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「ロシュワールド」 ロバート・L・フォワード [本:SF]

「ロシュワールド」 著:ロバート・L・フォワード  (早川SF文庫) 7点

地球から6光年の所にあるバーナード星。そこにはロシュの限界を越え、80キロの距離で隣接する二重惑星、ロシュワールドがあった。帰還不可な片道切符の旅へと出発する、恒星間宇宙船プロメテウス号。40年もの年月をかけて辿り付いた惑星で、乗組員達は異星人と出会う。

二度と地球には戻れない旅、それなのに抜擢された乗組員達が、「星へ行く」という言葉を合言葉のようにして、躊躇無く逆に喜んでその任務に着く事に、最初違和感を感じたのだが、それを読んでいる最中、土星探査船カッシーニに搭載された小型探査機ホイヘンスのタイタン着陸のニュースを聞き、躊躇無く任務についた乗組員達の気持ちがわかるような気持ちになってしまった。ホイヘンスが送って来たタイタンの地表の画像とかドキドキして見てしまった。未知への世界へ探求の旅に、旅立つ事。それは不安よりも希望や期待が大きい気がする。

そういえば、この作品の中で、タイタンに触れた記述があり「液体窒素の雨が降る」となっていたが、今書かれるとしたら「メタンの雨が降る」となるのだろう。

作者であるロバート・L・フォワードは、物理学者でもあり、この作品はその豊富な知識に裏付けられた物になっている。

前半の、恒星間宇宙船をバーナード星へと送り届けるレーザービームの原理や、宇宙船の形状、減速の仕組みなどは、科学考証に基づいた物でかなり読み応えがあるが、この部分が苦手だとかなり辛い(^^;)(実は辛かった(爆)。

後半、バーナード星到着後は、片方が岩に覆われ、もう一方がアンモニアと水に覆われたロシュワールドの不思議な様相や、異星人との奇妙なファーストコンタクトの様子などがメインになり、前半とは打って変わって軽いテンポな話になっている。

この異星人、形状は惑星ソラリスに出てくる異星人を思い出すのに、中身は正反対。サーフィンをしたり、ペットを飼ったり、とても愛着がもて、気に入ってしまった。特に最初にコンタクトを取るシーンは読んでいてとても楽しかった。

このタイトルにある「ロシュ」という言葉。これを聞くと子供の頃読んだジュブナイル「地球最後の日」を思い出してしまう。「ロシュの限界」というのは、この作品で知ったような、もっと後だったような。「地球最後の日」を思い出すせいか「ロシュの限界」という言葉は、不吉なイメージがある。

でも、そんな不吉なイメージとは全く関係無く、全体的に希望に満ちた明るいタッチの作品で楽しめた。

最近知ったのだけど「地球最後の日」は映画「ディープ・インパクト」の原作(2作ありもう1つはクラークの「神の鉄槌」)なんだね。ジュブナイルでしか読んでいないので、元の話が読みたいと思ったんだけど、既に品切れ。数年で品切れになっちゃうとは・・創元さん、再販して欲しいよ~!

 

 

 


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