映画「アビエイター」と伝記「ハワード・ヒューズ」夢に向かって突き進んだ男 [本ノンフィクションいろいろ]
- 作者: ジョン・キーツ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/02/26
- メディア: 文庫
8点
親から相続した莫大な遺産を湯水のように使い、何年もかけて飛行機映画を撮ったり、飛行機の開発をしたり、自分の開発した飛行機で世界一周最短記録や世界最速記録への挑戦をしたり、とにかく夢に向かって突き進んだ男、ハワード・ヒューズ。
彼の生き様を題材に作られたのが映画「アビエイター」である。
レオナルド・デカプリオがハワード・ヒューズを熱演している。
ヒューズの生涯を駆け足で追った割にはよくまとまっているとは思ったのだが、彼の伝記ともいえる「ハワード・ヒューズ」内で描かれているハワード・ヒューズにとても魅力を感じた私としては、何か物足りない映画だと思ってしまった。
「ハワード・ヒューズ」の中のエピソードで、これは取り上げて欲しかった!と思ったエピソードが無かったというのもあるが、1番の理由は、ヒューズが飛行機そのものだけでなく、空を飛ぶ事が好きだったと思わせる部分があまり無かったからじゃないかと思う。
ライト兄弟が自作の飛行機で空を飛んだ時に感じたと思う喜び、大地を離れ飛び立つというロマン、空を飛ぶという事の高揚感、きっとヒューズはそういう部分にも魅力を感じていたと思うのだけど、「飛行機」への情熱は語られているが、大空を駆ける素晴らしさという部分はあまり語られていなかった気がするのだ。
映画では、ハワード・ヒューズをジワジワと犯していく狂気の部分にスポットが当てられていたせいで、全体的に重い雰囲気の映画になっていたのも、伝記とのギャップがあって、ちょっと残念。
伝記でも狂気の部分は描かれているけど、どちらかといえば、いくつになっても子供の様に夢を追った彼の姿が中心。
そんな姿に引かれた私としては、その部分があまり描かれていない映画の方は、悪い映画では無いけど、好きな映画でもないという結論に。
伝記のほうにはハワード・ヒューズの奇人たる笑えるエピソードも多く楽しめた。
金持ちで天才で奇人だったハワード・ヒューズに興味を持ったなら、映画・伝記どちらかを見てみるのもいいかも。
2007-05-16 16:41
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