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「アメリカン・スーパー・ダイエット」柳田由紀著:「デブのシリコンバレー」と呼ばれる街の取材など面白いネタいろいろ♪ [本ノンフィクションいろいろ]


アメリカン・スーパー・ダイエット―「成人の3分の2が太りすぎ!」という超大国の現実

アメリカン・スーパー・ダイエット―「成人の3分の2が太りすぎ!」という超大国の現実

  • 作者: 柳田 由紀子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/07
  • メディア: 単行本
7点

「『成人の3分の2が太りすぎ!』という超大国の現実」・・・と帯にあるように、
アメリカの肥満とダイエットの現状を取材した本。

「太りすぎでドアからでられず壁をぶち抜いて救急車で運ばれた男がいる」
「太り過ぎで遺体が入る棺桶が見つからない」「肥満者用のグッズが大売れ」・・・・
ネットなどのニュース、コネタで、こういうアメリカの肥満ネタはよく見かける。
そういう小ネタ集かと思ったら、ちゃんと取材していて面白かった。

例えば、「太りすぎでドアからでられず壁をぶち抜いて救急車で運ばれた男」。
テレビでも、その映像が流れた事があるので、知ってる人も多いと思う。
日本でも有名なくらいなので、この事件はアメリカでも有名。
その上、この男性、同じ事を2度やっている。
そこから思い浮かべる男性のイメージは、懲りない自堕落で愚かな男。

この本では、この壁ぶち抜き男性マイケル・へブランコさんにインタビューしている。
勝手な想像とは違い、このへブランコさん、かなり頭脳明晰、
自分が太った理由に関しても、しっかり説明してくれる。
単に「びっくり仰天ニュース」と捉えていた事柄が、
へブランコさん自身の苦悩や努力、またアメリカの肥満問題の背景を見せてくれるものとなり、
興味深いインタビューになっていた。

「デブであることが何故悪いのか!」と訴える肥満革命の話なども興味深かった。
ただ、肥満革命に関しては、肥満し過ぎている事で、周囲への負担も大きく
(特注のベッドや椅子、その他の器具-これらは特注なので高額-、
職場では、広い通路を確保しなければいけないし、肥満よる病気での医療費への負担など)、
自堕落な行動が原因で太りすぎた人間を何故周囲が援助しなければいけないのか・・という
肥満ではない人達からの反発という問題もある。

「デブのシリコンバレー」「ラードの泉」と呼ばれる、
大規模なダイエットセンターが3つもあるダーラムの話は特に面白かった。

特に、アメリカのダイエットが、リバウンド前提(超体に悪いし、より太るのに)なのが興味深かった。
「人は弱いものだから、リバウンドは当たり前、だから定期的にダイエットセンターに通う必要がある」
ということである。
だから、一度ダイエットセンターに通ったら、一生定期的に通う必要があるらしい。

厳しい管理の元なら痩せるのは簡単、でもそれを維持するのが難しい・・・というのは、
どこでも共通らしい。

でも値段は、4週で60万~100万(宿泊滞在費別のケースも)とかなりの高額。
リピーターは1週7万~10万。
ダイエット終了後も三ヶ月に一度定期的に通う必要があるという。

これらの施設でダイエットを成功させたある男性は、年3回、各1ヶ月ずつ通っているとか。
毎年100万以上かかるわけだ・・・。

日本のエステの痩身もリバウンドする人が多いのに、
それを言わない事が多いのに比べ良心的と言えば良心的なのか??(^_^;)
リバウンド前提のダイエット・・・ということが問題だと思うんだけど・・・。
リバウンドする度に体重は増え、体も壊す可能性がどんどん高くなるのに。
でも、リバウンドしてくれれば、施設はいつまでも顧客が絶えないよね。
どの施設も、利用者の半分くらいがリピーターだったし。

また、胃の縮小手術を取材した章もある。
2種類の方式が紹介されていて、効果も絶大。
しかし、楽なだけではなく、問題点もいろいろ。
胃を小さくするので、栄養不足にならないよう、栄養剤の服用や定期検診が必要だし、
手術による危険や苦痛もあるという。
医療費もかなり高額。

また、この手術を受けた人へのインタビューもしていた。
彼は、術後の経過があまりよくなく、集中治療室に入り「死ぬほどの苦痛」を味わったという。
また、デザートや脂っこいものを食べただけで吐いてしまう状況だったのが、
少量で回数を食べる・・・などの事をしている内に、胃が何故か元の状態に戻り、
結局リバウンドしてしまったという。

彼は、「食べることに執着が強い自分が手術すべきだったのは、胃ではなく脳だったと思う」と
言っているとか(^^;)。

他にも「肥満者専用グッズ」の経済規模が拡大し続けている事や、
肥満者が置かれている医療保険の問題(肥満していると医療保険すら入れない)、
肥満者の恋愛などの章もある。

肥満という視点から、アメリカの問題点、そしてそれだけではなく問題を打破しようとする
アメリカ人のパワーが見えてくる。

デブの帝国―いかにしてアメリカは肥満大国となったのか」より、
あっさりした内容なので、とても読みやすいのもいい。

食べるな危険!!ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する」と合わせて読むと、
よりアメリカの肥満の現状がよくわかるかも。
ダイエット本としては、この3冊の中では「食べるな危険!ファースト・・」が一番参考になると思うけど。

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