「毒草を食べてみた」植松 黎著:いろんな毒草が紹介されてます [本ノンフィクションいろいろ]
7点
タイトルが「毒草を食べてみた」なので、「自分の体で実験したい-命がけの科学者列伝」みたいに、自分で毒草を食べた話が載ってるかと期待したんだけど、そういう事例はあまりなく、ちょっとがっかり。
少し前から新書は、売るためだろうけど、内容とかなりずれてるとしか思えない「興味を引くタイトル」を
つけてるものが多くてうんざり(-_-;)。
無理にタイトルに合わせようとして、内容に無理があると思えるものも。
でも、この本の場合、タイトルと内容に若干のずれはあったけど、
いろいろな毒草についての中毒事故の事例や、研究のエピソード、歴史的背景、
どういう使われ方をしていたか、など毒草に関する雑学がたっくさん詰まっていて楽しく読めた。
毒草と言っても、トリカブトのようにかなり危険な毒草だけでなく、
昔から医療に使われていた薬草(毒草になるか薬草になるかは使う量しだい)や
大麻、けしなどの麻薬の材料になる植物についても、詳しく述べられている。
特にLSD合成の元となった麦角が引き起こす病についての記述は興味深かった。
麦角は、イネ科の植物に麦角菌が感染してできる。
これに汚染された穀物を食べると、手足の壊死や、精神異常など、様々な症状がでるという。
麦畑などが汚染されると村単位でこの症状に苦しめられたらしい。
壊死と精神異常、全く異なる症状が出るというだけでも驚きのこの毒草(というより菌だけど)。
この原因、麦角アルカロイドを研究している最中に、偶然にもLSDが合成されたという。
大麻、ヘロイン、覚せい剤・・・etc、麻薬ってどれもこれも同じイメージで、
あんまり違いがわからなかったんだけど、この本を読んで少し違いがわかった。
載っている写真が白黒でよくわからない為、身近な毒草を見分ける参考にはならないのが残念。
カラーだったらもっと良かったのに。
でも、読み物として面白い一冊。
楽しめました(^_^)。
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