「インカの末裔と暮らす」失われた太古の生活を求めて [本ノンフィクションいろいろ]
- 作者: 関野 吉晴
- 出版社/メーカー: 文英堂
- 発売日: 2003/07
- メディア: 単行本
- 7.5点
スペイン人によって滅ぼされてしまったインカ帝国。
その当時の人々の暮らしを求め、著者はその当時の生活に近い生活をしているといわれる「ケロ村」でキャンプを張ることに。
「ケロ村」は、標高1000m(だったかな?)~4000mまでの間を生活の場としており、標高の高い場所では放牧を(家畜泥棒があまり出ないというのが理由らしい)、標高の低い所では畑作を行っている。
富士山の裾野と、てっぺんより高いところ、その両方を行き来して生活しているというのは考えるだけでも凄い。
また家畜と畑作、その両方を自分の村で賄える・自給自足できる為、他の村との交流が少ないのが、昔の生活を維持できている理由であるらしい。
何年にもわたり、何度もその村を訪れ、閉鎖的だった村の人々に徐々に受け入れられていく様子や、人々の素朴で厳しい生活を、紀行文と多くの写真で紹介している。
写真(カラー)がとても多いので、思ったより早く読める。
また写真が多い事で、文章のみより人々の生活がまざまざと伝わってくる。
普通は、文章が多い方がいい事も多いのだが、この本の場合、写真がこれまたよい。
というのも、キレイな自然とか牧歌的な風景とかではなく、リアルな生活が写真から漂ってくるのだ。
白黒だと伝わってこない、戦時中とか昭和の頃のような子供達のちょっとした汚さや(鼻水垂れてるとか)、服の汚れ方とかが、その村の生活をリアルに感じさせてくれて、「ああ、昔の生活っていいなーー」ってだけじゃなく、いろいろな面で大変なんだなというのも教えてくれる。
村人の足の写真も、ガサガサに荒れ、爪がねじれ、長い間、厳しい環境で過ごしていたことを、見せ付けてくれる。
また、昔は日本でもこんな感じだったのでは?という村人同士の協力、閉鎖された村だからこそ起きるいざこざ、人々の密なつながり、そんな部分が郷愁を誘う。
しかし10年以上に渡る訪問の間に、村も徐々に変貌する。
ここは博物館ではないのだから・・と、人々の生活が変わるのを寂しがりつつも、受け入れている著者。
なんとなく、その気持ちはわかる。
あっさりしているけど、読んでいて心地よく、それでいて現実の厳しさも見せてくれる、そんな本だった。
著者のプロフィールに、探検家・医者・・となってて、変わった経歴の持ち主だなぁと思っていたら、思ったよりメジャーな人らしい。
アフリカから全世界に散らばった人類の軌跡を追う「グレートジャーニー」という旅も行っている。
今週末(3月21日金)、テレビでもこのグレートジャーニーに関わる放送がフジで流されるらしい。
こういうところには一度行って見たい気もしますが
とてもじゃないが住めんよなぁ、とも思いますね(笑
まぁ、せいぜい3日が限度、ってトコロでしょうか。
by コステロ (2008-03-19 11:19)
コステロさん
コメントありがとうございます(^^)。
ほんとうに同感同感です。
行ってみたいけど、住むのは無理・・ってのがヒシヒシと伝わってくるんですよ、写真から。
ここに長期滞在した著者は凄い!
アジア旅行なども、若い頃ならともかく、今は厳しいかも。
どんどんヘタレになってます(^^;)。
by choko (2008-03-19 12:06)