「不思議探検サウジアラビア」気軽に楽しく読めます [本ノンフィクションいろいろ]
不思議探検サウジアラビア―砂漠とコーランと王族2万人の国にようこそ
- 作者: 郡司 みさお
- 出版社/メーカー: 大和出版
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
アラブというのは、女性が素顔を出せないとか、お酒が禁止とか、イスラムの国だとか、そんな漠然としたイメージはあるけど、各国の違いもよくわからない(これはアフリカもそうだけど)・・・そんな場所。
この本は、サウジアラビアで一時的に暮らした著者によるサウジアラビア体験記である。
サウジアラビアはイスラム教の聖地がある場所でもあるので、戒律は最も厳しい国らしい(「アジアディープ紀行―フンソー地帯も怖くない!? 」では、イスラム教の戒律の厳しさは、サウジアラビアのメッカを中心に地図に円を書き、中心から離れているほどゆるいとなっている)。
奥さんを褒めたりしただけでも大問題!!女性に話かけただけでも逮捕すらありうる!と男性にとっては、いろいろ気を使う必要がある国でもあるが、女性である著者は、そういう束縛(もちろん女性に対してもいろいろ厳しいが)もなく、現地の女性と交流したり、市場を周ったりとサウジアラビアの生活を満喫している様子が描かれている。
サウジアラビアの女性は、顔も出せず、仕事も思うようにできず、ファッションすら制限されている・・・と聞くと、制約ばかりのがんじがらめの生活を連想するが、著者の目からみたサウジアラビアの女性達は、家庭内で権限を持ち、その生活を楽しんでいる。
もちろん、西洋社会に比べれば社会での制約は大きく、留学経験のある若い女性の中には、現状に不満をもつ人も多いらしい。
また日本人との共通点なども取り上げられていて、この本を読むとサウジアラビアという国が、身近に感じられるようになる。
ただ、この本で書かれている事は、1つの視点で書かれたものなので、この本だけで「サウジアラビアはこういう国だ」と思うのも危険な気がする。
この本の次に読んだ池上彰の「世界がわかる!」―国際ニュースななめ読み では、若者の失業率が高いこの国の若者の中には、国外でテロに参加する者が少なくない事に触れられている。
この本でも、若者の失業率が高く、国外からの労働者を減らして、若者を雇用しようという動きがあるとは触れられていたが、テロとの関わりは触れられていなかった。
いろいろな国の本を読むと思うのだが、どの視点で見るかによって国の印象は変わってしまう。
どれが当りというのではなく、どの国も(日本も)多面性を持っているのが普通なのだ。
でもこの本で語られるサウジアラビアの様子は、不思議な魅力に溢れていて面白いのも確か。
赤い砂漠の国サウジアラビアに少しでも興味があるのなら、読んで見るのもいいと思う。
イラストも多いので、わかりやすく、読みやすい。
アラブ諸国の男性がまいているターバン(?)や服装、人相(人種)の国ごとの違いなども図解されていて、他のアラブ諸国を知る手助けにもなると思う。
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