SSブログ

「大震災名言録 忘れたころのための知恵」藤尾潔著:面白い!そして阪神淡路震災での教訓を風化させない為にも読んで欲しい [本ノンフィクションいろいろ]

大震災名言録―「忘れたころ」のための知恵

大震災名言録―「忘れたころ」のための知恵

  • 作者: 藤尾 潔
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: 単行本
7.5点

文庫版「大震災名言録―次の災害を乗り越えるための知恵」も出てます。

「阪神淡路大震災」のいろいろなエピソードを、笑いと共に紹介したルポ。
笑えるのに、ためになる話がいっぱい!!
そして、喉元すぎれは何とやら・・・で、災害の教訓は忘れ去られてしまうものも多いことを実感。

それを特に認識したのが、本書で紹介されてた以下のような記事。

・住民たちは「温かい義援金とか言ってるけど、集めた金は全然入ってこない」と言っている
・新聞に出たところばかりに同情が集まる
・いつも憎まれ役の自衛隊は大いに感謝された

これは阪神淡路大震災の時の記事ではなく、なんと昭和34年伊勢湾台風の時のもの。
阪神淡路大震災の記事としか思えないと著者は書いているけど、
私は先日の東日本大震災の記事としか思えなかった。
50年前と状況があまり変わっていないというのがショック。

阪神大震災の教訓で活かされているものも、もちろんある。
ボランティアに行く時は、自分の寝るところ・食事などは自己責任で準備と、
東日本大震災では言われたが、これは阪神淡路で、行けば何とかなるというボランティアが多く、
現場をより混乱させたから。

支援物資も、ゴミのような物が大量に送られてきて、その仕分けに忙殺されるボランティアが多発した
阪神大震災での問題点が、東日本大震災で支援物資を送る時の注意として紹介されたりした。

この本でも、使えないボランティアや、ゴミのような支援物資に関することが、
どれも笑ってしまうようなエピソードとしてたくさん紹介されている。
本を読んで笑うのと共に、自分を省みて、気をつけなきゃと思えるのもいい。

また使えないボランティアの話だけではなく、ボランティアにお使いを頼んでお金を払わない
強かな被災者のエピソードなども紹介されている。
「おつかいを頼んでお金を払わない避難民がいますが、お金は取りましょう」というお達しが、
ボランティアの間に出たとか(^^;)。

地震当日、地震で落ちて音声しかでなくなったテレビを見て、
「テレビのスタジオが停電してるのかな?」と勘違いしてた話や、
倒れてきた家具に埋もれていたのに、金縛りにあったと思っていた話など、
地震直後の笑えるエピソードもいろいろ。

地震直後のデマに関しても、
避難所のW小学校で元コックさんが作ったゆで卵が大好評

何でこんなに美味しいんだろ

あれは温泉卵らしい

W小学校で温泉が湧いた

入りに行こう
と、W小学校に問い合わせたくさん・・・なんて例で紹介されてたりする。

逆に、教訓を活かしたために、問題になったんじゃないか?と思えることも。
東日本大震災の時、ある支援団体が、支援物資を持って避難所を訪問したら、
避難所の人数分に足りないので受け取れないと突っ返されたと怒っていた。
私も、「お役人って頭が硬いのかな?」とその時は思ったんだけど、
阪神淡路の時、支援物資が平等に行き渡らないと、「何で自分は貰えないのか?」と
大騒ぎになったとか。
その事例を教訓にしての事だったのかもしれない。

マスコミの功罪、宗教団体活動活性化、いろんな会社の社員への対応、山口組の炊き出し、
自衛隊の活躍、自警団、避難所の食事、非情な解体業者、避難所のリーダーの地位争奪戦・・
面白くて為になる話が満載!

東日本大震災でも似たような問題が起きている事もたくさんあるし、
逆に関西人ならでは・・と思われる事柄も。
また、東日本大震災でも同じことが起きてるんじゃないかな?と予想はできても、
マスコミなどでは報道されていない為、知ることができない事柄もいろいろ。

大きな災害が起きた時、自分が大災害に巻き込まれた時、
この本の内容を心の隅に留めておくだけでも、役に立つはず。
お薦めです(^-^)ノ。

nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 4

藤尾潔

私の本よく書いていただいて感激です。
本当にあの大震災名言録
書いてよかったです。
ありがとう御座います!
by 藤尾潔 (2011-10-20 05:48) 

choko

藤尾潔さん

はじめまして。
ここに感想を書くことによって、一人でも多く、
この本を手に取って貰えればと思っていたのですが、
著者ご本人からコメントを頂けるとは!とびっくりしています。

こちらこそ、こんなに為になって、その上面白い本を読むことができて、
この本を書いてくださった事に、感謝感謝です(^^)。
わざわざコメントまでくださって、本当にありがとうございます。
by choko (2011-10-20 16:47) 

藤尾潔

大震災名言録、最初に出版する前は怖かったんですよ。
不謹慎だ、とか言われそうな気がしてました。
時を隔てて、十年余、chokoさんみたいな素晴らしい読者の方とこうして交流できる、とは万感の感謝、想いです。
本当にありがとう御座いました。
by 藤尾潔 (2011-10-23 20:27) 

choko

藤尾潔さん

少し前の東日本大震災の後もそうでしたが、大きな災害の後は、
ちょっとした発言でも問題になりやすく、怖いものがありますよね。
小さなブログをやってる私ですら、直後はドキドキでした。

「敢えて笑いも入れて」という趣旨で出された本だとは思っていましたが、
不謹慎と指摘される可能性、怖さを乗り越えて出版されたとは、
「よくぞ出版してくれました!」という気持ちでいっぱいになりました。

仰々しく上から言うのではなく、等身大の視点での内容や教訓が、
より身近に感じられ、また自分を省みるきっかけにもなって、
とても良かったです。
それに、私のような一読者にコメントをくださった藤尾さんの
真摯なお人柄にも触れられて、私もブログで感想を書いて良かったと、
心から思います(^^)。
by choko (2011-10-23 22:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。