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「うなぎ鬼」高田 侑著:人間のドロドロした部分を描いたホラー [本:ホラー&ミステリー]


うなぎ鬼 (角川ホラー文庫)

うなぎ鬼 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 高田 侑
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/04/24
  • メディア: 文庫
7.5点

見た目は大柄で迫力があるが小心な主人公勝。
借金で破滅しそうになった勝は、借金の取り立て屋に身請けしてもらい助けられる。
恩がある取り立て屋の社長から、ある日、破格の賃金である物を運ぶ事を依頼される。
運び込む場所は、悪臭漂う禍々しい雰囲気を持つ場所だった・・・。

人間というのは、多面性がある。
善い心、信頼、愛情、謙虚さ、向上心・・・
しかし、同じ人間が、憎悪、不信、裏切り、怠惰、不遜・・・などの気持ちも持つ。
自分で見た事、感じた事を、裏付けるけるような噂。
そういう物に翻弄され、徐々に疑心暗鬼に陥る主人公。
逆に、自分が見た事、感じた事とは、かけ離れた噂。
それが、限りなく真実に近いとわかっていても信じようとしない主人公。

主人公勝の心の動きを通して、人間の心の不安定さや、多面性、
そして、ドロドロした部分を見せつけられる。

この小説の怖さは、人間の持つ不安定な部分、弱い部分が、自分にもある事を認識させ、
また周囲にいる善いと思っている人が本当にそうなのか、見た目や行動で判断していいのか、
他人の本性を想像させてしまう所にあるのだと思う。

オカルト的な要素はないので、それを期待して読むとがっかりすると思う。
でも、あまりないタイプのじわじわくる怖さを持つ小説。
怖さというよりは、不安感を煽ると言った方がいいかも。
これはこれで、面白かった。
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ufavan

これまた ド迫力な表紙^^;

お化けなんかより 人間が一番怖いって思う時
有りますよね!
何でこんなに 心って複雑なのでしょう?!

好きなジャンルなので 今度探してみます^^

by ufavan (2010-06-22 10:52) 

choko

ufavanさん

うんうん、「一番怖いのは人間だ」ってわかります。
自殺した人の遺体を片付ける仕事の人なども、
「遺族などの争いを見てると、幽霊より人間の方が
何倍も怖いと感じる」って言ってますし(^^;)。

人間の怖さを書いたホラーなら、「家鳴り」もすごくお勧めです♪
http://takuteku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-27-1


by choko (2010-06-22 20:13) 

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