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「殺人鬼フジコの衝動」真梨幸子著:うーん、雑な印象。 [本:ホラー&ミステリー]

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

  • 作者: 真梨幸子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2011/05/07
  • メディア: 文庫
4点

一家惨殺事件で生き残った少女。
見た目は、平凡な彼女は、殺人鬼へと成長していく。
何が、彼女をそうさせたのか・・・。
ドロドロとした人の心を描いた作品。

少女が成長していく過程なので、最初は小学校。
壮絶ないじめ、無関心な大人・・・友人達の中で、うまく立ち回ろうとする少女・・。
いじめなど誇張されすぎてるとは思ったけど、卑屈な少女の視点から見た世界は、
自己中心的で負の感情と他人への否定に満ち、好きではないけど、
これはこれでありかと思って読んだ。

しかし、中学、高校と進むにつれ、物語の進行は早くなり、心理描写も簡単に、
そして主人公は、単に臆病で愚かな女って感じになってしまう。
見栄っ張りで、打算的で愚かな主人公が、次々に人を殺していく話なんだけど、
何で捕まらないのかも不思議だし、オチも何だかなーと思ってしまった。

主人公の心情は書いてあるけど、周囲の人間は「単なる登場人物」って感じで深みが無い為、
ミステリー的な要素とか、人間ドラマとか、少女の成長の過程とか、そういうのはすごく弱く、
どろどろした女性の愚かで醜い心情、それを誇張して書くというのがこの本の全てな気が。
主人公がサイコパスというには、狂気の心理描写が弱すぎるし、
何で連続殺人鬼になったかも、そんなにうまく事が運ぶのだろうか??
って思えたし・・・、トリック的にもイマイチ。

以前、著者のインタビューを読んだ時、著者が「勝ち組、負け組」にこだわっていて、
周囲にもそういう友人ばかりがいるというような事を言っていた
(最近、そういうどろどろした関係を楽しめるようになった・・と答えていたけど、
それは自分が「勝ち組」に入ったからじゃないかと思ってしまったのは、深読みしすぎ??(^^;))。
そして、この本の主人公は、「勝ち組になりたい、なりたい」と切望しつつ、
これ以上は無いという「負け組」の人生を歩む。
負け組になってしまう女性愚かさ、勝ち組になろうとあがく負の感情の醜さ、、惨めさ、
そういうのが読みたい人にはいいのかもしれないけど、
それ以外だと、きっと期待外れ。

読みやすくてサクサク読めるので、時間つぶしに読むにはよいかも。
全体的に細部が雑なので、漫画の原作だったら、その辺が絵でフォローされて、
それなりにいい気も。

評価がすごく分かれているのも納得。
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