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「無縁社会の正体 血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか」橘木俊詔著:「単身急増社会の衝撃」藤森克彦著:無縁社会をデータで読み解く [本ノンフィクションいろいろ]

無縁社会の正体―血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか

無縁社会の正体―血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか

  • 作者: 橘木 俊詔
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/12
  • メディア: 単行本
6.5点
単身急増社会の衝撃

単身急増社会の衝撃

  • 作者: 藤森 克彦
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2010/05/26
  • メディア: 単行本
7点

無縁社会 ”無縁死三万二千人の衝撃」「無縁・多死社会-団塊の世代が死に絶えるとき!データでわかる日本の未来」などと合わせて読んだ本。

どちらも、単身世帯が急増し、無縁社会となりつつ現代日本社会をデータで解析している。

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「無縁社会の正体」は、かつて日本の人々を結びつけていた血縁・地縁・社縁の崩壊に注目している。
何故崩壊したのかを、それぞれのケースごとにデータで追い、解析。

離婚率、婚姻率、出生率、単身世帯数などの変化。
敗戦による地域社会の崩壊、長く続く不景気と低賃金による貧困率の増加、
貧困世帯が多い世代。
DVや児童虐待、結婚意思率や、結婚に求めるメリット、離婚の理由、若者の失業率、・・etc、
かなり広範囲にデータを集め、そこから現代社会が何故無縁社会に向かっているのかを、
著者は推測する。

また、かつて血縁・地縁・社縁と、3つの縁により支えられて来た日本が、
その3つを失い、これから先、国やNPOの支援が必要になってきていることを指摘している。

無縁社会になりつつある理由に関しては、面白く読めたが、この先どうするか、どうすべきかに関しては、
一般的な事しか述べられておらず物足りない部分も。

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「単身急増社会の衝撃」も、同じようにデータを解析しているが、
より細かく、また章の終わりに「まとめ」を書くなど、分かりやすい解説となっている。

また、「血縁・地縁・社縁」の3つを検証するため広範囲にデータを集めた「無縁社会の正体」に比べると、
「単身急増社会」の原因に直接関係すると思われるデータが多く、データの種類も多め。
都道府県別の傾向や、介護保険の利用率や、介護が必要な人に対しての主な介護者のデータ、
介護の現状など、介護に関する具体的な話も多い。
海外での単身世帯の増加の状態や、対応などにも触れている。

この先、どうすべきかの考察もこちらの方が詳しい。

データ解析に終始している印象の「無縁社会の正体」に比べ、
こちらのほうがより突っ込んでいる印象をうけるのは、後書きに書いてあるが、
著者が父親の「老々介護」「遠距離介護」に直面し、苦労したからだと思われる。

こちらの方がお勧めだけど、視点が若干違うので、興味がある人は両方読んでもいい気がする。
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どちらを読んでも思うのは、現在未婚率が上がり、将来単身世帯が急増し、
少子高齢化がもっともっと進み、社会的に大きな変化があるということ。

最近も「孤立死」のニュースが頻繁に報じられている。
その内、あまりに多すぎて、報じられすらしなくなるのかも。
「孤独死」と「孤立死」、一時期は一緒になっていたけど、最近は別々に見る傾向が。
それだと「孤独死」と「孤立死」似ているようで大きく違う。
家族がいても、家族の留守中に突然亡くなってしまう可能性がある。
誰にも見とられず「孤独死」するの可能性は、誰でも持っている。
しかし、その後、長期間遺体が発見されないのが「孤立死」。
遺体の腐敗などで住まいへのダメージも大きく(高齢者に家を貸したがらないなどの弊害がでたり、
貸主の負担も大きい)、今問題になっているのはこれ。

単身世帯の増加は、介護保険をも、どんどん圧迫するだろう。
単身世帯で介護を受けている場合、介護保険対象から外れ、自己負担になるような、
本来家族がいればやってくれる事を、ケアマネなどが、代行して行なっている事も多い。
単身世帯の方が、同居や、近くに家族がいる人より、手がかかることが多い。
でも、単身世帯が増えれば、当然、手が回らなくなり、そういうサービスをどうするのかなども
問題になるだろう。

独身世帯が増えるに従い、もっともっと公的援助の充実が望まれるけど、
どーっと高齢者が増える前、現時点で、既に予算的に逼迫していて、
介護サービスの状況はどんどん利用する側に厳しくなっている。

結局、お金がある人は、お金を貯めて、高くても民間に頼むって感じになるだろうけど、
お金の無い人は、家族・身内頼り。
ある程度年齢があがってしまうと、同年代の友人のサポートを期待するのは厳しくなるし、
昔にもどって家族とのつながりや結婚重視に戻るのかもしれない。
究極の選択としては、「本人が希望すれば安楽死を認める法律ができる」かな?
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