「怪しき我が家 家の怪談競作集」東雅夫編:粒ぞろいではあるがまとまりが・・・ [本:ホラー&ミステリー]
7.4点
家にまつわる実話怪談系の話を集めた短篇集。
少し前から、最近までの注目の作家さんが集まってます。
「釘屋敷/水屋敷」皆川博子著-不思議な館にまつわる話
「家が死んどる」福澤徹三著-住むと不幸になる部屋・・そこに住んでしまったものの末路は・・
「押入れヒラヒラ」黒史郎著-子供の頃、押入れには友だちがいた
「我が家の人形」田辺青蛙著-祖母から受け取った壊れた気味の悪い人形の話
「母とクロチョロ」雀野日名子著-家に現れる黒い影。テレビを見るのを邪魔された母は猛然と戦いを挑む
「ちかしらさん」朱雀門出著-近所にある「ちかしらさん」のお宅。そこに住む人には不幸なことが・・
「悪霊の家」神狛しず著-次々と住む人が変わる自宅の隣家。そこは呪われている??
「犬嫌い」宇佐美まこと著-結婚したくてもできなかった従兄弟の家の庭には・・・
「葦の原」金子みづは著-子供の手を引いて家を飛び出した母は、白い手に招かれるように葦の原に・・
「浅草の家」南條竹則著-子供の頃体験した奇妙な話
「凶宅奇聞」東雅夫著-文学上の呪われた屋敷
完成度の高い話が多く、楽しめる話が多い。
特に「母とクロチョロ」と「ちかしらさん」「葦の原」は面白かった。
「母とクロチョコ」は、豚が主人公の異色ホラー「トンコ」(リンク先感想)を書いた雀野日名子の短編。
コロボックルみたいな悪意があるのか無いのかわからないクロチョコ(主人公命名)と、
それを退治せんと奮闘する主人公の母親のコミカルだけどちょっと突き抜けた行動が面白い。
トンコと同じように、不思議な味わいがある作品。
「ちかしらさん」は、朱雀門出の作品で、よくある呪われた家ネタながらも、
「首座布団」(リンク先感想)でも感じた、怪談風の雰囲気造りのうまさが光ってた。
「葦の原」はある女性の一生を追った作品。
短編ながらも、その女性の辿った平凡そうで、悲哀に満ちた運命を、うまく描いている。
特に、その女性が、子供の頃遭遇した怪異と運命の絡みがいい。
この作者ははじめて読んだけど、他のも読んでみたいと思った。
他の作品も、面白いものが多く、一作一作は満足度が高い。
ただ、「短篇集」というまとまりになると、ちょっと考えてしまうものが。
まず最初の「釘屋敷/水屋敷」は、ホラーというよりは、幻想小説より、それも文芸の香りが強い話。
怪しく不思議な田舎の屋敷を描いた作品で、幻想的な味わい深い作品で、これはこれでいい。
しかし、他の作品とはあまりにもカラーが違い過ぎて、2作目を読んだ時、そのギャップに戸惑った。
2作目は、登場人物がイニシャルで印され明らかに実話怪談調の話。
3作目は、著者の子供の頃に体験した「実話怪談」の体裁を取りながらも、
実話怪談というより、ホラー短編的なストーリー。
あまりに現実的では無い要素が多く、実話怪談調の雰囲気とそれが噛み合わず違和感が。
「怪談」ではなく、ホラー短編としての構成の方が楽しめた気がする。
4作目「我が家の人形」は、完全に著者の体験話として語られていたんだけど、
「幻想」「実話怪談」「ホラー短編」の中に混じってしまった為、これが実話なのか、
創作なのか・・・・と読んでて悩んだ。
リアルに地味に怖いので、創作ならあまり怖くない、実話だったらかなり怖い・・・って話で、
全部が実話怪談という中に混じっていたら、かなり怖がれたのに・・・と残念。
ということで、「実話怪談調」というのに縛られてる話、逆にほとんど意識してない話と混じっている為、
その面白さが減ってしまった作品がいくつか。
次の作品を読む度に、テイストの違いに戸惑ってしまった。
何か勿体無いなーと思った。
でも、全体のレベルは高いので、読んで損は無いです♪
家にまつわる実話怪談系の話を集めた短篇集。
少し前から、最近までの注目の作家さんが集まってます。
「釘屋敷/水屋敷」皆川博子著-不思議な館にまつわる話
「家が死んどる」福澤徹三著-住むと不幸になる部屋・・そこに住んでしまったものの末路は・・
「押入れヒラヒラ」黒史郎著-子供の頃、押入れには友だちがいた
「我が家の人形」田辺青蛙著-祖母から受け取った壊れた気味の悪い人形の話
「母とクロチョロ」雀野日名子著-家に現れる黒い影。テレビを見るのを邪魔された母は猛然と戦いを挑む
「ちかしらさん」朱雀門出著-近所にある「ちかしらさん」のお宅。そこに住む人には不幸なことが・・
「悪霊の家」神狛しず著-次々と住む人が変わる自宅の隣家。そこは呪われている??
「犬嫌い」宇佐美まこと著-結婚したくてもできなかった従兄弟の家の庭には・・・
「葦の原」金子みづは著-子供の手を引いて家を飛び出した母は、白い手に招かれるように葦の原に・・
「浅草の家」南條竹則著-子供の頃体験した奇妙な話
「凶宅奇聞」東雅夫著-文学上の呪われた屋敷
完成度の高い話が多く、楽しめる話が多い。
特に「母とクロチョロ」と「ちかしらさん」「葦の原」は面白かった。
「母とクロチョコ」は、豚が主人公の異色ホラー「トンコ」(リンク先感想)を書いた雀野日名子の短編。
コロボックルみたいな悪意があるのか無いのかわからないクロチョコ(主人公命名)と、
それを退治せんと奮闘する主人公の母親のコミカルだけどちょっと突き抜けた行動が面白い。
トンコと同じように、不思議な味わいがある作品。
「ちかしらさん」は、朱雀門出の作品で、よくある呪われた家ネタながらも、
「首座布団」(リンク先感想)でも感じた、怪談風の雰囲気造りのうまさが光ってた。
「葦の原」はある女性の一生を追った作品。
短編ながらも、その女性の辿った平凡そうで、悲哀に満ちた運命を、うまく描いている。
特に、その女性が、子供の頃遭遇した怪異と運命の絡みがいい。
この作者ははじめて読んだけど、他のも読んでみたいと思った。
他の作品も、面白いものが多く、一作一作は満足度が高い。
ただ、「短篇集」というまとまりになると、ちょっと考えてしまうものが。
まず最初の「釘屋敷/水屋敷」は、ホラーというよりは、幻想小説より、それも文芸の香りが強い話。
怪しく不思議な田舎の屋敷を描いた作品で、幻想的な味わい深い作品で、これはこれでいい。
しかし、他の作品とはあまりにもカラーが違い過ぎて、2作目を読んだ時、そのギャップに戸惑った。
2作目は、登場人物がイニシャルで印され明らかに実話怪談調の話。
3作目は、著者の子供の頃に体験した「実話怪談」の体裁を取りながらも、
実話怪談というより、ホラー短編的なストーリー。
あまりに現実的では無い要素が多く、実話怪談調の雰囲気とそれが噛み合わず違和感が。
「怪談」ではなく、ホラー短編としての構成の方が楽しめた気がする。
4作目「我が家の人形」は、完全に著者の体験話として語られていたんだけど、
「幻想」「実話怪談」「ホラー短編」の中に混じってしまった為、これが実話なのか、
創作なのか・・・・と読んでて悩んだ。
リアルに地味に怖いので、創作ならあまり怖くない、実話だったらかなり怖い・・・って話で、
全部が実話怪談という中に混じっていたら、かなり怖がれたのに・・・と残念。
ということで、「実話怪談調」というのに縛られてる話、逆にほとんど意識してない話と混じっている為、
その面白さが減ってしまった作品がいくつか。
次の作品を読む度に、テイストの違いに戸惑ってしまった。
何か勿体無いなーと思った。
でも、全体のレベルは高いので、読んで損は無いです♪
コメント 0