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「ホームアウェイ」森村誠一 [本:ホラー&ミステリー]

ホームアウェイ

ホームアウェイ

  • 作者: 森村 誠一
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫
  • 4.5点
 
 
郊外に憧れのマイホームを手に入れた一家。しかし、その団地への入居者が思ったように集まらず、予定されていたスーパーやバス、病院などの計画は立ち消えに。その上、テレビも見られなくなり、新聞も来なくなり・・文明と隔絶された陸の孤島のようになってしまった団地に住む一家を悪夢が襲う。
 
うーん、久々に外れという感じ
 
最初は、文明と隔絶される恐怖、広い家に移り住み家族が個室を持った事による一家断絶とその家の主婦の孤独、1人暮らしをする老人の悲劇などを絡めた、社会派ホラーなのかと思ったが、読み進んでいくと、それらはほとんど生かされず、途中から別の方に流れてしまった感じがする。
 
書かれたのがバブル崩壊直後ぐらいだったらしく、当時の郊外マンションの大量売れ残りが元になっているように思われる。そしてこの作品の舞台は、高尾山近辺のH市。どこをどうとっても八王子だ(^^;)。以前、入居開始後7年経っても空きが大量にあり、最大70%オフ(だったか?)で売りに出された公団マンションも八王子だった。
 
また、時代が1990年中盤の設定だと思われるのに、新居となった分譲マンション(作中では「団地」となっているが、「分譲される団地」というのも、これまた古い感じがする)の描写が、どう見ても30年ぐらい前の団地なのが気になった。
棟が階段で縦いくつもに分けられ、階段の両脇に部屋があるっていう団地スタイルは、10年ぐらい前の分譲マンションでは既に見られなかったと思う。なので、読んでいても、20~30年ぐらいまでの舞台設定で、現代の話を読まされているようで、違和感がずっとつきまとった。
横溝 正史が「白と黒 」という作品で、昭和30年代当時、庶民の憧れだった団地を舞台に起きた血なまぐさい事件を描いているが、「ホームアウェイ」の舞台である「団地」には、その年代の香りがするのだ。
現代社会に忍び寄る黒い陰を描いている前半部分は、このせいで、中途半端な感じを受けてしまう。
テレビが見られなくなるなんて件も、ちょっと無理があり、無理矢理文明から切り離した感じが強い。
 
また、次々と起きる事件は、新居に移った事により、文明と隔絶され、家族が断絶してしまう状況と根底であまりつながっておらず、現代風刺と思われる部分の設定は、最後に無理矢理のように使われただけ・・というのも悲しい。
 
 現代風刺みたいな部分を除いて、「ある平凡な主婦の体験した恐怖」を中心にして描けばもっとまとまりが出た気がする。
 

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