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「死者の体温」動機無き連続殺人者の日記 [本:ホラー&ミステリー]

死者の体温

死者の体温

  • 作者: 大石 圭
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1998/05
  • メディア: 単行本
6.5点
 
明確な動機も、感情もなく人を殺し続ける主人公。その殺人の日々を淡々と描いた作品。
 
サラリーマン生活をそつなくこなしながら、次々に人を殺していく主人公の日常が繰り返し語られる。その中で主人公は、自分の存在意義を、人を殺す理由を自問自答し続ける。
 
世の中で何ものとも置き換えられない「個人」の歴史を消す行為の偉大さ。逆に、1人が世の中から消滅したとしても変わらない世界の流れ。人の命の大切さ、はかなさを感じる話ではあった。
 
ただ、何も感じず人を殺すという主人公の内面が見えて来る後半、人間味溢れる態度をとったりする部分と、殺人をする裏の部分が上手く噛みあっていかなくなるのが気になった。もっと狂気に満ちた作品だと思っていたんだけど、きれいにまとまってしまったという感がある。
 
 
この作品と同じく、普通に仕事をこなしながら、無意味に連続殺人を繰り返す主人公の日々を描いた作品「アメリカン・サイコ〈上〉」の方が、その主人公の内なる狂気ぶりや、理不尽さが突出しており、そちらを読んだ後だと、同じような展開の作品の「死者の体温」のインパクトは弱まってしまう。
 
「アメリカン・サイコ」は、 本当に狂人の意識を覗き込んだような、無意味に長く細かい状況描写、嫌になるほど続く薀蓄・・・それが何度も繰り返される・・と、とっても読みにくいのが難点(一度投げました)。
 
狂気溢れる「アメリカン・サイコ」を読んでいなかったら、もうちょっと点数が高かったかも。

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