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「トンコ」雀野日名子:豚が主人公のホラー(?)。斬新で面白い!!そして切ない! [本:ホラー&ミステリー]


トンコ (角川ホラー文庫)

トンコ (角川ホラー文庫)

  • 作者: 雀野 日名子
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/10/25
  • メディア: 文庫


7.8点

たまに、角川ホラー文庫は当たりがあるけど、久々に当たった~V(≧∇≦)V。

表題作「トンコ」を含む3篇の短編が入っている。

表題作「トンコ」は、屠殺場に運ばれる途中、トラックが事故にあい、逃げ出した豚が主人公。
豚が単に逃げ回るだけの話なのに、その行間からは、じめじめとした重い雰囲気が滲み出している。
その上、こんな話なのに、切ないのがすごい!!

「ゾンビ団地」は、ゾンビになりたがっている女の子の物語。
ゾンビもある視点から見れば平和主義なんだなーと新たなる側面を教えてくれた話。
ホラーテイスト満載なのに、哀愁やブラックユーモアの要素も入り、ラストは
「これでいいのか?・・・これでいいんだろうなー」と不思議な気分にさせられる(^_^;)。
いやー、面白い!

「黙契」は、妹の自殺の原因を追う兄の話。
これまたホラーティストでありながら、哀愁に満ちた話。

どれも、「怖い~」というわけじゃないけど、家族愛について考えさせる哀愁漂う
不思議な世界を垣間見せてくれる作品。
幻想小説ともまた違うし、ゾンビが出てきたり、霊が出てきたり、ホラーのジャンルに入ると
思うんだけど、ホラーだ!と言い切れるわけでもない。
でも、改めて考えると「やっぱりホラーだよなー」と思っちゃう。
この作品の不思議さ、特異さは、読んでみないとわからない。
ホラー好きな人にも、そうじゃない人にもお勧め!!

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