SSブログ

「鼠舞」田中文雄著:ホラーとしての材料は揃っているが、生かせていない [本:ホラー&ミステリー]

鼠舞(ねずまい) (講談社文庫)

鼠舞(ねずまい) (講談社文庫)

  • 作者: 田中 文雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/01/16
  • メディア: 文庫
4.5点

数百年に渡って石材の採掘を行い、町の下に全貌不明の巨大な空洞が走る大迫町。
亡くなった父の跡を継ぐ為帰郷した駒木と、その妻保津美、そして娘の香織。
田舎で平和な家庭を築こうとする駒木一家に、不穏な影が忍び寄る・・・。
ゾロアスター教を信仰している従業員のイラン人の家には、生贄にされた猫の死骸が。
そして、巨大な地底世界に蠢くおぞましい闇と、暗闇の中に棲むこの世のものではない少女。
鼠被害が相次ぎ、殺鼠剤を撒くことを指示した者の不可解な死。
その上、駒木と知り合う前に保津美が付き合っていた犯罪者海老根の脱獄。
諸々の出来事がやがて一つに・・・・。

読んでて、たるかった。
ホラーとしての材料は充分に揃っているし(よくあるネタばかりではあるけど)、
ストーリーも月並みではあるけど、酷い破綻もしてない。
でも、ゾクゾクするような怖さとか、そういうのは全然無かった。
文章や、話の流れが、サスペンスタッチなんですよね。
ホラーの材料を揃えたのに、メインに人間のサスペンスドラマが来ちゃってて、
ホラー部分とちゃんと噛み合ってない。

ホラー小説は雰囲気作りが大切なんだけど、文章もドライだし、
大きな話の流れもサスペンスなので、ホラーの雰囲気が作れないまま話が進む。
その上、ホラーが土台にあるので、人間ドラマサスペンスにも成り切れず、
両者の融合もうまくいかずに、ホラーとしても、サスペンスとしても中途半端なまま、
ラストになってしまった・・という感じ。
登場人物の心理描写も、みんなバラバラで絡みあってなかったし。

ホラーとしての材料も多すぎて(サスペンスとしての材料も多い)、ちゃんと消化しきれてない。
読後も、消化不良な感じ。
登場人物は同じだけど、ストーリーは違ういつかの話をブチ切れで見たとう読後感が。
敢えて読む必要は無い話。

何度か投げたんだけど、先日時間があった時、どうにか読了。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。