「チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話」植物病理学史 [本ノンフィクションいろいろ]
7点
タイトルは「チョコレートを滅ぼした・・」となってるけど、カカオをダメにするキノコだけではなく、コーヒー、クリ、ニレ、穀物、じゃがいもなどに大きな被害を出したいろいろな植物の病気に関して、その原因菌の発見の歴史や経過、対策などが書いてある。
また、コーヒーなどの特定の地域に存在した植物の栽培が、世界各地に広がっていく状況や、それにより成金になった人々、没落した人々などのエピソードも載っており面白い。
大規模農園の広がりなどにより行われるようになった、特定の植物だけを、単一に広域に植える弊害なども述べられている。
風景が変わってしまうほどの猛威を振るったニレ立枯れ病や、アイルランドで大規模な飢饉を発生させたじゃがいもの疫病など、植物の病気により今までかなりの被害が出ていて、いまだに闘いが続いているというのは、知らなかったのでかなり興味深く読めた。
固い内容な部分もあるけど、いろいろなエピソードや著者のユーモア溢れる率直な気持ちがそこかしこに散りばめてあり、楽しみながら植物病理学史について学べる本。
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