。

2010年、海外で大使館に援助を求めた困窮邦人は768人。
そして、その中で、フィリピンで助けを求めた人は全体の43%、332人とダントツトップだそうだ。
何故、フィリピンがダントツなのか?
それは、フィリピンの貧しい人たちが、当たり前のように困った人に手を差し伸べるからだという。

1章は、職を転々とし、非正規雇用、単純作業、低賃金、広がる格差、独身、
・・・そんな希望の無い生活のまま40代、フィリピンクラブにはまっていた男が、
フィリピーナを追いかけてフィリピンに渡り、困窮邦人となった話。

持参した金が無くなったのが縁の切れ目で、フィリピーナに見捨てられ(このケースでは、
実は嘘だったのだが、フィリピン女性を追いかけて渡航し、お金が無くなり、別れ、
帰国できなくなるというケースは多いらしい)、
日本に帰る金も無い男に対し、貧しいフィリピンの人々は、簡単な仕事の見返りに、
食事を世話してくれたり、シャワーを貸してくれたり、いろいろ面倒をみてくれる。
この男の話は、嘘が多く、お金が無く日本に戻れないと言っていたが、
後日日本に帰国していた事が判明。
しかし、すぐフィリピンに戻ったりもしていて、結局内実がどうなのかはわからないまま。

2章は、若いフィリピン人と結婚できるとフィリピンに連れてこられたが、実はそれは偽装結婚。
戻る金も無く、フィリピンで困窮する50代男性の話。
日本に帰りたがっているが、家族との縁も切れ、唯一頼れそうだった友人とは連絡がとれず。
結局、その友人は孤独死していた事がわかる。

フィリピーナが日本で働くわけ、興行ビザが厳しくなり、偽装結婚して日本で働くフィリピーナが
増えている事などにも触れられている。

3章は、父親が倒れ家業の運送業を任されたが、運営資金をフィリピン・パブなどにつぎ込み、
ヤクザからも借金し、フィリピンに逃げてきた30代男性の話。
真面目に働き、体が動かなくなっても頑張ろうとする男性の父親の話が悲しい。

2008年に日本人男性がフィリピンで殺されたが、ちゃんと捜査もされないまま捜査は終了。
同年、海外で殺害された日本人は20人、その内フィリピンが8人と4割を占めるが、
同じようにちゃんと捜査されていないものが多いという。
フィリピンは、銃が簡単に買え、犯罪があっても、ちゃんと捜査されず、
お金さえ積めばどうにかなってしまうという貧困国故の闇の部分も紹介されている。

4章では、日本で高収入だったにも関わらず、タイ人ホステスとの浮気がばれ、妻と離婚。
その後フィリピンクラブで付き合ったフィリピーナと結婚し、会社が倒産したのを機に、
日本を捨てフィリピンに移り住んだ男の話。
フィリピンで日系企業に就職するが、現地採用の給料は思った以上に安く、
その上病気により下半身不随に。
在宅の仕事に変わるが、フィリピン人の妻とも結局離婚。
歩けなくなった男性をフィリピン人達は世話するが、結局持て余されてしまう。
海外で身体不自由になることの厳しさが垣間見える。

5章は、50歳まで会社一筋、家族もあり真面目な男性が、フィリピンパブに行った事により
血迷ってしまう。
妻と家族に一方的に別れを告げ、フィリピン人と結婚。
会社の希望退職で得た数千万の資金とともにフィリピンに渡る。
しかし、フィリピン人妻の家族や親族のために、家を建て、車を買い、妻の勧めで事業も始めるが、
事業は失敗。
資金が少なくなった頃、離婚。
妻名義の家は取られ、困窮邦人に。

フィリピン人にはまる男性(女性も)とその理由についても述べられている。

最後の締めで著者は、登場した男性達は「日本に捨てられたのではなく、
日本を捨てた」と書いているが、本当にそうとは思えなかった。
職場でうまく行かずやめざるを得なかった人間が「あの会社はダメだったから、
こっちから見切りをつけた」と言っているような気が。

登場する男性のほとんどが、帰国とフィリピンに居続ける事の狭間で揺れ動いている。
以前、終戦後「国を守れなかった」と自分を恥じたり、いろいろな理由で日本に帰らず、
東南アジアなどで現地に残る事を決意した人たちの本を読んだ。
日本とは全く違う環境で、生活基盤を築き、現地で家庭を作り、家族に囲まれそこに
根を下ろした老いた元日本兵達の、日本との決別の意志の潔さとは対照的だ。

貧しい環境に育つ、貧しい環境にいると日本では不幸、フィリピンではお金が無くても
幸せで笑っている著者の主張にも「???」という部分が。
確かに、日本の方がお金が無いと厳しいことは多い。
でも、日本だって、貧しくとも家族に囲まれて笑っている人はいるだろうし、
逆に、フィリピンでも、お金がなく困窮して困り果てている人たちがいるだろう。

ただ、日本とフィリピンで、違う点も多い。
日本人は周囲を気にして迷惑をかけないように気をつける、その分、迷惑をかけられると怒る。
以前は、もし迷惑をかけられても「お互い様」と流していた事も多かったと思うが、
最近は、怒る人が増え、その傾向は、年々強まっている気がする。
逆に、フィリピン人は迷惑をかけることもかけられることも気にしないという。
また、フィリピン人は家族を大切にし一緒にいる事が当たり前だけど、日本人は1人で暮らす人も多い。
この辺に、「困窮邦人」を受け入れる土壌の差というものがある気はする。

「日本はお金が無いと不幸」という側面は確かにあるけど、
上記したように、誰もがそうじゃないと思う。
それに、ここに登場する人たちは、食べられないほど生活に困っていたのではなく、
ギャンブルやフィリピーナで散財し、お金が無くなったりした人だ。
お金が無くても(程度にもよるけど)、家族を思いやり大事にし、支えあっている人達は、
日本にだってたくさんいると思う。
ここに登場する人達は、支えてもらおうという気持ちはあっても、支えようという気持ちは無い。
この本に出てくるほとんどの日本人がフィリピン人と結婚しても離婚されてしまっているのは、
家族を大事にするフィリピン妻と同じように家族を大事にしようとはしない、その結果なような気がして、
日本でもフィリピンでも結局同じ事なのでは・・とも思えてしまう。

著者は、餓死者が出る、孤独死する、そういう日本社会の問題を、
困窮邦人を受け入れているフィリピンとの対比でクローズアップしようとしたのだろうけど、
好き勝手に生きて困窮するのと、家族を思いやり苦労を共にして生きて困窮するのとでは
違う気がする。
体が動く若いころは、家族は煩わしい、1人気ままがいい、迷惑をかけないかわりに、
かけられるのも嫌、気の合う同年代の仲間とだけ楽しく、という考えは確かに歳をとったら困る。
70歳を過ぎた頃から、周囲に頼らなければできないことが徐々に増えていくし、
体が思うように動かなくなったり、病気などになったらなおさら、家族の存在というのは大きくなる。

独身で老いても親族や周囲に支えられて頑張っている人は、若い頃から、
ちゃんと親族と連絡をとったり、行事に出たり、人に何かしてあげる事、
関係を続ける事を義理や嫌々ではなく、そこに楽しみを見出し、当たり前の事のようにやってきている。
逆に、1人が楽、近所付き合いや家族や親戚は煩わしいと距離を置いて、
気が合って楽しい人達だけと付き合っていた人は、老後孤独になりがちだ。

孤立死が問題になっているけど、それよりその前の状況、「1人で生活できないが孤独」の方が
苦しい気がする。
長ければ5年10年15年とそういう状況が続くし。
NHKでも、独居高齢者が病気になった時の問題、病院への負担増、
これ以上独居(近くに頼れる身内がない)の人が増えた場合、そういうサポートが無理になる
(これは介護でも同じ)と、独居高齢者が増えるにつれ、独居高齢者が置かれる状況は厳しくなると思う。

フィリピン人を見ていても、若い人達がちゃんと家族を思いやっているからこそ、
繋がりが維持できるのだと思う。

家族愛の大切さや絆、それを失いつつある日本と、家族の繋がりが強いフィリピンを
比較したいのはわかるが、その中心になるのが「困窮邦人」というピースであることが、
どうも違和感が強くてダメだった。
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「シルバー川柳」クスっと笑える川柳満載。でもあっという間に読み終わる。 [本ノンフィクションいろいろ]

シルバー川柳 (一般書)

シルバー川柳 (一般書)

  • 作者: 社団法人全国有料老人ホーム協会
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2012/09/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


表紙に「誕生日 ローソク吹いて立ちくらみ」とあるように、老いをテーマに、
クスっと笑える川柳を集めた本。

「躓いて何もない道振り返り」のように、歳をとった事を実感する事を詠んだ川柳や、
『三時間待って病名「加齢」です』のように、表紙と同じく老いのトホホ感を詠んだもの、
「ボランティアするもされるも高齢者」のように、現代社会を切り取ったものも。

どれも面白く興味深い八十八本が収められていますが、ほんとうに川柳だけの収録。
高齢者向けに字も大きく、1ページに川柳一本、たまにイラストという構成。
解説などは、あとがきのみ。
なので、10分ちょっとで読み終わってしまった(^^;)。

何度も読み返すなら、買うのもありだけど、そうじゃなければ立ち読みで充分かも。
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「不思議で美しい石の図鑑」山田英春著:瑪瑙(アゲート・カルセドニー)とジャスパーが中心。他に風景石など。 [本ノンフィクションいろいろ]

不思議で美しい石の図鑑

不思議で美しい石の図鑑

  • 作者: 山田 英春
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2012/02/09
  • メディア: 単行本

7.5点

表紙に並べられている石をよく見ると、鉱物に詳しい人なら気がつくと思うのですが、
どれもが、大きな結晶ではなく、微細な結晶が集まり創りだした美しい石ばかりです。

この本では、瑪瑙(アゲート・カルセドニー)、ジャスパーを中心に、
複数の鉱物が交じり合って一つの石塊になり、美しい模様を作り出している石を紹介しています。

水晶(石英)も、瑪瑙も良く知られた鉱物ですが、それを構成しているのはシリカ(SiO2=二酸化ケイ素)。
シリカが大きく結晶を作ると石英・水晶になり、シリカの微細な結晶が集まると玉髄(カルセドニー)に
なります。
玉髄の中でも、模様が美しい層になったものが瑪瑙(アゲート)と呼ばれます。
また玉髄に不純物が混じり不透明になったものがジャスパー。

この本の2/3くらいが、瑪瑙とジャスパーの紹介。
様々な模様を作り出す瑪瑙とジャスパーですが、産地によって大きな違いが。

繊細な縞模様と豊かな色彩で瑪瑙の最高峰とも言われる「ラグーナ・アゲート」(メキシコ)、
カラフルな色彩と霰石の六角柱状の結晶の仮晶の「コミヤト・アゲート」(メキシコ)、
目の覚めるような色彩が特徴の「コンドル・アゲート」(アルゼンチン)、
透明度は高いがグレー・茶など地味な色調と曲線が魅力な「ボツワナ・アゲート」。
模様がレース状に見えるレース・アゲートにも、細部は細かく繊細ながら、ダイナミックなジグザグ
模様や、チューブ状同心円模様を持つ「クレージー・レース・アゲート」(メキシコ)などの種類が。

包有物=インクルージョンが模様のように見えるアゲートからは、
金属の結晶が樹状に成長した「デンドリティック・アゲート」、
コケが水草が入っている様に見える「モス・アゲート」、羽毛や草花の様に見える「プルーム・アゲート」
などが紹介されています。
「デンドリティック・アゲート」は、亀裂に金属の結晶が入ったものだけど、
「モス・アゲート」や「プルーム・アゲート」は、瑪瑙が結晶するのと一緒にインクルージョンも
内包され、立体感があることを、この本で知りました。

面白かったのは、方解石の大きな結晶が瑪瑙に置き換えられた仮晶を含む「ポリへドロイド」
(ブラジル)で、大きな幾何学模様の層を作り出しています。

また瑪瑙だけでなく、ジャスパーにも、球状のオーブが散った「オーシャン・ジャスパー」
(マダガスカル)、ジャスパーの王様と呼ばれるらしい「モリソナイト」(アメリカ)、
「インディアン・ペイント・ストーン」(アメリカ)、「ウィロー・クリーク・ジャスパー」(アメリカ)など、
様々な特徴と美しい模様があることが、この本を読むとわかります。

後半1/3は、「セプタリアン・ノジュール」「孔雀石」「クリソコラ」「アズライト」「チャロアイト」など、
模様が美しい石が紹介されています。
また「風景石」の章は、模様が風景に見える石を紹介してあり、
自然が作り出したものが、本当に描かれた風景のように見えるのにびっくりしました。

大判な本なので、それら石の模様が、大きく綺麗な写真で紹介されているのが嬉しい♪
鉱物の中でも、瑪瑙・アゲート・孔雀石・アズライトなど、美しい模様を描き出す石に
スポットをあてているというのも面白い。

お勧め(^-^)ノ。
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「宝石・鉱物 おもしろガイド」辰尾良二著:宝石を買うならどんなのを選ぶべきか、から鉱物トリビアまで、面白い! [本ノンフィクションいろいろ]

宝石・鉱物おもしろガイド

宝石・鉱物おもしろガイド

  • 作者: 辰尾 良二
  • 出版社/メーカー: 築地書館
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 単行本

8点

宝石や鉱物について、わかりやすく、面白く解説した一冊!
宝石・鉱物関係はいろいろ読んだけど、ちょっとしたトリビアが多いのと、
読み物としても面白く、とても楽しんで読めました♪

宝石コレクターと鉱物コレクター、傍目から見ると同じように見えるけど、内実はかなり違う、
というのが、最初にはっきり書かれています。
宝石コレクターは、お金が無いとかなり難しい。
この著者の場合は、鉱物コレクターメインだけど、宝石の方もそれほど高くなければ
コレクションしているようで、鉱物コレクターの気持ちと、宝石コレクターの気持ちその両方が、
いろいろな所に顔を出しているのが、面白い♪

「婚約指輪として持っていたら宝石通をうならせることができる」と著者が評価している、
稀少な「バライバトルマリン」(色味がイマイチなのは、流通量もある程度あるようですが)。
他人が持っていないものを持つという優越感、満足感で、この宝石が欲しい!と言い切った著者。
しかし、別の章では「ラピス・ラズリ」は原石の方が美しく、こぶし大でも2万円ほど。
持ち歩ける大きさではないけど、人様に見せる必要はなく、毎日手をとって頬ずりして
1人楽しめばいい・・なんて事を書いてたりします。
本人も、そう思ったのはこの石くらいらしく(『宝石は「いかに自分の虚栄心を満足させられるか」の
付加価値だけで成り立っているのに、人に見せなくていいと思うなんて!』と自分でびっくりしてた)、
ご神体とラピス・ラズリを同じようなものだとまとめてたりします(笑)。

一般的に、鉱物に興味がある人よりは、宝石に興味がある人の方が多いと思います。
数百万もする宝石は買わなくても、数万~10万程度の宝石を買おうか、
でも本当に、その価値があるの???いい品なの?と悩んだ人は多いはず。
そんな疑問に、答えてくれる本でもあり、各宝石章には、その宝石毎の価値の基準やチェック点、
大まかな値段(8年ほど前の本なので、変動はあると思いますが)も書かれています。
価値の基準は、独断と偏見に満ちている部分もありますが、
ちゃんとそういう部分は、そう断ってあります。

また業界裏話とまでディープじゃないけど、「シトリントパーズ」のように、トパーズでは全く無い
「シトリン」(黄色い水晶)を、トパーズと間違うようなネーミングで売っている、
店員すら、「シトリントパーズ」を、水晶ではなく「トパーズ」と思っていたりするなど、
宝石業界のネーミングの節操の無さと、社員の無知さなどについても触れています
(水晶に宝石的な価値はほとんどありません)。
トルコ石などは、天然物が少なく、1cmほどの指輪で20万ほど。
通常1万前後などで売っているものは、偽物、練り物などの上、本物そっくり。
通常見分けが付かない上、出回っていないので、本物を買ってもそれと分かってもらえず、
少し知っている人なら「偽物」と判断されてしまう為、身に着けていてもその価値が分かってもらえず、
「トルコ石は買わない事がベスト」とまで言い切ってます(^^;)。

ちなみに水晶玉って、本物は直径10cmを越えるものは100万くらいするらしい。
水晶玉ってよく売っているけど、普通見かけるのは、全部ガラスらしいと、この本で知りました
(でも、店員さんも「水晶」だと信じて売ってたりするとか)。
大きな水晶玉に関しては、複屈折を使った有名な見分け方がありますが。

宝石を加熱・放射線・浸透などの処理をして、耐久性を高めたり、色を変えたりする
「エンハンスメント処理」(天然石としての価値は無くなると著者は断言してます)についても、
耐久性などの問題で必要な宝石、流通しているのはエンハンスメント処理されたもの
ばかりの宝石など、これも各宝石の章で語られています。

また鉱物コレクターの側面も語られ、黄色いベリル「ヘリオドール」など幾つかの鉱物に関しては、
「ケースに入れてその美しさをニヤニヤ楽しむ」なんて表記も。
宝石店で買うべき石、ミネラルフェアなどで安くゲットできる石なども書いてあります。

それに、宝石の特徴もかなり分かりやすく、面白い例えで語られていたりするのも楽しい♪
「硬い」の代表、ダイヤモンドは、「傷つきにくい」だけで、「割れにくい」のとは違うというのを、
「試しに(ダイヤモンドを)ハンマーでボンと叩いてみて頂ければ、思った以上に木っ端微塵に
砕け散るそのさまに、目の玉が飛び出るというステキな体験もできる」なんて書いてあるし、
「やったことは無いけど、ダイヤモンドはボーボー燃える」なんて表現も。
ちなみに、割れにくいのは「翡翠(硬玉・ジェダイト)」だそう。

一つだけこの本の難点を言えば、宝石・鉱物の写真がほとんど無い事。
最初の方に、4ページほど、カラーで一般的な宝石・鉱物が紹介されているだけ。
読み物中心だからこそ面白いのだろうけど、オレンジとピンクが交じり合ったようなコランダム
「パパラチャ」や、空の青とも海の青ともつかない色の「バライバトルマリン」
(著者の表現では「青色発光ダイオード」)など、本書の中で、
興味をすごくひく紹介をされているものの多くは、自分でネットなどで探さなければいけない。

でも、笑えて勉強にもなって、実用性もある、かなりお勧めの本です(*^.^*)!
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「イモムシハンドブック」安田守著:隅から隅までイモムシだらけ~!! [本ノンフィクションいろいろ]

イモムシハンドブック

イモムシハンドブック

  • 作者: 安田 守
  • 出版社/メーカー: 文一総合出版
  • 発売日: 2010/04/10
  • メディア: 単行本

7点

鳥を題材にした4コマコミックエッセイ「とりぱん」の著者が、「とりぱん」が掲載されている
モーニングの柱部分の著者の一言で、この本を紹介していたので読んでみました。

日本のチョウやガのイモムシ226種を紹介した、イモムシの為の入門書!
どのページを開いても、イモムシ!
イモムシ、イモムシ、毛虫、イモムシ、毛虫・・・・・・100pほどあるこの本の中で、
イモムシの姿が無いのはほんの数ページ。

最初の方には、この本で紹介されている、イモムシ226種類の原寸大(一部縮小)の写真が、
ズラーッと並べられたページが10ページも続いて壮観Σ( ̄ロ ̄lll)!
もう、その数に、既に圧倒されてしまった。
パッと見、同じように見えるイモムシだけど、こんなに種類がいたのか~!!

その後は、各イモムシについての説明、成虫や蛹の写真なども掲載しつつ、
1ページ2~3匹ずつ紹介している。
写真がキレイで、イモムシの姿が細部までよくわかるのは楽しい♪

特に面白かったのは、成虫との違いで、よく見かける地味なチョウやガの幼虫が
すっごくカラフルだったり、個性的な姿をしていたりした事や、
こんな変な姿のイモムシがいるのか~!と知ることができた事。
シャチホコガ」なんて、イモムシとは思えない姿w(゚o゚)w!

しかし、あまりにも種類が多すぎるし、細部は違っていても、パッと見は「緑色のイモムシ」だったり、
「茶色い毛虫」だったり、「カラフルで毛がちょっと生えた毛虫」だったり、いくつかのカテゴリーに
分けられてしまうものなので、外でイモムシに遭遇しても、この本と照らし合わせないと、
何のイモムシかはわからない気がする。

まぁ「ハンドブック」ということなので、持ち歩いて使うのが本来の使い方。
イモムシに遭遇した時、持ってたら確かに便利そう♪

よく見かける、茶色くて毛がボーボー生えた大きい毛虫が「ヒトリガ」の幼虫だったのが
わかったのは、長年の謎が解けて良かった。
本にも「初夏に歩いている姿をよく見かける」と書いてあったので、たぶんそうだろう。

イモムシって、こんなにいろんな姿形をしているのがいるのか!!ってわかる一冊。
写真満載なので、眺めるだけでも楽しいです(*^.^*)。
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「飼い喰い-三匹の豚とわたし」内澤旬子著:自分で豚を育て、それを食べる!想像以上にそれは大変!! [本ノンフィクションいろいろ]

飼い喰い――三匹の豚とわたし

飼い喰い――三匹の豚とわたし

  • 作者: 内澤 旬子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/02/23
  • メディア: 単行本
8.5点

以前「世界屠畜紀行」という本で、世界各国の屠畜についてルポを書いた著者。
「世界屠畜紀行」は、屠畜のルポは面白かったが、メインが「屠蓄業者の差別問題」だったため、
「命を奪いそれを食べる行為と嫌悪感や罪悪感」というような、自分が読みたかったものとは、
ちょっと外れていた。

しかしこの本は、タイトル通り!
著者が、3匹の種類の違う豚を育て、それを食べるまでが、詳細に描かれている。
また、それだけではなく、日本の養豚業者や屠蓄業者に関して、その仕事内容やシステム、
そして大変さなどについてや、徐々に養豚業者数が減り、それに比例して一軒の養豚業者が
育てる豚の数の肥大化など、日本の養豚業の遍歴についても書かれている。
私達が、日頃何気なく買っているスーパーに並んでいる豚肉。
しかし、その陰には養豚業者や食肉センター(屠畜解体)に従事している人の、
大変な努力があるのが、読むとわかる。

まず著者は畜霊祭へ参加する。
実は、畜霊祭ってやってるの日本くらいらしい。
西洋は、「家畜=食べられる為に存在し(神が作ったもの?)その為に人間が育てているもの」的
な感覚があると聞いていたので(鯨はそうじゃないからダメらしい。突き詰めると
結局は「自分の価値観・感覚で嫌なものは許せない」という結論になる気がする←万国共通)
なんとなくわかるんだけど、他の地域でも無いのは驚いた。

その後、豚を飼育できる場所を探すのだが、豚を飼うというのは、近隣の反対も多く難航。
「別々の養豚農家から引き取った3匹の豚を、どこかの養豚場の片隅で」というのは、
大規模化が進み、感染症の侵入を恐れる養豚農家から見ると、無理なことだったらしく、
千葉で廃屋状態元居酒屋の空き家をどうにか見つけ、そこに住んで飼うことに。

著者が豚を飼える場所探しに苦労したり、昭和中期から近所の反対で、数頭ほどの豚を買っている
養豚農家がどんどん減ってしまったというのはよくわかる。
私が、中学の時、家を建てて引っ越した場所の隣が豚を飼っていたから。
区画整理で、勝手に土地が移動され、その場所が豚小屋の隣(^^;)。
豚小屋自体それほど大きくなかったから数頭飼ってたくらいだと思う。
それでも、夏はかなり臭いがしたし、朝夕の餌の時間になると、豚の鳴き声がすごかった。
たまに豚が逃げ出して、道路を歩いていたりしたけど、とにかく超巨大でそれにびっくり!
「豚を見ませんでしたか!?」と持ち主が血相変えてやってきて、
「あ、この道をあっちに歩いて行きました」なんて会話をしたこともある。
こちらが後に越してきたので、「まぁしょうがないか~」って感じだったんだけど、
新興住宅地だったので、人がどんどん増え、その中からクレームを言う人も増えて、
結局その豚小屋は無くなってしまった。
先にあったから受け入れたけど、後から豚小屋ができるとなったら、家だって反対したと思うし。

飼える場所が決まっても、資金がほとんどなく、自分や知人達の手を借りて、
コンクリートを練ったり、門をつけたり、とにかく豚小屋の準備だけでも、大変。
最初に豚を育てている人に相談した時は「犬を飼うようなもの」と言われたらしいけど、
実際は、もっともっと大変なのがよくわかるし、著者も準備をしている段階で、それに気がつく。
特に、大量に出る糞尿の処理は、念には念を入れて、対策を考えたようだ。
著者は、作中で自分がかなり非力だと書いていたんだけど(実際そう思われる描写もしばしば)、
巻末近くに載っていた写真を見たら、確かに細くてか弱そうで驚いた!!
自画像だと、そこまではか弱そうじゃないし、行動もアクティブなので、多少の謙遜が入ってるのかと
思ってたんだけど、そうじゃなかったみたい。
豚を育て上げて、かなり筋肉がついたらしいが、それはこの本を読むと、納得できる。

著者は豚の種付け、出産、予防接種、去勢、断尾など引き取る前にもいろいろ取材、
また実際体験していて(去勢時の描写は痛そう)、この辺も興味深かった。
大規模養豚農家がほとんどで、一日に多くの豚に対応するため、迅速に行わなければならないし、
どれもが重労働。
工場で大量に処理するのと違って、手作業がほとんど。

著者が引き取った豚は、雑種LWD(Lランドレース・W大ヨークシャー・Dデュロックの
掛け合わせ)三元豚・デュロック・中ヨークで、それぞれ夢、秀、伸と名前をつける。

3匹の豚との生活は、楽しさあり、苦労ありで、ここだけピックアップしても、
ほのぼのした「豚との生活日記」で、とても面白い。
著者より優位に立とうとマウンテンしたり逆らったり大変な夢、マイペースで食っちゃ寝食っちゃ寝、
豚の模範生のような秀、弱虫だけど人懐こい伸、3匹それぞれ個性があり、
豚の行動や性質もわかるし、巨大化しなければ、確かにペットとして飼ったらとっても可愛い気がした。

でも、3匹は1年後、屠畜場に送られる運命。
屠畜直前になって懐いて来た秀が可愛くて、秀だけは残そうかとか、著者も葛藤したりする。
しかし、千葉の田舎の仮住まい舎で豚を飼い続ける事は難しく、3匹とも最初の計画通り屠畜することに。

今は、家畜を個人で捌いて食べてはいけないという法律があるようで、著者は、
自分で豚を解体するのを諦め、食肉センターに頼むことにする。
一日に1800頭もの豚を解体するセンターなため、著者の豚3匹だけは、解体後も
どの豚かわかるようにして、内蔵も骨も、とにかくすべてを引き取るという事すら、
段取りがすごく大変だったよう。

そういえば、いつから家畜を自分で殺して食べてはいけなくなったんだろう?
私が今住んでいる多摩地区でも70~80年くらい前、昭和初期ぐらいまでは、
農家では庭で豚を飼っていて、何かお祝いごととかあると、殺して食べていたらしい。
「豚の頭をボカっと殴ると、バタっと倒れるんだよ」なんて話を、昔から住んでいた人が教えてくれた。
自分の家だけでは食べきれないから近所にふるまい、他の家の豚が屠畜された時は、
そのお相伴に預かったとか。
豚ってものすごく大きいけど、農家で残飯などで育てられていたなら、
そんなに大きくならなかったのかな?

そして、著者は、屠畜場で、3匹の豚が命を奪われるその時も、しっかり見ている。
私だったら、見ることができないかも・・・・と思ってしまった。

途中、著者の言葉に

「結局何が可哀想で何が可哀想でないか、何を食べて、何を食べないか
という基準のもとになるものが、わからなくなる。・・・結構いい加減な、単なる習慣に
基づいているだけにすぎないのではと思わされる。なのに、ほとんどの人は、
それを絶対的な確固たるものだと思い込んでいる。時にはタブーであるかのように、騒ぐ。
実に不思議だ」

というのがある。
本当に、これには共感してしまった。
もちろん、人にとって嫌なものは嫌なんだろうから、自分が感覚的に許せない事を、
他人にも押し付けてタブーだ、おかしいと騒がれると「???」と思ってしまう。
主観メインの主張というのは、多分に自分に対してのご都合主義が働くものだと思う。
著者の母親が、ずーーっと「自分が育てた豚を食べるなんてやめて」と騒いでいたのに、
一度、その豚たちの肉を食べると、態度が180度変わってしまったように。
本人はいいのかもしれないが、最初に非難されて嫌な思いをしていた方から見れば、
あっさり主張が変わってしまって「えーー何それ!?」って感じてしまうこともある。
他人だけの話じゃなく、この辺は自分もやりがちなので、気をつけているけど。

また、1年かけて育て、枝肉になった豚肉の価格には、かなり驚くべきものが。
養豚農家の苦労が、その辺からも垣間見える。

著者が、豚を屠畜したのが2009年9月。
その後2011年3月11日の東日本大震災時、今回のルポでお世話になった養豚農家や屠畜場が
どうだったのかの報告もある。
大規模なだけに、停電などの影響が大きく、また生き物なだけに、状況が回復するのを待つわけにもいかない。
当時の関係者の奮闘ぶりや大変さが伝わってくる内容だったし、千葉ですらそうだったのだから、
被害が大きかった地区の養豚農家、酪農家などがどれだけ大変だったのか、
どれだけの絶望感を味わったのかが、想像できて、辛かった。

帯に「豚は豚である。飼えばかわいく愛らしく、食べれば美味しい」とあるけど、
それがよくわかる一冊。
自分の見えない場所で多くの家畜が屠畜され、精肉となってスーパーに並んでいる。
そういう現実や命を頂くということを再認識するだけじゃなく、それを提供する為日々奮闘している
養豚業者や屠畜関係者などの苦労を知るにもよい本です(^^)。
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「パパは金属博士」(吉村泰治著)・「知ろう食べよう世界の米」(佐藤洋一郎著)・「カビの本」(佐々木正美監修) [本ノンフィクションいろいろ]

パパは金属博士!―身近なモノに隠された金属のヒミツ

パパは金属博士!―身近なモノに隠された金属のヒミツ

  • 作者: 吉村 泰治
  • 出版社/メーカー: 技報堂出版
  • 発売日: 2012/05
  • メディア: 単行本
5点

知ろう 食べよう 世界の米 (岩波ジュニア新書)

知ろう 食べよう 世界の米 (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 佐藤 洋一郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/07/21
  • メディア: 新書
7点

トコトンやさしいカビの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしいカビの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: カビと生活研究会
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 単行本
6点

基本ジュニア向けの本3冊。
といっても、「パパは金属博士」は、小学生くらいをターゲットにしたものだと思われる。
「知ろう食べよう世界の米」は中高生。
「トコトンやさしいカビの本」は、構成はイラストが多めで小・中学生向きだけど、
内容はカビの特徴の他、カビ対策と日本の家の構造の関係とか、掃除の仕方などまで扱っていて、
対象は小学生~大人まで幅広くって感じ。
------------------------------------------------------------------
「パパは金属博士」は、最初に父親と家族たち日常会話が会話があり、
その会話の内容を、その後の具体的な説明で引き継ぐという構成。

ただ、最初の会話は導入になっていないものも多く、ほとんど必要ないというか。
『「寝坊しちゃった」「夜更かししてるからでしょ」「あー、髪の毛がまとまらないよ」(鏡の前で)』
てな感じの内容が「鏡」の章の導入だし。
鏡は、銀の高い反射率を利用している事と、銀の錆止めの話が書いてあるけど、
2ページの内、1/3くらいのスペースを上記の会話がしめているし。

ノートパソコンボディに使われている金属とその理由、縫い針の先端の形状の違い、
ボールペンの先端の秘密、「ブラスバンド」の「ブラス」の意味など、
金属にまつわる豆知識が、サクッと簡単に説明してあるので、
確かに小学生くらいには楽しめる内容になってると思います。
大人が読むには、あまりに簡単過ぎて(知らないことも確かにあったけど)、
上記した会話部分など、大人にとっては全く楽しめない部分が多いので不向き。
---------------------------------------------------------------------

「知ろう食べよう世界の米」は、米や稲作の起源、米の種類、世界の米に関する食文化の違いなどを、
まとめた本で、詳しい内容を噛み砕いて説明してあり読みやすく、参考にもなった。

逆にそれが難点にもなっていて、米の種類、品種による違い、系譜、交配による変化などが
かなり詳しく説明されている為、「文化的側面」の紹介が少し弱め。
「文化的側面」を詳しくマクロな視野でまとめた文章を読みたかったので、その点では物足りなかった。
エッセイ的な内容も含まれているからかな?
自分の説や研究成果を簡潔にまとめて述べるような明確さはなく、散漫な印象が
(中高校生向けだから、それもありだと思うけど)。
結果が出ていない事に関して、著者の見解が無いものがあるのも気になった。

でも、各地での米の食べ方の違いとおかずとされているものの特徴、
粘りが無いタイ米などの米が何故好まれるのか、
もち米を食べる地域、ヨーロッパに根付かなかった米主食の食文化、アメリカの米など、
世界の米食文化についての概略はわかる。

また、洪水になると節を伸ばし何メートルもの高さになり、洪水が引いて干上がると、
倒れた状態から、むっくりと頭を起こすように穂を立てて伸びる、アジアの浮稲の話など、
面白い話も多かった。

世界の米食文化に興味がある人に(^-^)ノ。

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「トコトンやさしいカビの話」は、カビトリビア本で、カビに関しての豆知識がイラスト付きで
わかりやすく説明されている。

でも、ほんと豆知識止まり。
実用性がある記事も一部あるけど、ざっくり読み流すタイプの本。
もうちょっとカビに対する「愛」が感じられたら良かったのに。
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「楽しい鉱物図鑑1・2」堀秀道著:タイトルは軽いけど、内容はしっかりしてて重い(?) [本ノンフィクションいろいろ]

楽しい鉱物図鑑

楽しい鉱物図鑑

  • 作者: 堀 秀道
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 1992/10
  • メディア: 単行本
7.5点

楽しい鉱物図鑑〈2〉

楽しい鉱物図鑑〈2〉

  • 作者: 堀 秀道
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 単行本
7点

メジャーな貴石・宝石から、地味な鉱物まで245種類を紹介した「楽しい鉱物図鑑」。
ジャンル分けは鉱物の科学的構造によってで、元素鉱物、硫化鉱物、酸化鉱物・・・etcとなっている。
ジャンル分けからもわかるように、鉱物の組成、結晶構造など、科学的なアプローチが中心。

これはこれで新鮮で面白かったけど、自分にはかなり敷居が高く、
何度も「元素 (図解雑学)」(鉱物にはまってからちょこちょこ読んでる)を確認したりしてしまった。

その鉱物の一般的な形状や色、組成物質による性格の違い、産出する場所や場所によっての違い、
鑑定方法から、マニアの人気度、レア度などまで書いてあって、ちょっとマニア向けな感。

科学的視点からのアプローチは面白かったけど、1度読んだだけだと、私の知識では消化不良。
何回か読み直さないと・・・って感じ(^^;)。
本の終わりの方にある「輝石」「角閃石」「雲母」「緑泥石」などの造岩鉱物については、
特にそう思った。

「楽しい鉱物図鑑2」の方は、アプローチの方法は1冊目と同じでも、
1よりも、扱っている鉱物がマイナーで、全然知らないものが多く、
まだ私には早すぎという内容でした(^^;)。
また、説明に「1巻参照」というものも多いので、1を読んでからの方がいいと思います。

この本の前に出された、「楽しい鉱物学―基礎知識から鑑定まで」を読むべきかな。
読もう。
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「天然石のエンサイクロペディア」飯田孝一著:写真も情報も盛り沢山で読み応えあり(過ぎ)!! [本ノンフィクションいろいろ]

天然石のエンサイクロペディア

天然石のエンサイクロペディア

  • 作者: 飯田孝一
  • 出版社/メーカー: 亥辰舎
  • 発売日: 2011/01/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
8点

「天然石のエンサイクロペディア」という書名に負けない、盛り沢山ぶりの一冊!
鉱物ではなく、宝石よりの解説で、写真も原石、カット石、様々なカラーバリエーション、
原石、カット石でも産地が違うものと、一つの鉱物の紹介でも、いろいろな種類が見られるのが、
とても参考になった。
それにしても、同じ名前の天然石でも、色も形も何もかも違ってたりするのもあって、
こりゃ科学的に調べないと判別不能なものが多いのも当たり前か・・と思ってしまった。

構成は、見開きに、ずらーっと並べられた原石、カット石、結晶などの写真(10~23種類ほど)。
次のページ見開きで、その宝石の説明と、前ページの写真の石について、それぞれ解説。
写された原石・結晶・カット石などにそれぞれ番号がついていて、それを参考にしながら、
前後のページを何度もめくりながら確認しなければいけないので、とにかく読むのは大変だった。
ここ3週間ほど、毎日毎日毎日、ちまちまちまちまと読んで、どうにか読了。
ほとんど他の本が読めなかったくらい。
それでも、この本に載っている膨大な宝石に関する知識は、すっごく面白かったし、勉強になりました。

宝石の成分、成分が同じだけどカラーが違い別名で呼ばれているもの、
成分は同じだけど結晶構造が違うため別の宝石になっているもの(同質異像-
炭素・ダイヤモンドなど元素が一種類の場合は同素体)、
産地によるカラーの違いや、そのカラーの元になっている成分、その宝石が作られる場所
(ペグマタイトとか)・条件による違い、名称の由来や誤解、歴史の中で同じ石だと
混同されていたものの話や、天然石を加熱処理したり、染めたりする事に関して・・etc、
とにかく、広範囲にフォローされてます。
一度ザっと読んだだけでは、全然吸収しきれないので、買おうか悩んでいる。

「鉱物カラー図鑑」の感想でも書いたけど、一番大変だったのは、
宝石だからか名称がカタカナ表記で、とにかくイメージがつかみにくかった事。
アゲートより瑪瑙、ジャスパーより翡翠の方が馴染みがあるし。
「カルコパイライト」も「黄銅鉱」表記なら、銅が入ってるんだってわかるし、
「キュープライト」も「赤銅鉱」表記なら、銅が入ってて赤味を帯びてるんだろうな・・
(実際は赤以外にも黒、紫があるようだけど)とイメージできる。
でも「カルコパイライト」「キュープライト」じゃ、近い鉱物だってのが全然わからん-ライトは石の事で、
多用されてる)。
「クロライト」より「緑泥石」、「アノーサイト」より「灰長石」、「マイクロクリン」より「微斜長石」、
など、ほとんどの物が漢字で表記されたほうが、覚えやすいし、イメージもしやすいので、
カタカナ表記だと辛い。
鉱物の説明中、他の鉱物の名前が出てくると、全然イメージできず、何度も何度もそれを索引などで
探して確認するはめに。
その上、年齢のせいで、新しい言葉が入りにくく、やっと「クリソ」は、
ギリシャ語の「金」だってのを覚えたくらいだ(-_-;)。
宝石などの場合、カタカナ表記が一般的なのでしょうがないと言えばしょうがないんだけど・・・。

でも、天然石に関して、いろいろと書かれているので、ほんとーにすっごく勉強になりました♪
お勧め(^-^)ノ。
ただ、著者の主観による主張(こうあるべき)も多いので、ある程度知識がある人は、
少しそれが気になるかも。
私は、全然そういうのが無いので、感じなかったけど(^^;)。

覚書:沸石(ゼオライト)ってイメージがつかめなくて困ってたんだけど、
この本に分かりやすい説明があったので覚書。

鉱物種名ではなくファミリーネームで、結晶構造の中に、特徴的に水を含んでいる。
結晶を加熱すると、その水分を放出し、沸騰しているように見えることから名前がついた。
珪素塩の一部をアルミニウムが置き換え、酸素との比率が1:2(Al・Si:O=1:2)になる。
加熱して水が放出されても、その結晶構造が変化しないのが特徴で、
水が放出された後のチャンネル構造は、様々な気体を吸着する。

覚書2:辰砂(シンナバー)-HgSの構成。
シンナバーから作られた赤い顔料の「朱」を「丹」と呼ぶ。
「賢者の石」とも呼ばれ、錬丹術ではこれを飲むと不老不死になると言われていた。
現在としても、石薬として漢方薬で使われている。
水銀を含むので、実は多量に飲めば毒。
「鶏血石」も、これの一種。
(「鋼の錬金術」をなんとなく思い出したので)

覚書3:ジルコン(天然)とキュービックジルコニア(人工)は、全くの別物だったのを知った。
(少し前は、ジルコン(キュービックジルコニア含む)は全部人工と勘違いし、
その後ジルコン(キュービックジルコニア含む)は天然と勘違いし・・・やっと)

覚書4:ラプラドライト(曹灰長石)
長石族のアルカリ長石(オーソクレース/正長石・マイクロクライン・微斜長石)とは系列の違う斜長石系列。
斜長石は三斜晶系で、アノーサイト・灰長石(Ca[Al2Si2O8])とアルバイト・灰長石(Na[AlSi3O8])
の双方を構成成分に持ち、アルバイト50~30、アノーサイト50~70の割合のものを、
ラプラドライトという。

覚書5:ムーンストーン
長石の中の特殊なものにつけられた宝石名。
オーソクレースを主体に、アルバイトをを胚胎し、特殊な光学現象を引き起こすもの。
ペリステライト(アルバイト)・アノーソクレス(曹微斜長石)も、同じようなブルーのシラーを見せる。
ムーンストーンに関してはこちらのサイトが詳しい。
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「暗い夜、星を数えて 3・11被災鉄道からの脱出」彩瀬まる著:被災者達の思いが、原発被害の辛さがヒシヒシと伝わってくる・・・ [本ノンフィクションいろいろ]

暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出

暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出

  • 作者: 彩瀬 まる
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/02/24
  • メディア: 単行本
8点

2011年3月11日東日本大震災が起きた時、実家が埼玉にある著者は、常磐線の中、
福島県相馬郡にある新地駅付近にいた。
列車は止まり、動き出す気配もない。
列車の中で知り合った人の案内で、歩いて避難するが、途中津波に追われ、
命からがら高台に避難する。
先ほどまで自分がいた、人々が行きかい生活していた商店街が津波にのまれるのを目撃し、
避難所でいいようの無い不安に苛まれる著者。
しかし、著者は、その状況で、地元の人の温かい気持ちや、援助の手に助けられる。
南相馬市に住む、見知らぬ女性の家に泊まることになった著者。
しかし、そこで今度は原発事故のニュースをきく。
原発事故の情報は、地元の放送で「屋内退避」との指示と一緒に流されたが、その後すぐ訂正。
二転三転する情報に、著者は、「情報の明らかな隠蔽」を感じ取る。
最初の情報が訂正されなければ・・・・、訂正があった後、安心して外出したのを、
後悔する人達を目の前に、憤りを感じる著者。
数日後、無事自宅に辿りつけた著者は、その後、ボランティアとして福島に戻る。
福島の友人や、震災時助けてくれた人たちとの再会。
そこで、放射能への不安、風評被害、福島県民への明らかな差別、補償範囲から少しでも
外れていれば保証されないという現実・・・・・苦悩する福島の人々の姿を目の当たりにする。

震災関係の本はいろいろ読んだけど、この本ほど、切なく辛く悲しい本は無かった。
優しい善良な人々、真面目に生きてきた人々、その人達を苦しめるのは
原発や東電の無配慮な対応、行政だけではなく、無理解な他の県に住む日本人達。
思った以上に、県外で罵りの言葉を浴びせられたり、嫌がらせをされた人は多かったらしい。

地元に残るも地獄、出るも地獄、それでも敢えてどちらかを選ばなければいけない人々、
何かを食べるにも、毎回葛藤し、日々不安に苛まれ、苦悩しつつも、前向きに生きようとする、
そんな人たちの気持ちが、押し付けがましくなく、切々と書かれている。
そして、その厳しい状況は、解決の糸口すら見えず、まだまだ果てしなく続くのだ・・・・。

著者もいわき市近郊で作られた玉ねぎを貰ったが食べられずに、それを察してくれた
福島県内の友人に渡してしまう。
検査して安全だと言われても、「万が一」という不安がつきまとい、食べられなかった事に、
胸を痛める著者。

声高に原発反対を訴えているわけではない本だけど、この本こそ、
原発の怖さをじわじわと伝えてくれる。
そして、今の政府や東電の対応を考えると、原発は稼働しちゃダメだ・・と強く思える。
原発事故がどれだけ多くの人々を苦しめたのか、真面目に生きてきた優しい人々を、
不幸のどん底に、終わりの無い不安の中に突き落としたのかがわかるし、
それを救うような対策が、ほとんど取られていないというのもわかる。

地元に対しての情報開示が遅れた事(最初の屋内退避のアナウンスは即訂正され、
次にそれがアナウンスされたのはかなり経ってから)、断水で水も出ない、
水道が使えてもそれが汚染されている可能性がある状況なのに、
「外から帰ったら、シャワーを浴びて下さい」と無神経に伝えるアナウンス。

私は、実家が福島だし、南相馬市は、2年半ほどしか住んでいないけど、とても好きな町だった。
南相馬市の旧市名は原ノ町。
隣の相馬市に比べると歴史は浅く、田舎の人情味はあるが、閉鎖性が無い、
温かくて開放的なすごく住みやすい町だった印象で、何箇所も引っ越したけど、一番好きな町でもある。
だから、福島に全く関係ない人に比べれば、福島県の人の気持ちがわかると思っていたけど、
これを読んで、全然わかってなかったんだなーと改めて思った。

私は強固な原発反対者では無いのだけれど(日本の資源の問題、有事の時の問題などから)
これを読んだら、今の政府や電力会社の対応を抜本的にかえられない限り、
原発を稼働してはダメなんじゃないかと思うようになった。
そうはっきり思えるほど、事故直後の対応にしても、その後の保証に関しても、まともに機能していない。
猿に過ぎたる武器を与えちゃいけないというか、今のシステムでは、全然管理できず、
もしまた広域に何かあれば、同じことを繰り返すだけというか。
大きな災害に関しては、それが起きる度に対応が改善されているけど、
原発事故は、相変わらず責任のなすりつけ合いと隠蔽体質、表面的な東京電力の対応など、
見てる限り改善されておらず、その場凌ぎでしか無いと思えるし。

原発事故について、その被害の根深さ、怖さについて、改めて考えさせられる本。
お勧め!!
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「鉱物カラー図鑑」松原聰著:日本で採れる鉱物に特化した鉱物図鑑 [本ノンフィクションいろいろ]

鉱物カラー図鑑―日本で採れる200種以上の鉱物を収録

鉱物カラー図鑑―日本で採れる200種以上の鉱物を収録

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 1999/09
  • メディア: 単行本
7点

日本で採れる鉱物に特化した鉱物図鑑。
載っている鉱物写真も、すべて国内で採れたもの。
無色、銀白、赤、黄色・・・etcと色別に載っている。

針状の「モルデン沸石」、鮮やかな赤い結晶がキレイな「菱マンガン鉱」、「自然テルル」など、
日本でこんな鉱物が採れるのか~という点では楽しいけど、その鉱物の特徴がはっきりわかる
結晶などが国内で出ない場合、特徴が捉えづらい。
見開きで1種類~4種類ほどの鉱物が紹介してあるので、パッと見るには便利だけど、
写真は鉱物一つに1~2枚のことも多く、詳しく知るには、写真などが足りないし。
持ち歩いて、鉱物採集などをする時に利用するのが一番なのかな?

それと、鉱物名が日本名メインなのは、わかりやすくていい♪
今読んでいる「天然石のエンサイクロペディア」は、
写真が豊富で、情報もすごく多いんだけど、鉱物名がカタカナ表記なので、
ものすごーーーーーく苦労しているから。
「クリストバライト」より「方珪石」、「トリディマイト」より「鱗珪石」の漢字表記の方が、
珪酸塩鉱物(どちらも、水晶と同じ二酸化ケイ素の結晶)だってのが分かりやすいし、
「鱗珪石」は、きっと「うろこ状に見えるんだろうな~」ってのも想像がつく。
宝石などは、カタカナ名がメインみたいなのでしょうがないんだろうけど・・・。
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「世界の聖地」松岡絵里著:マチュピチュ、バラナシ、嘆きの壁、エアーズロック、バオバブの木・・etc世界の聖地を巡ってみたいと [本ノンフィクションいろいろ]

世界の聖地

世界の聖地

  • 作者: 松岡絵里
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2011/12/26
  • メディア: 単行本
7点

「世界の聖地」というタイトルから、もっと真面目で詳しい本かと思ったら、
とても軽くあっさり読める旅行記でした。

インドのガンジス川の聖地バラナシ、仏様の後光用の電飾用が売られていて、カラフルで明るい仏像が
印象的なミャンマーの都市バガンにある寺院「シェタゴン・バヤー」、アボリジニの聖地「エアーズロック」、
3つの宗教の聖地が混在するエルサレム、おとぎの国のお城のようなロシアの「ポクロフスキー聖堂」、
アイスランドの間欠泉、マダガスカルのバオバブの木、メキシコのテオティワカン、
アメリカ、セドナにある磁場が強い場所ボルテックス・・・・・etc。
世界各国の聖堂や、聖地、今は観光地だけど昔聖地とされていた場所、
パワースポットと呼ばれている場所・・・・など、いろいろな場所が紹介されてます。

説明はあまり詳しくないけど、こんな場所があるんだーと、サクサク読んで知るにはとても良い本。
昔から行きたいなーと思っている場所も、もちろんあったけど、
ここは知らなかったけど、行ってみたい!と思える場所もありました♪
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「サはサイエンスのサ」鹿野司著:クローン、iPS細胞、科学と宗教・・新たな視点を提示してくれる科学エッセイ! [本ノンフィクションいろいろ]

サはサイエンスのサ

サはサイエンスのサ

  • 作者: 鹿野 司
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/01/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.5点

サイエンスライター鹿野司氏による、科学エッセイ。
2011年星雲賞ノンフィクション賞受賞。
科学的視点から見ると・・、科学というものは・・・いろいろな事例をあげながら、
著者が世の中のいろいろな現象をどう見ているか語ってくれる本。

一章は「カラダを変えるサイエンス」。
ヒトゲノムの解析で、DNAの98%はタンパク質生成を行なっていない、
使われているのはたった2%、98%はジャンクという発表があったのを覚えている人は多いと思う。
それが2004年の事だという。
ところが10年も経たずに、ゲノムの7割はRNAに転写され活動しているらしいという
結果がでているという。
「遺伝子という言葉は死語になった」などの章では、遺伝子の概念が大きく変わりつつある事が
述べられている。
小学校の頃習ったことならともかく、数年で、新説が覆されてしまう科学。
またクローンの可能性や倫理観、iPS細胞、インフルエンザ騒動や予防に関する誤解などに
関しての著者の見解も面白かった。

二章は「ココロを変えるサイエンス」。
自然自然というけれど、身近に人間が全く関わっていない本当の自然なんて無いうそ臭いと、
化学調味料をちょっとだけ使ってもケガレテル、無農薬ならカラダに悪くても良いという風潮を、
食物では無く思想を食べてると、言い切る著者。
自然はよい、自然に帰るなどの、自然への甘美なノスタルジーの幻想を、
その幻想を打ち砕くナウシカ漫画版を引き合いに出して、
●●万歳主義、教条主義に陥らない事の大切さを説いている。
またコミニュケーション障害の問題をエヴァを例に語ったり、宗教と科学の共通点とか
(同じものって意味ではなく)、キリスト教徒仏教の立ち位置の違い、
開祖あり・無し宗教、自閉症のものの見方、チンパンジーと人間、などの話も面白かった。

三章は「セカイを変えるサイエンス」
ヨーロッパの「装甲としての法」と、日本の「拘束具としての法」という視点はかなり面白かった。
また人間の認知というのがいかに曖昧なもの、いい加減なものであるかを、
コンピューターに「猫」を教えられないという例をあげて語っている。
その流れから人工知能とか、今まで無視されてきた周囲の環境が勝手にやってくれる情報処理や、
人間の認知が曖昧だからこそできることなどについて、著者の考えが述べられていて、
これまた興味深い。

四章は「ミライを変えるサイエンス」
最初に深海にはクラゲが大量にいるということが、近年やっと発見されたという事から、
事象の盲点、そこにあるのに見ようとしなかった真実について触れられている。
他に「はやぶさ」が低予算だからこそ、様々なトラブルを乗りきれた事や、
テレパシーマシン・ドリームマシンの実現の可能性などについて、近年の研究結果などから、
推測している。
地球温暖化についての考察も。

科学的視点を混じえながら、宗教や経済、コミニュケーション、環境問題・・・
と様々な話題を扱っている本。
啓蒙本ではあるけど、著者が巻末で書いている通り、上から目線を避け、
「こんな面白い見方もできるんだよ」と語ってくれているような本で、読んでいて、
新しい発見があるし、著者の意見に賛同するしないに関わらず、いろいろ考えさせられる本。

この本を読んだきっかけは、ネットで読んだ彼のインタビュー
”今のマスコミのスタイルは、自分の直感と違うと「バーカーバーカ」の視点で語る、
著者のスタンスは、「人は説得できないと思っているので、
自分の考えはこうだよって並べるだけ・・」”
というのに、共感を覚えたから。
「バーカバーカ」の姿勢ってマスコミだけじゃなく、ネットなどでも蔓延してると思う。
物事って立場や人、状況によっていろいろな見方ができると思うんだけど、
「自分が正しい!それがわからないのはバカ」みたいな意見を読むとどうしても拒否しちゃう。
他人を落として、自分は偉い・正しい的な視点ってみっともないと思うんだけど・・。
「自分はこう思ってる・こうしてる」って書いてくれれば、面白い意見なのに、
相反する意見を頭から否定して見下してるのを読むと、
「そんなの周囲の評価が気になるのかな?」「短絡的な視野だな~」と残念に思ってしまう。
ビートたけしの「下世話の作法」の感想でも書いたけど、相手の意見に納得したり、
興味を持てるかってのは、相手に対する評価で大きく違ってくるので特に。
世の中、立場が違えば考え方も違ってくるし、どんな状況でも合う「正解」というものは、
無いと思うし。
もちろん、他を否定して言い切るのは、物事を強く推し進めたりする時に必要なケースもあるし、
問題提起をし、叩かれるのや議論も覚悟で言い切るのはありな場合もあるけど。

とにかく、インタビュー記事がきっかけで読んだこの本、「面白い事を伝えたい」って著者の
考えが伝わってきて、かなり楽しく読めました(^^)。
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「震災死-生き証人たちの真実の告白」吉田典史著:災害の教訓を活かすには・・・ [本ノンフィクションいろいろ]

震災死 生き証人たちの真実の告白

震災死 生き証人たちの真実の告白

  • 作者: 吉田 典史
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/02/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7点

東日本大震災について、遺族、検死医、消防団員、潜水士・・・多くの人の証言から、
当時の状況を明らかにしようとする本。

同じ東日本大震災を扱った石井光太の「遺体」(リンク先感想)が、
震災後の「遺体を巡る人々の死者を尊ぶ姿とその苦労と努力」を描いたのと違って、
こちらは「人々の証言から、当時の状況を知り、それを分析し、先に活かそうとする姿勢」が見える。
どちらのテーマも必要で大切な事だと思う。

震災の混乱時の検死の問題、マスコミの問題、安い報酬で動く地元の消防団員の安全が
保証されていない問題、自衛隊をなんでも屋として宣伝してしまった事の問題、
うやむやにしてはいけない問題点がいろいろある事が、この本を読むと見えてくる。

点数が低めなのは、著者の「遺族への肩入れ」が強すぎるように思えたというか、
家族、親族に犠牲者がいない人たちに対して、家族が無事だったのに、わがままや
贅沢を言ってて困ったもんだ的視点が気になったから。

犠牲者が出なかったから、家族が無事だったからそれだけでも良かったんだ、贅沢を言うなではなく、
生活の基盤を破壊された人々が、生き残った家族とこれから生きる為に、
車が必要だ、住む所が・・と訴えてくるのは当たり前だと思う。
それを贅沢だ、わがままだと切り捨ててしまうのは・・・と思ってしまった。
逆に、家族を亡くした方は、一番の問題が失った家族なので、その辺が表面に出てこないだけだと
思うのだけど。

もちろん、この本で書かれている「自助」、「自分で出来る事はするという姿勢や気持ち」
も大切だと思う。
ゴキブリが出たなど、些細な事でも110番してしまう、救急車をタクシー替わりに、
など、確かに最近、国や公的機関が何でもやってくれて当たり前な風潮が蔓延していて、
それは問題だと思うし、災害の現場で、やること・できることをやらず公的援助をあてにしているのは
まずいと思うけど、著者は、犠牲者が出なかった家族の要望を「贅沢言ってる」と
本当のわがままと一緒にしてしまっている感じが。

その点を除けば、震災での教訓を、これからの災害時にしっかり活かす為、
細かい部分もうやむやにせず、しっかり調査しようという著者のスタンスは評価できるし、
大災害という非常事態の中、人々が何を考え、どう行動するのか、そして、
その後の経過についてまでも、いろいろな人にインタビューして記事にしているので、
自分達が考えなければいけないことや心構えについて参考になる点も多い。
マスコミのあり方についても、問題提起している。
読んでみる価値はある本です。
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「フルトヴェングラー」吉田秀和著:著者のフルトヴェングラー関連文をまとめた一冊。フルトヴェングラーの生演奏の臨場感が伝わってくるよう・・ [本ノンフィクションいろいろ]

フルトヴェングラー (河出文庫)

フルトヴェングラー (河出文庫)

  • 作者: 吉田 秀和
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2011/12/03
  • メディア: 文庫
7.8点

「もしも何でも願いが叶うとしたら」と問われたら、「大金持ちになりたい」とか
即物的なものを排除すれば、「フルトヴェングラーの生演奏が聴きたい」とか答えるかもしれない。
私が生まれた時には、既に鬼籍に入っていたフルトヴェングラー。
彼の音楽のテンポの激しい緩急は、苦手という人も多いけど、
彼の音楽に魅入られている人も多く、最も偉大な指揮者と評価する人も多い指揮者。
クラシックは齧っただけの私も、彼の音楽に魅入られている一人な気がする。

CDショップで流れているクラシック、今までにたった3回だけ「これは誰の指揮?」と指揮者を
確認したことがあるんだけど、どれもフルトヴェングラーだった。
特に、ほとんどクラシックを聴かなかった頃、CDショップで耳にしたベートーヴェンの「運命」は、
あまりに印象的で、その時流されているCDを確認した事が、フルトヴェングラーと私の出会いだった。
最初に耳にしたフルトヴェングラーの「運命」は、1937年10月録音のものな気がするけど、
印象的だったフルトヴェングラーの運命をもう一度聴きたいと思ったのが、出会いから、
10年くらい経ってからなので、はっきりはせず。
1943年、1947年、1954年録音の運命も聴いたけど、1937年が一番近い気がするだけ。
他の録音も好きだからいいんですが・・・ってことで、フルヴェンの「運命」だけは、
CDを何枚も持っている(^^;)。

1954年に亡くなってしまったフルトヴェングラーが残した録音は、録音技術がまだまだだったのと、
フルトヴェングラー自体が録音にあまり積極的ではなかったせいで、かなり音が悪い。
CDを聴いていると、音が潰れたり、はっきりしなかったり、「ああっ、もっといい音で聴きたいっ!」という
欲求がものすごく募ります。
音源が悪くても、すごくいい演奏なんだけど、「これがいい録音だったらもっと素晴らしいんじゃ!」と
思ってしまうのです。

で、吉田秀和氏のフルトヴェングラー関連文をまとめたこの本。
前半の章のいくつかは、著者が聴いた、フルトヴェングラーの生演奏について書かれた文で、
その臨場感、素晴らしさ、フルトヴェングラー指揮の元のベルリン・フィルの様子、
フルトヴェングラーの作り出す音楽と空間の凄さが伝わってくる内容。
あーーー、フルトヴェングラーを生で聴けたなんて羨ましい~!!というのと、
演奏の雰囲気を生々しく伝えてくれるその文章にものすごく感謝!というのと、
相反する気持ちを持ちながら読んだ。

フルトヴェングラーの音楽、その特徴とも言えるテンポの激しい変化、それは、
聴衆がその変化に気がつく前から、入念に準備されている、萌芽から成長し繁茂し老廃・・・
一つの生命の流れのように繋がっていると著者は、評したりもしている。

「譜面通りに指揮する」というのと対照的に、フルトヴェングラーは、譜面を曲を事細かに研究し、
どうやったら作曲家の意図した演奏を奏でる事ができるか・・・というのをに尽力した指揮者。
そこには、フルトヴェングラーの意図も入るわけで、その辺が好き嫌いが出る理由な気もする。

本書には、ブラームスの交響曲や、ベートーベンのエロイカなどについて、譜面を用いた
詳しい解説もあるが、私には難しすぎて大雑把にしかわからなかった(^^;)。
それでも、ブラームスの交響曲4番が、他の指揮者のものだと、センチメンタル過ぎて苦手なのに、
フルトヴェングラー指揮のだけは、すんなり受け入れられるのは、著者が解説したような理由から?
など、クラシックに浅くしか関わっていない私の説明できない感動の理由を、
この著者が解説してくれているような気分になれた。

また、ナチス支配下のドイツにとどまって指揮を続けたフルトヴェングラーの
「芸術は政治的な事柄とは全く関係ない」という音楽観と、
祖国を捨て亡命し、ナチス支配下で指揮を続けるフルトヴェングラーを痛烈に
批判し続けたトスカニーニの音楽観を、それぞれの祖国、ドイツとイタリアの文化観に
まで広げて語っているのは興味深かった。

フルトヴェングラーを語るだけでなく、他の指揮者についてや、ベートーベンやブラームスなどの
作曲家のその曲の背景にある意図、音楽史、レコードの存在意義、
そして、クラシックそのものについてまで、著者の見解が述べられており、
それらもとてもおもしろく読める。

フルトヴェングラーファンだけでなく(嫌いな人は、すごく褒めてあるので、読むのが厳しかも(^^;))、
クラシックを少し齧っただけの人でも楽しめる内容になってます。
でも、一番は、フルトヴェングラーの生演奏の「静かな熱狂」に関する記述でした♪
あー、生演奏聴いてみたい!!
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「川原の石ころ図鑑」渡辺一夫著:石ころの写真が超豊富!同じ種類の石でも、見た目が全然違うぞ! [本ノンフィクションいろいろ]

川原の石ころ図鑑

川原の石ころ図鑑

  • 作者: 渡辺 一夫
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 単行本

7.8点

プチマイブームミネラル!
発端は、「デイリーポータルZ」で、簡単にキレイな金属結晶ができる「ビスマス結晶」の記事を、
読んだことだった気がする。

「ビスマス結晶」の実演をミネラルショーなどで見られる事を知り、ミネラルショーの記事を読んで、
少し鉱物に興味を持った。
で、「ときめく鉱物図鑑」を借りた。
ルビーやサファイアが、同じコランダムで、混ざっているものによって色が変わり、名前も違う事、
他にもそういう宝石がいっぱいあることは知っていたけど、その辺詳しく知りたかったのもある。
で、「ときめく鉱物図鑑」は、説明が全然足りず、その後「天然石と宝石の図鑑」「宝石の写真図鑑」
読み、宝石の種類の多さに呆然。
混ざっているものとか、その量とか、色のでかたなんかでも、名前違うんだもん。

また鉱物の科学構成など、基礎知識が無いと、ちゃんと理解するのが難しいとわかり、
基本に返って「地層の見方がわかる -フィールド図鑑」を読んだ。
やっぱり、よくわからず(-_-;)。

金属結晶→鉱物→宝石→地層・・・・・・そしてたどり着いた先は、川原の石ころ!!
どっかで間違ったような気がする・・・・。

でも、基本中の基本といえばそう(^^;)。
この図鑑自体、子供でも読めるようにできてるし。

この本では、「石狩川」「最上川」「利根川」「四万十川」・・・・etc、日本のいろいろな川原の石ころを、
川ごとに紹介してます。
川の流域にある地質で、転がっている石ころの種類が変わること。
川原の石ころのメインは堆積岩だけど、火山帯があれば、火成岩、凝灰岩などが混じり、
またその地層の構成要素や、できた年代によっても、石の感じが変わる。
また流域の地質で、同じ種類の石でも、色が違ったりも。

ということで、サンプルがたくさんで、安山岩とか玄武岩とか、花崗岩とか、砂岩とか、チャートとか、
泥岩とか、礫岩とか・・・etc、etc・・・とにかく、たっくさんの石ころの写真を見ることができました。

それと、川原の石ころですら、この本を書いている人でも見分けるのが難しいものが、
たくさんあることも知った。
理科の教科書に載っているようなその石の種類の「見本みたいな石」じゃないもの多数。

ここまで読んで、石ころを見分けるのですら、巨大な絶壁を登るほど難しい事をはっきり認識(-_-;)。
それでも悪あがきして「宝石の原石発掘キット」(後日記事アップしますアップしました)なんてのをやったけど、
これはこれで、全然違った事でわややに。

でも、多少は知識がついたので、石壁とか見つけると、見てたりします。
全然わかんないけど・・・・。
特に、変成岩と堆積岩の区別が、わからない。

鉱物って、テスト勉強とか受験勉強するみたいに、化学組成だの、構成物質だの、
鉱物の種類だの、とにかく膨大な量の内容を、一個一個確実に覚えていかないとダメみたいだ。

でも、この本自体は、サンプルが多いし、川原で石ころを見たりするのに、役に立ちそうだし、
子供と一緒に楽しめそうだし、いろんな意味でいい本です♪
石ころに興味があるお子さんをお持ちの方にお勧め(^-^)ノ。
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「こんなにちがうヨーロッパ各国気質・32か国・国民性診断」片野優著:ざっくりだけど面白いO(*^▽^*)o~♪ [本ノンフィクションいろいろ]

こんなにちがう ヨーロッパ各国気質 32か国・国民性診断

こんなにちがう ヨーロッパ各国気質 32か国・国民性診断

  • 作者: 片野優
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2012/04/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.8点

「日本人のまっかなホント」と「フランス人のまっかなホント」・・・など、各国の特色をわかりやすく
面白くまとめた「まっかなホント」シリーズという本があります。

この本は、それと同じように、ヨーロッパ32か国の特色を、まとめた本。
一冊で一つの国について書いてある「まっかなホント」シリーズに比べれば、
内容は少ないですが、各国の特徴や国民気質をエスニックジョークの紹介や、驚くようなエピソード、
笑える特徴などで、面白く読みやすく紹介してあります。
またそれだけでなく、その国の歴史までが紹介してあり、ヨーロッパ32か国について、
ざっと知るには良い本。

例えば、ドイツ人も日本人も真面目だけど、その根底は違うなんて話が載ってます。
終わりの時間になった窓口に行くと、日本人は、「他人に迷惑をかけないため」に、
真面目に対応してくれますが、ドイツでは「真面目に義務を遂行するため」受け付けてくれないとか。

また、ドイツとオーストリアは、同じドイツ語圏ではあるけどイエス・ノーをはっきり言うドイツ人と違い、
面倒事を避ける為曖昧な返事をするオーストリア人(京都人ぽいと本書では書いてある)なんて事も。

この本では、分裂してしまった旧ユーゴの国(セルビア、スロヴェニア、クロアチア、
ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア)やモンテネグロなどの小さな国の紹介もされており、
分裂してよくわからなくなってた旧ユーゴ圏などについては、かなり目新しいものが。

そして、そして、チェコスロヴァキア・・・・・いやーこれで読んで、チェコとスロヴァキアに分裂してるのを
思い出しましたよ・・・ユーゴの分裂はボスニア紛争でインパクトがあったので覚えてたけど、
こっちはすっかり忘れてた。
ついでに、スロヴァキアって全然イメージが無いと思ったら、
この国の一番の特徴が「影が薄いこと」だった(^^;)。

多くの国が民族や移民問題をかかえている事、国境を接している国同士でもめているところも多い事、
国によって大きく違う国民気質、ヨーロッパと言っても、国によって全然違う事がわかります。
東アジアと言って、中国・日本・韓国・台湾・・・などが全く違うのと同じように。

ベルギーの小便小僧が、年に一度ビールを出すとか(想像するとすごいんですけど(^^;))、
真面目な話だけじゃなく、笑えるエピソードも満載。
楽しくて、勉強にもなる本で、お勧めです(^-^)ノ。
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