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「象られた力」飛浩隆著:”かたち”と”ちから”の関係が崩れるとき厄災が星を襲う [本:SF]


象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

  • 作者: 飛 浩隆
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/09/08
  • メディア: 文庫
7.8点

地球人がテラ・フォーミング計画よって宇宙に散らばって住んでいる時代。
惑星「百合洋」が、突然消失した。
その1年後、近隣の惑星も同じような運命を辿る。
消失した「百合洋」では、人々に影響を与えるシンボルの文化が発展していた。
「かたち」と「ちから」の関係が崩れた時、いったい何が起きるのか?

以上が、表題作「象られた力」の粗筋。
4編収められている作品の内、「象られた力」と「夜と泥」は、同じ設定の世界が舞台になっている。

他に、天才ピアニストの恐るべき力を描いた「デュオ」、
魔法の”よう”な力が使える場「呪界」から誤って飛び出し、
砂漠の惑星に墜落した男の話を描く「呪界のほとり」の
計4作の中短編が収められている。

まず感嘆するのは、著者の描写力のすごさ。
天才ピアニストの奏でる心を揺さぶる音楽がどのような物なのか、しっかり伝わってくる。
建物の構造と光が織りなす幻想的な光景、螺旋状に登る図書館、異形の生き物が蠢く沼・・・
作中に出てくる見たこともない様々なものが、目の前に浮かんでくるよう。

根本的な設定は、それほど斬新でもないけど、
設定を肉付けする優れた描写力と構成力で描き出される世界は、生き生きと存在感を主張し、
読者をその中に引き込んでしまう。

表題作「象られた力」と「デュオ」が特に面白かった。
お勧め(^^)!!

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)」の評価も高いようなので、こちらも読んでみたい。

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