「トンコ」雀野日名子:豚が主人公のホラー(?)。斬新で面白い!!そして切ない! [本:ホラー&ミステリー]
7.8点
たまに、角川ホラー文庫は当たりがあるけど、久々に当たった~V(≧∇≦)V。
表題作「トンコ」を含む3篇の短編が入っている。
表題作「トンコ」は、屠殺場に運ばれる途中、トラックが事故にあい、逃げ出した豚が主人公。
豚が単に逃げ回るだけの話なのに、その行間からは、じめじめとした重い雰囲気が滲み出している。
その上、こんな話なのに、切ないのがすごい!!
「ゾンビ団地」は、ゾンビになりたがっている女の子の物語。
ゾンビもある視点から見れば平和主義なんだなーと新たなる側面を教えてくれた話。
ホラーテイスト満載なのに、哀愁やブラックユーモアの要素も入り、ラストは
「これでいいのか?・・・これでいいんだろうなー」と不思議な気分にさせられる(^_^;)。
いやー、面白い!
「黙契」は、妹の自殺の原因を追う兄の話。
これまたホラーティストでありながら、哀愁に満ちた話。
どれも、「怖い~」というわけじゃないけど、家族愛について考えさせる哀愁漂う
不思議な世界を垣間見せてくれる作品。
幻想小説ともまた違うし、ゾンビが出てきたり、霊が出てきたり、ホラーのジャンルに入ると
思うんだけど、ホラーだ!と言い切れるわけでもない。
でも、改めて考えると「やっぱりホラーだよなー」と思っちゃう。
この作品の不思議さ、特異さは、読んでみないとわからない。
ホラー好きな人にも、そうじゃない人にもお勧め!!
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