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「だれも知らなかったインド人の秘密」パヴァン・K. ヴァルマ著:「誰も知らなかったインド人の頭の中」冬野花著:インド人の不思議な内面がわかる!! [本ノンフィクションいろいろ]

だれも知らなかったインド人の秘密

だれも知らなかったインド人の秘密

  • 作者: パヴァン・K. ヴァルマ
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本
7.8点

インド人の頭ん中 (中経の文庫)

インド人の頭ん中 (中経の文庫)

  • 作者: 冬野 花
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2009/03/26
  • メディア: 文庫
7.5点

似たようなタイトルだけど、かなり内容は違う、でも根本はインド人ってどんななの?を書いてる本2冊。

インド人というと、カレーとサリーとヒンズー教。
西原理恵子が描いた、インド料理はデザートだろうが、何でもカレー、
そして、商人としてはのらりくらりとしつつ最強・・・というイメージくらいしかなかった(^^;)。
私の中のインド人は、一時期西原理恵子が描いたインド人像に占められていたと言っても、
過言ではない(^^;)。

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で「だれも知らなかったインド人の秘密」は、インド人である著者によるもの。

IT大国であったり、中国と同じ様に貧富の差の拡大や環境汚染が深刻だったり、
そうかと思うと貧しい農民が辺境の村でPCを使いこなしていたり、
印僑は華僑と同じ様に世界的な商売上手であったり、
また「見えないアジアを歩く」(これもまだ感想書いてない)で読んだ、
インド東部ナガランドにおける少数民族弾圧の実態など、
インドのイメージは多種多様で、1つにまとまらない。

そんな、インド人の実態を、インド人である著者ができる限り中立の立場で、
多面的に解説しようとしたのがこの本。

民主主義とカースト制が何故共存できるのか、何故インドはIT大国になれたのか、
インド人において宗教とは?、汎インド人とはどのようなものなのか、
そしてこれからインドはどうなっていくのか・・・などが、書いてある。

超合理的で、イギリスの植民地になった時は、「植民地になっちゃったほうが抵抗するより得」と
あまり抵抗しなかったと著者が述べるインド人の合理主義。
でも、イギリスの植民地であることが損とわかれば、即手の平を返す。
インドの神話では、神が相手を騙して勝利するケースもあり、
目的のためなら手段を選ばない側面を持っているという。
犯罪で手に入れたお金を元手に大成した場合でも、「成功した」ということからインドでは尊敬されるとか。

インド人による、インド人分析は、上記の例以外にも、
今まで想像もしなかったインド人のいろいろな面を見せてくれ、すっごく面白かった(^^)!

ただ、「ほんとかな???」と思うような分析も。
インド人は残酷だ・暴力的だと言われるが、それは違う・・と著者は否定する。
しかし、相変わらず宗教的影響が強い地方では、カーストが違う相手と恋愛した娘を身内が殺害するとか、
宗教的対立による混乱などがあとを立たない。

この本を読んで一つわかったのは、インド人が、白・黒はっきりではなく、
グレーな価値観を持って生きているということ。

中立であるかは別として、インドという国を知るとっかかりにはなる本!
情報量も多く(学術書寄りなので)、お勧めです(^-^)ノ。

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一冊だけだと、内容の検討もできないな・・・と、他にいいインドの本は無いかと思って読んだのが、
「誰も知らなかったインド人の頭の中」。
タイトルかなり似てます(^^;)。

でも、こちらは、インドに単身移り住んだ日本人女性によるインド滞在記。
「だれも知らなかったインド人の秘密」より砕けた言い回しで、サクサク読めます。

日本の常識なんてまーーーーったく通じないインド。
住む部屋を探すのだって超大変。
上層階に行くほど家賃が安くなるインド。
真夏の気温が45度にもなるインドでは、安普請の最上階の部屋は地獄そのもの。

不動産屋は見つかりにくく、行けば8割の確率でオーナーは不在。
5割の確率で明日、もしくは時間指定され、また来いと言われるが、
指定の時間に行っても8割の確率でオーナーはいない。
オーナーに会えても、8割の確率で、明日来いとか、○○時に来いと言われ、
条件に合った物件がありそうな時も6割の確率で、鍵が無いとか、大家に連絡してないとかで、
また来い・・・と。
やっと物件を見ることができても、それはお願いした条件とはかけ離れたものばかり・・・。
キッチン必須なのに、キッチン無しとか。

最初の章、部屋探しに関して読んだだけでも、インドの凄さがわかる。
ちょっとした修理を頼んでも、修理工は道具を取りに行ったまま帰って来ず、翌日来たり、
日本では数時間で終わる修理が数日もかかったりするという。

日常生活で起きた「日本ではありえない事」、インド人と宗教の関わりや影響、
日本とはかけ離れたインド社会の習慣・常識など、住んだからこそわかるインドが、
「日本人としての視点」で、面白おかしく書かれていて、楽しめた一冊。

あとがきで「インド人は矛盾している」と著者は書いている。
柔軟で石頭、どこまでもユルク、異常にストイック、何にも縛られず、でもがんじがらめ、
すごく清潔で不衛生、情に訴えるのが好きだが、とても情に薄い・・・。

これを読むと、インド人は、「インド人の秘密」で思った「グレー」ではなく、
「白・黒」両面を持っていて、それは状況によって出てくる面が違う・・という風に思える。

ヒンドゥー教による厳しいカースト制が根を卸している国、多種多様な神が存在する国だからこそ、
宗教を切り離さず合理的に現代社会と融合する為、そういう性格を持つようになったのだろうか?
それとも、そういう理由がなくてもインド人はそうなのか?

知れば知る程謎が深まるインド人でした(^^;)。
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