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「虫食む人々の暮らし」「楽しい昆虫料理」「世界昆虫食大全」昆虫食いろいろ [本ノンフィクションいろいろ]


虫食む人々の暮らし (NHKブックス)

虫食む人々の暮らし (NHKブックス)

  • 作者: 野中 健一
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本


7.5点

楽しい昆虫料理

楽しい昆虫料理

  • 作者: 内山 昭一
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2008/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

7点

世界昆虫食大全

世界昆虫食大全

  • 作者: 三橋 淳
  • 出版社/メーカー: 八坂書房
  • 発売日: 2008/11
  • メディア: 単行本


7点

昆虫食に関しての3冊。

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「虫食む人々の暮らし」は「奇食本」ではなく、虫を食べる習慣を研究することによって、
いろいろな文化の共通点を探り、また相手の文化を色眼鏡で見ず理解しようとする本。

虫食が盛んな地ラオスでは、長期的に虫食と現地の人々の関係を調査している。
変化の多い自然が育む、数多くの虫たち。
糞玉の中で育つフンチュウまで食べてしまうという現地の人々。
フンチュウを美味しく食べるための知恵。
肉より高い値段で流通するセミの幼虫。
阿鼻叫喚のツムギアリ採取。
いろいろなエピソードが満載で、とても楽しい。

アフリカボツアナ共和国では、サン族の集落に半年1人で住み込んで調査。
習慣も何もわからない村での生活の話は、虫に関する話でなくても面白い。

シロアリなどの話もあるが、アフリカでの話の中心は、イモムシ。
国を超え、都市部でも流通する「モパニムシ」に関しての話など。
イモムシは美味しい物が多いらしい。
イモムシの食感を「タコヤキ」と授業で表現し、
学生からタコヤキが食べられなくなったという苦情があったりもしたらしい(笑)。

カメムシを扱った章では、同じ様にカメムシを食べる食文化を持ちながら、
臭いを除去する南アフリカと、一部に臭いの除去をせず平気で食べる人がいる
東南アジアの国ラオスの比較をしている。
ラオスでは、カメムシは味だけではなく、臭いをも料理に生かしているという。
カメムシは、オスのほうがより臭いが強いらしいが、
臭いを除去する南アフリカではその差を気にしてはいない。
臭いにも着目しているラオスでは、オス・メスの差だけではなく、
成長段階でも味・臭いを細やかに分析しているとしている。

カメムシ自体を嫌悪する国、臭いを除去して食べる国、臭いすら生かす国、
それらを通して、国の文化の差を考察している。
納豆や味噌の臭いは、食べなれない外国人には悪臭にしか感じられないし、
私も、ヨーロッパの臭いのキツイチーズは、「う○この臭いがする」と
意を決して口まで運んだけど、どうしても口に入れられなかった経験がある。

カメムシを食べるから、虫を食べるから、貧しい、野蛮だ・・というような捉え方をせず、
1つの文化として虫食や文化の違いを肯定的にみようという著者の見解も述べられている。

虫食を通して、文化的な違いを見るだけでなく、人々と自然との関わり、
食生活の姿、子供の成長への影響・・・とにかく、いろいろな視点で虫食を考察している本。
著者の豊富なフィールドワークのエピソードも面白く、お勧めの一冊!

虫を食べた時の感想も多くて、これを読んでいると、
自分もどんな虫でも食べられそうな錯覚に陥る。
美味しそうなんだもん(^^;)。

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「楽しい昆虫料理」は、昆虫を食材にしていなければ、
普通のお料理レシピ本という感じ。

巻頭に、昆虫料理の数々がカラーで載っているのも嬉しい。
甲虫などがそのまま料理に乗っている料理は、
料理に虫がたかっているみたいでちょっと不気味でもあるけど(^^;)。

で、この本、料理の簡単な紹介文がすっごくいい!

「春はバッタの赤ちゃんがぴょんぴょんとびはね、
命にあふれた季節です。
・・・・・ハチの子をご飯に混ぜ込み、
かわいい春の若虫たちを飾ってみました」

食材になってる若虫(バッタの幼虫)をかわいいと紹介(^^;)。
「かわいいひよこを丸焼きにしました」って普通書かないよね。

「バッタの香梅煮」の説明には
「仮面ライダーのモチーフにもなったくらいですから、
発育盛りのお子さまにもきっと喜ばれることでしょう」
と書いてある。
喜ばないって(笑)。

いい味出してる紹介文多数。
これを読むだけでも楽しい。

それに、「焼きながら思わず唾液を飲み込む逸品です」など、
紹介文を読むと、たべたーいって思ってしまうものもいっぱい
(料理写真を見ると、そう思えないものも多いんだけど(^^;))。

料理レシピは、和食、中華・エスニック、洋風、スィーツのジャンル別で。
虫の選び方、確保の仕方などの説明も。
虫を試食しながらの対談などもある。

虫食を「普通に生活に取り入れよう」という著者の気持ちが伝わってくる本。

虫を実際料理したい人だけでなく、ちょっと興味がある人にも。
「虫料理って簡単にできるのね~」と身近に感じられるようになる本です。

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「世界昆虫食大全」は、昆虫食辞典。
世界各国の昆虫食の状況を、過去・現在合わせて紹介している。

いろいろな本の記述の集大成でもあり、とにかくデータ量は豊富。
ただ、「読み物」的な要素は少なく、国毎の紹介では、
同じような内容が繰り返されるので(辞書を読む感じ)かなり辛かった。

とにかく、ここまで読むのに苦労した本は久々。

私はいつも寝る前に本を読むんだけど、一番ボリュームがある章、
国別の昆虫食紹介にところでは、5分も経たずに眠くなることがしばしば(というかほぼ毎回)。
素晴らしいほどの誘眠効果。
眠れない時に、この本があれば大活躍すること間違い無し!

とにかく、同じような内容の羅列(データとしては必要なんだろうけど)を
読むのが辛かった。

それなら、読み飛ばせばいいと思うだろうけど、
同じような内容の羅列の中に、
面白い記述が混じっているので、読み飛ばせない。

頑張って読んで見つけた、面白い記述↓。

中国では、死蚜という食用昆虫がいて、それは人間の死体に発生する蛆虫のこと。
死んだ人を埋めて蛆が発生した頃に、棺に穴をあけてゾロゾロ出てきたものを
集めて食べたという。
死体にわいた蛆ですら食べてしまう中国はすごい。

人肉食がかなり長い間続けられていた(1960年代まで)というパプアニューギニアでも、
死体を埋め、数日後に掘り返し、それにわいた蛆を集めて食べたいう。
パプアニューギニアの場合、蛆だけではなく人肉も食べたわけだが。

パプアニューギニアでは、身内が死ぬとその死体を食べる習慣を持つ部族があり、
それが、クールー病(狂牛病と同じような病気)の原因になっていたと言われる
(この辺は、狂牛病や異常プリオン関係の本を読むと載っている-本書では触れられていない)。

昆虫食が盛んなタイでは、ナナフシの糞から作った「虫糞茶」というのがあるらしい。
ジャスミンティーのような香りがあるとか。

中東やアフリカでは、作物を食い荒らすバッタの大群の襲来を、
バッタを食べて栄養が摂れるため歓迎する人達もいるという。
立場変わればなのね(^^;)。

ウガンダでは、コオロギなどの虫の声も楽しみ、
眠りを誘うために鳴かせたりするが、
食欲がかつと食べてしまったりするらしい。
欲望に忠実??

ビクトリア湖湖上に、ユスリカが大発生し、
まるで煙のように見える映像はテレビで見たことがある人も多いと思うが、
現地では、バスケットを振り回し、ユスリカを採取して食用とするという。
10リットル以上のユスリカが採れるとか。

ヨーロッパは、昆虫食の事例が極端に少なかったけど、
それでも、ダニが熟成するチーズ「ミモレット」や、
チーズバエの幼虫で発酵を促進する「カスマルツ」などが
載ってた。

ウジチーズは、ウジを生きたままチーズと一緒に食べちゃう人もいるらしいけど、
ヘタをするとウジが体内に寄生する「蝿蛆症」を発症してしまうらしい。

北米では、湖のほとりに、蛆が17~30cmの厚さで数キロに渡って堆積し、
それを食用にしていたという話も。
蛆の層が30cmの厚さ・・・って想像するだけですごい。

中南米で食べられている、オキバウスバカミキリの幼虫は体長21cmもあるらしい。
食べ応えはありそうだけど、21cmのイモムシっているんだね。

と、いろいろ面白い記述にはめぐり合えました。

どの国で、どのような昆虫が、どのようにして食べられているかの
データが中心だけど、食べてはいけない有毒な昆虫の章や、
昆虫の栄養価などについて書かれた章もある。

世界では、まだまだ昆虫が食べられてるけど、
西洋文明の影響で食べられなくなっている地域も増えているらしい。

昆虫食に関して、詳しいデータを得たい人にはいい本。
一番昆虫食の情報は多いです。
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3冊読んで、美味しいなら昆虫を食べてもいいなーと思った。
でも、自分で料理するのは敷居が高いし、
そのままの姿形でテーブルに出されたら辛いかな?

イナゴは食べられるから、バッタ類なら平気かも?
でも、世界では「イモムシ」系が大人気。
ナッツのような風味とか、豚肉のような味とか、
かなり美味しいらしい。

チャレンジする機会があったら、頑張ってみたいが、
頑張れるだろうか??

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コメント 3

コステロ

「イモムシのバター焼き」は、以前食べたことがあります。

味は案外悪くはないですけど、やっぱり抵抗があり
「ゆっくりかみ締めて、じっくり味わう」と言う気にはなれませんでしたね(笑

慣れれば平気なのかも知れませんが、
世の中に上手いモンはたくさんあるのですから
わざわざムリしてまで慣れる必要は無いカナーな、と思いますし(笑
by コステロ (2009-05-25 12:24) 

ちょび

食文化だとわかっていても、抵抗・・・というより、生理的に無理です。出された食べ物は食べる、というポリシーですが、このジャンルだけは「そんあポリシーは崖から捨てた」っていうに違いない。

野蛮人が生魚食いやがってと蔑視されていた日本食が世代が変わって「ヘルシー!サシミ!スシ!」といわれるようになってるので、子孫が食べるようになっていても、そりゃ仕方ないか・・・と思いますが。

虫はほんとに苦手なんで・・・

「楽しい昆虫料理」ってタイトルはパンチがありますね、でも、読めなさそうです。夢みそうで・・・(;_;)
by ちょび (2009-05-25 13:40) 

choko

★コステロさん

わー、イモムシ食べた経験あるんですね~!!
羨ましい~!!

無理して慣れたいというより、
「食べたことがないから食べてみたい」って好奇心の方が
大きい気がします。
よほど美味しく無い限りは、一度食べたら満足みたいな(^^;)。
はまったらはまったで怖そうですが。
そこいら辺で、食べるための昆虫採集しそう・・。

★ちょびさん

生理的にダメってのはありますよね。
「楽しい昆虫料理」に一品だけ「なめくじ料理」が入ってて、
これだけは無理だっ(>_<)!って思いました。

ナメクジに家を乗っけただけみたいなカタツムリは食べられるかも・・と
思うんですが(生臭いとも聞くし、生臭いのは苦手なので
手を出してませんが)。

by choko (2009-05-25 18:00) 

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