「オランダ人のまっかなホント」ロドニー・ボルト著:ものすごく寛容、でもケチなオランダ人、少し日本にも似ているのが不思議 [本ノンフィクションいろいろ]
7点
各国の国民の特徴を、ウィットに飛んだ内容と、ちょっとシニカルな視点で紹介する
「まっかなホント」シリーズ。
今まで読んだこのシリーズ一覧・感想はこちらのページで。
今回読んだのは「オランダ人のまっかなホント」。
大麻が合法だったり、安楽死が認められていたり、傍目から見ても「寛容」そうなお国柄だけど、
実際そうらしい。
「寛容」と「柔軟性」、これがオランダ人の最大の特徴。
男同士がいちゃつこうが、マリファナがコーヒーショップで売られていようが、
移民や難民が変わった習慣を持ち込もうが黙認し、ヘロイン中毒者には、
無料で注射針を配ったりする。
寛容さは「美徳」であるだけではなく、「義務」なんだという。
ただ、この寛容さには、超えてはならない一線があるという。
それは「おのれの自由を侵害されないこと」。
自分が自由に生きる為に、他人の自由を尊重する、それがベースだと。
ただ、その「寛容さ」や「柔軟性」は、商取引上役に立つという点から生まれたらしい。
他の国で、オランダ人がジョークに取り上げられる時、その「ケチ」がよくネタにされているのを見る程、
オランダ人というのは、商売に対して抜け目が無いようだ。
中世時代、商業の発達により、商業都市がベースになり発展してきた国だからかな?
寛容で柔軟性がある為、他国の文化もどんどん吸収し、どのヨーロッパの国の人々も、
オランダ人には、何か自分と似たものを見つけられる。
またオランダ人は、率直な物言いをし、また全てに対してオープン。
家の中はカーテンが開けっ放しで、外から簡単に見える。
問題がある家庭かもすぐわかるが、その点は寛容の精神でスルー(^_^;)いいのか?
オランダ人は、「ヘゼリフハイト」(くつろぎと和やかさが合わさった状況)を理想とする。
狭い国土でひしめき合っているオランダ人は、この状態を大事にし、
日々の生活は「細やかな気配り」と「礼儀正しさ」から成り立っているという。
ここで面白いと思ったのは、この点、日本に似ているのだが、
日本人の「近所の人にどう思われるだろうか」とは違い、
オランダの場合、「ご近所のことを考えてあげなければ」という視点だということ。
日本も狭い国土に人々が暮らし、周囲に気を配る・迷惑をかけないことに重きを起き、
他国の文化をどんどん吸収するなど、表面上似ているけど、
根本が違うのが、どんどん不寛容に窮屈になっていく日本と、
寛容なオランダの違いかなと思ったり。
また、反対意見を重要視し、耳を傾ける姿勢がある、いろいろな視点から物事を見ようとする
というのも、寛容な理由かもしれない。
「人間は普通に行動しているだけで、じゅうぶんおかしな存在なのだ」と、
子供の頃から言い聞かされるという。
そんなオランダ人にとって許されないことは「ヘゼリフハイト」を壊すことと、
「ビジネスに悪影響をおよぼすこと」。
ただ、細かいマナーはいろいろある。
客は、出されたケーキを1切れ以上食べてはいけない(倹約精神)、
ふた切れ目を食べようものなら、無言の非難にさらされる(やっぱりケチだ(^^;))。
ただ、寛容という言葉に惑わされてはいけないらしい。
オランダ人は、カトリックだったりプロテスタントだったり、何かしら属するグループを持ち
他のグループの存在は認めている決して交じり合ったりはしないという。
干渉せず、平行線のまま、お互いが潰し合うこと無く、いろいろなグループが、
潰し合うことなく存在しあい、何本もの柱で支えている社会がオランダ。
自分と異質なものと交じり合わず、社会の一員として実感も感じられるという居心地の
良いシステムだという。
しかし、それが歪曲され極端になると「アパルトヘイト」(オランダ人植民者が創りだしたシステム)
のような状況にもなるという。
面白かったのは、熱狂的なファンのいるローリングストーンズのコンサートのチケットの
販売時のエピソード。
主催者側は、チケットを販売するのは3箇所だけ、その上、実際にチケットが販売されるのは、
その中の一箇所だけとしたというもの。
チケットを求めるファンを分散させただけでなく、そのチケットはブレスレットになっていて、
外そうとすれば切れ、並んだ本人しか入場できない、転売できないものとしたというもの。
すごく合理的だけど、日本だったら、「せっかく並んでも買えないなんて!」という
意見が多数で、できない方法な気がする。
オランダ人について、いろいろわかって面白かったけど、後半、オランダ人の生活(食、自転車、
法律・・・)などは、最終的に「寛容」や「商業主義」など、最初に説明されたことを
補足する構成になっており、似たような内容を繰り返し読まされている気分になってしまったのが残念。
それだけ、オランダ人は、基本的性質が、全体に影響を与えているということなのかもしれないけど。
そういえば、寛容なオランダ人は、似た気質であるドイツ人(もっと規則ガッチリだけど)を毛嫌いし、
これまた似た気質であるベルギー人を下に見ているとか。
隣国同士というのは相容れないものがある、どこでもそういうものなのかもしれない。
各国の国民の特徴を、ウィットに飛んだ内容と、ちょっとシニカルな視点で紹介する
「まっかなホント」シリーズ。
今まで読んだこのシリーズ一覧・感想はこちらのページで。
今回読んだのは「オランダ人のまっかなホント」。
大麻が合法だったり、安楽死が認められていたり、傍目から見ても「寛容」そうなお国柄だけど、
実際そうらしい。
「寛容」と「柔軟性」、これがオランダ人の最大の特徴。
男同士がいちゃつこうが、マリファナがコーヒーショップで売られていようが、
移民や難民が変わった習慣を持ち込もうが黙認し、ヘロイン中毒者には、
無料で注射針を配ったりする。
寛容さは「美徳」であるだけではなく、「義務」なんだという。
ただ、この寛容さには、超えてはならない一線があるという。
それは「おのれの自由を侵害されないこと」。
自分が自由に生きる為に、他人の自由を尊重する、それがベースだと。
ただ、その「寛容さ」や「柔軟性」は、商取引上役に立つという点から生まれたらしい。
他の国で、オランダ人がジョークに取り上げられる時、その「ケチ」がよくネタにされているのを見る程、
オランダ人というのは、商売に対して抜け目が無いようだ。
中世時代、商業の発達により、商業都市がベースになり発展してきた国だからかな?
寛容で柔軟性がある為、他国の文化もどんどん吸収し、どのヨーロッパの国の人々も、
オランダ人には、何か自分と似たものを見つけられる。
またオランダ人は、率直な物言いをし、また全てに対してオープン。
家の中はカーテンが開けっ放しで、外から簡単に見える。
問題がある家庭かもすぐわかるが、その点は寛容の精神でスルー(^_^;)いいのか?
オランダ人は、「ヘゼリフハイト」(くつろぎと和やかさが合わさった状況)を理想とする。
狭い国土でひしめき合っているオランダ人は、この状態を大事にし、
日々の生活は「細やかな気配り」と「礼儀正しさ」から成り立っているという。
ここで面白いと思ったのは、この点、日本に似ているのだが、
日本人の「近所の人にどう思われるだろうか」とは違い、
オランダの場合、「ご近所のことを考えてあげなければ」という視点だということ。
日本も狭い国土に人々が暮らし、周囲に気を配る・迷惑をかけないことに重きを起き、
他国の文化をどんどん吸収するなど、表面上似ているけど、
根本が違うのが、どんどん不寛容に窮屈になっていく日本と、
寛容なオランダの違いかなと思ったり。
また、反対意見を重要視し、耳を傾ける姿勢がある、いろいろな視点から物事を見ようとする
というのも、寛容な理由かもしれない。
「人間は普通に行動しているだけで、じゅうぶんおかしな存在なのだ」と、
子供の頃から言い聞かされるという。
そんなオランダ人にとって許されないことは「ヘゼリフハイト」を壊すことと、
「ビジネスに悪影響をおよぼすこと」。
ただ、細かいマナーはいろいろある。
客は、出されたケーキを1切れ以上食べてはいけない(倹約精神)、
ふた切れ目を食べようものなら、無言の非難にさらされる(やっぱりケチだ(^^;))。
ただ、寛容という言葉に惑わされてはいけないらしい。
オランダ人は、カトリックだったりプロテスタントだったり、何かしら属するグループを持ち
他のグループの存在は認めている決して交じり合ったりはしないという。
干渉せず、平行線のまま、お互いが潰し合うこと無く、いろいろなグループが、
潰し合うことなく存在しあい、何本もの柱で支えている社会がオランダ。
自分と異質なものと交じり合わず、社会の一員として実感も感じられるという居心地の
良いシステムだという。
しかし、それが歪曲され極端になると「アパルトヘイト」(オランダ人植民者が創りだしたシステム)
のような状況にもなるという。
面白かったのは、熱狂的なファンのいるローリングストーンズのコンサートのチケットの
販売時のエピソード。
主催者側は、チケットを販売するのは3箇所だけ、その上、実際にチケットが販売されるのは、
その中の一箇所だけとしたというもの。
チケットを求めるファンを分散させただけでなく、そのチケットはブレスレットになっていて、
外そうとすれば切れ、並んだ本人しか入場できない、転売できないものとしたというもの。
すごく合理的だけど、日本だったら、「せっかく並んでも買えないなんて!」という
意見が多数で、できない方法な気がする。
オランダ人について、いろいろわかって面白かったけど、後半、オランダ人の生活(食、自転車、
法律・・・)などは、最終的に「寛容」や「商業主義」など、最初に説明されたことを
補足する構成になっており、似たような内容を繰り返し読まされている気分になってしまったのが残念。
それだけ、オランダ人は、基本的性質が、全体に影響を与えているということなのかもしれないけど。
そういえば、寛容なオランダ人は、似た気質であるドイツ人(もっと規則ガッチリだけど)を毛嫌いし、
これまた似た気質であるベルギー人を下に見ているとか。
隣国同士というのは相容れないものがある、どこでもそういうものなのかもしれない。
私の知人いわく、オランダ、特にアムスは
「人間どこまで馬鹿になれるか」の実験都市なんだそーです(笑
大麻や売春が合法であるうえ、
他国からの移民をガンガン受け入れたため、
地区によっては非常に治安が悪い。
それ以外にも移民の増加による雇用の問題などもあって、
「このままじゃイカン」と言うコトで今度は逆に
近年、移民への締め付けが急激に、かつ異常に厳しくなるなど、
牧歌的なイメージとは裏腹に
アヴァンギャルドなワンダーランドらしいです(笑
by コステロ (2013-02-01 06:40)
コステロさん
>「人間どこまで馬鹿になれるか」の実験都市
あはははは、当たってる気がします。
移民問題、この本は10年くらい前に書かれたものなんですが、
その中でも「移民問題は、寛容を美徳であり義務とする人々の
中にも耐え切れなくなってる人がいる」とちょっと触れてあったので、
より問題は進展しているんでしょうね。
>移民への締め付けが急激に、かつ異常に厳しくなるなど
合理的な商売人、やるとなったらやる!って事なんでしょうかね。
by choko (2013-02-02 12:35)