SSブログ

「食卓に毒菜がやってきた」「食マフィアの棲む国」中国産も日本産も農薬まみれ? [本ノンフィクションいろいろ]

食卓に毒菜がやってきた

食卓に毒菜がやってきた

  • 作者: 瀧井 宏臣
  • 出版社/メーカー: コモンズ
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 単行本
6.5点
 
 
食マフィアの棲む国 毒菜

食マフィアの棲む国 毒菜

  • 作者: 吾妻 博勝
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2005/11/19
  • メディア: 単行本
7.5点
 
少し前から、中国産の物の危険性が話題になってる。
 
古い所では、冷凍ほうれんそうの基準値を大幅に越える残留農薬、中国産うなぎから発ガン性物質、最近では、南米でおきた死亡者が100人を上回ったと言われる風邪薬(シロップ)、カナダ・アメリカでの中国産原料を使ったペットフードでのペットの大量死騒動、日本では中国製土鍋からのカドミウム、中国国内で流通しているという、廃液から作った塩(中毒を起こす)、下水などに溜まったものから作った油・・・。中国は反日なので、自分達では食べない農薬漬けの野菜を日本に輸出しているという噂まであった。
 
残留農薬問題などからなのか、以前に比べると、スーパーで中国産の野菜を見かけるのは少し減った気がするが(私自身、最近なるべく国産物を買うようにしている)、外食産業などの多くは中国産の野菜を使っているのだろうし、私達は知らず知らずのうちに、中国産の野菜を口にしているだろう。
 
現在の中国の、農作物生産の実態を知りたいと思って読んだのが「食卓に毒菜がやってきた」。
 
「中国産しいたけは何故腐らないのか?」という疑問から始まるこの本。
 
日本で問題になった基準値を大幅に越える残留農薬は、実は中国国内でも問題になっていたのだ。
 
それも、残留農薬の中毒で死亡する人が何人もいるという。残留農薬が大量についていて、食べただけで中毒を起こす野菜を「毒菜」(ドッチョイ)と呼ぶらしい。野菜をよく洗わないで食べて中毒を起こす場合もあるが、よく洗ったとしても落としきれず中毒になる事もあるらしい。
 
原因の一つが農薬についての無知。使えば使うほどいいだろうと、大量に農薬を使ったり、出荷直前の野菜に農薬をかけたり、また散布時の注意を守らない為(マスク、手袋、防護服などが必要な劇薬でも、何も対策せずに散布している。これはインドでも同じらしい)、農民自身が健康被害を受けたりもしているという。
また高度成長期の日本のように、儲け主義で安全が蔑ろにされているという現状もある。本来なら絶対使わないような薬品が使われていたりするらしい。
そして、日本には無い、成分がはっきりしない農薬が使用されてもいるらしい。
興味深い内容ではあったし、著者も調べようと手を尽くしてはいるのだが、中国の情報の壁は厚く、中国での農薬使用の現状は曇ガラスの向こう側という感じ。すっきりしない。
 

 
中国の野菜が農薬まみれだとして、日本産は安全なのか?と思って読んだのが、「食マフィアの棲む国」である。
 
しかし、日本で作られる野菜も農薬まみれらしい。
 
ネギもキャベツも苺もブロッコリーも、私達が日頃食べているほとんどの野菜が、何度も何度も農薬をかけられ育っている。
 
そうしなければ、スーパーで並んでいるようなキレイな野菜は作れないという。低農薬・無農薬となっていても、結局は作り手のモラルもあり、安心はできないという。また病気などが出てしまえば、農薬を使わざる得ない。農薬を使わず、作物が全滅したとしても、誰も補償はしてくれないのだ。
 
また著者がインタビューした農業従事者の多くが、家庭で食べるための野菜と、出荷用の野菜は別に作っていると答えている。
 
飼っている鶏にさえ、出荷用の野菜は食べさせないという人もいた。家族に農薬まみれの野菜を食べさせたくない、鶏も家族だ・・と。
 
じゃぁ、家族に食べさせられない野菜を出荷している農家は悪者なのか?というと、そうではない。
 
結局、農薬漬けの野菜を作るのは、虫がついていない、見た目がキレイな野菜を求める消費者が多いからなのだ。
 
農薬を使わなければ虫が付く。缶詰に一匹虫が混入しているだけで大騒ぎになる。そうなると、缶詰メーカーは大打撃である。できる限り、虫は付いていない野菜を生産者に要求する。結局虫を全部殺す為、大量の農薬が使用されるのだ。
 
毒ではないが見た目が悪い虫を根絶させる為、見えないが農薬が大量に使ってある野菜を選ぶ私達消費者。そこに1番の問題がある気がする。
 
農薬は、使用している生産者が1番健康被害を受けやすい(中毒で病院に通ったり、死亡したりしている人は多いらしい)。農家だって使わなくていいなら、使いたくないのだ。
 
以前、直販所でブロッコリーを買った時、まな板の上に乗せてみてびっくりした。ポロポロと緑色のつぼみの部分が落ちた・・と思ったら、ぜーんぶ2mmほどのイモムシだったのだ。
 
その数、数十匹( ̄□ ̄;)。切って茹でてる最中も、どんどん浮いてくるイモムシ達。
 
直販所だからしょうがないのかな?と思ったけど、やっぱり気持ち悪かった。これこそ、農薬をあまり使っていない野菜なのだと思うけど、こんな物がスーパーに並んだら、クレームの嵐だろう。
 
昔のキュウリは白い粉がついていたが、それはキュウリが自衛のために分泌するものだったらしい。しかし、農薬と間違えてクレームが来る事が多かった為、白い粉を出さないキュウリが開発された。自衛のための粉を無くしたキュウリは、ますます農薬漬けになったという話も載っていた。
 
消費者の無知や無理解が、どんどん農薬使用を増やす事にもなっているのだ。
 
この本を読んでいて気になったのは、残留農薬が国で定められた規定以下の場合の長期間摂取による健康被害の検証が無かった事。
 
残留農薬がどのように体に毒なのか、規定以下でも危ないのか、その辺があまりわからない。ここが1番気になる部分なのだけど・・・。
 
しかし、国がこの基準以下なら安全だというのも、また信用できない。いろいろな公害も薬害も、アスベスト問題も、何人もの健康被害者が出てからじゃなければ公表されないからだ。
 
また、長期間、農薬を使用して作られた野菜を食べつづけた時、人体に蓄積するものがあるのか、何種類もの農薬を少しずつ摂取した時の影響、子孫への影響(ベトナムで撒かれた枯葉剤などは、親が浴び、子どもには影響が出ず、孫の代になって影響が出ているケースも多い)など、まだまだわからない部分も多いのだと思う。
 
農薬を全く使っていない食べ物だけを選んで口にしたいなら、全部自作するしかない。それは無理な話なので、野菜はよく洗うとか(トマトなど、最後に散布する農薬は無色で洗う手間があまりいらない物を選ぶという)、国産物を選ぶとか(しかし、「国産大豆使用」と書いてある納豆などの中には、数粒だけ国産大豆を仕様してるだけ・・というのもあるらしい( ̄□ ̄;))、結局自分ができる範囲で自衛するしかないのだと思った。
 
この本では、輸入野菜に関するポストハーベスト(出荷後に保存などのために使用される農薬)についても、触れられていて、全く腐らないアメリカ産グレープフルーツや、アメリカンチェリーの話が紹介されている。
長距離輸送のために使われるポストハーベストには、発ガン性などが明らかに認められているものもあるのに、アメリカのゴリオシで使用許可になってしまった顛末などが書いてあった。同じケースとして、今アメリカが日本に圧力をかけている牛肉問題がある。輸入制限が厳しいのでもっと緩和しろという要求だが、アメリカがゴリオシでこの要求を日本政府に飲ませた場合、作者と同じく、私もアメリカ牛を食べるのはやめようと思っていたりする。
 
この本では、どの野菜に何種類の農薬が何回ぐらい使用されているのか、そして使用者の声、販売者のモラルの無さ、などが紹介されているが、オウム真理教信者の潜伏先とか、話が脱線してる部分も多かった。それはそれで面白いのだけど、かなりあるので気になった。
 
そうそう、最近の食パンは、なかなかカビが生えなくて不思議なんだけど(普通のパン屋で買ったのはちゃんとカビる)、それに関しての記述が無かったのは残念。食パンには何が添加されてるんだろ??
 
 
 

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。