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「世界の食文化11-アフリカ」食べ物は噛まずに呑む?! [本ノンフィクションいろいろ]

世界の食文化〈11〉アフリカ

世界の食文化〈11〉アフリカ

  • 作者: 小川 了
  • 出版社/メーカー: 農山漁村文化協会
  • 発売日: 2004/11
  • メディア: 単行本

7.5点

世界の食文化4--ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー」が面白かったので、同じシリーズの他の本も読んでみることに。

今回は「アフリカ」。
国ではなく、大陸1つ丸まる扱っているが、元々アフリカに関しては詳しくないので、概略がわかるという意味では、1つの国をじっくり紹介されるより、私にとっては良かったかも。

著者は、アフリカには、いろいろな国で共通に持つ「食の三大原則」があると述べている。

その1つが「食べ物は噛まずに呑む」という事。

アフリカでは、主食である固い餅のようなモノをソースに絡めて「呑む」のだそうだ。
呑みやすいように、料理に大量の油を使う事も多いとか。
「噛む」のは子供のすることらしい。
外で料理をする事が多い為、噛むと餅に混じった小石などを噛んでしまうとか。
しかし、「呑む」行為を、著者はそのような現実に即したものではなく、「呑む」という行為は食べ物をすりつぶし(アフリカで必需品の調理器具は臼と杵らしい)、過熱し、呑めるものにする必要があり、これは人間にしかできない文化的行為として重視されていると捉えている。
私は、現実に即したものじゃないかと思うんだけど(^^;)。

それにしても、いくら呑み安い状態にしてあるとはいえ、やはり餅のようなものを「噛まずに呑む」というのは、どうしても想像できない。

もちろん、何でも呑むわけではなく、ちゃんと噛んで食べるものもあるが、主食を食べる時には、餅のような形状になっていて、呑む行為がアフリカでは一般的ということらしい。

もう1つが、「熱い」で、これはこの固い餅のような主食(原料は米や穀物だったり、芋類だったり)が冷めると、格段に味が落ちるせいらしい。

著者は、これも文化的行為として捉えていたけど。
アフリカの人が、何かのイベントで日本に招待された時、新幹線で移動中の昼食に日本の弁当を出され、「冷たい食事を出された」と憤慨していたというエピソードが載っていた。
「冷たいご飯」は、日本人には当たり前のことだけど、これを嫌がる外国人は予想以上に多いらしい。
以前読んだ、「世界のお弁当」でも、冷たいご飯が嫌だという外国人の感想がいくつも載っていた記憶がある。
こういうのを知ると、自分が当たり前と思っている事が当たり前じゃないんだなーと言うことを発見して、面白い。

さすがにアフリカ全土を1人で調べるのは無理。
なので、この本は、いろいろな著作の引用が多く、「アフリカの食のまとめ」のようになっている。
あまり深すぎず、入門書という感じで、読みやすいのもいい。
特に、ピグミーの食生活の記述は面白かった。

しっかり書かれているのは、著者が現地調査をした「セネガル」についてで、ここに関しては、奴隷制や植民地化による影響など、食と歴史の関係や、今の社会、農作物と人々の食生活の関係など、多面的に書かれている。

また、アフリカの中では、かなり特異な存在のエチオピアについて述べている章もある。
エチオピアは、国土の多くが高地で気候が冷涼な為、他の国では見られない、半生、生の状態の肉が出るという。
目玉焼きも、他の国では、黄身がパサパサになるほど火を通したものが出るが(暑い国では、半生状態で食べるのは危険)、この国では半熟ででるという。
そういう部分に、気候と料理の関係が見えて面白い。

酒に関しての記述にも興味深いものがあった。
ヤシ酒を主食にしている民族がいるというのである。
この民族は、イスラム教への改宗を、酒を断つのが嫌で拒絶した事が民族の名前の由来にもなっているという。

たんに、酒好きというだけではなく、ヤシ酒の持つ栄養価や摂取カロリーに占める割合なども検証していて興味深い。

遠い大陸、日本にいると身近には感じられないアフリカ。
そんなアフリカの食文化を覗くと、少しアフリカが近付いたような気がする。

自分の常識とは全く違うことをいろいろ知る事ができて、面白かった一冊。

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コメント 4

コステロ

私、実際にアフリカ料理を食べたことありますケド、
ヨーロッパ向けにアレンジしてあるのかもしれませんが
あまり「呑む」な料理だとは思いませんでしたね。

調理法もシンプルだし
「決して旨いもんじゃぁない」と言うのが感想でしょうか。

この辺↓にて述べてあります。http://app.blog.livedoor.jp/monsieur_costello/tb.cgi/50470611
http://app.blog.livedoor.jp/monsieur_costello/tb.cgi/50472641

by コステロ (2008-10-28 11:54) 

choko

コステロさんは、アフリカ料理を食べたことがあるんですね~!
私は、一度も無いです(>_<)。
一度はいって見たいけど、コステロさんと同じ様な目にあったら怖い(^^;)。

で、コステロさんが食べた料理と本に書いてあった料理はかなり違ってました。
感想には書いていなかったんですが、アフリカ料理の法則のもう1つは、主食と副食に分かれていて、カレーのように主食とおかず(シチューのようなもの)が一緒にお皿に盛られていることが多いとなってました。

で、そのシチューは、野菜・肉・魚などと一緒に、干した貝柱など出汁が大量にでそうなものが大量に煮込んであって、最後にブイヨンソース(アジアなどで味の素を多用するのと同じ)を何故かけるのか!そんな必要は無いのに!と著者が嘆いていました。
この本を読むと、アフリカ料理美味しそう~!と思っちゃいます。

国によってもかなり違うので、どの国のアフリカ料理を食べたかにもよるのかもしれませんよね。
この本でも幾つかの国が取上げられているだけでしたし。

by choko (2008-10-28 13:40) 

コステロ

私が行ったのは、恐らくザイール料理だと思うのですが
干し貝柱なんて滅相もない!と言う感じでしたよ。
「聞くと見るとじゃ大違い」と言った感じですが
他の店を試してみよう、と言う気にはなれないですね(笑

日本にある店なら、もっとマシな物が出てきそうですケド、
日本の何処に行けばアフリカ料理屋があるのか?は知りません(笑
by コステロ (2008-10-29 13:02) 

choko

ザイール料理ですかW( ̄△ ̄;)w。
ザイールって、アフリカのど真ん中あたりの国なのと首都ぐらいしか知りません(^^;)。
アフリカは広いし国も多いし、南米よりよくわからない所です。
検索してみたけど、アフリカ料理はいろいろあれど、ザイール料理はありませんでした(もっとちゃんと検索すればあるのかも?!)。

でも、一度懲りると次を試す気にはなかなかならないですよね~。
昔食べた、トムヤムクンが恐ろしく不味くて、それ以来二度とチャレンジしてません。
トムヤムクンの味がダメなのか、それとも食べたところが悪かったのか、それがはっきりしない限り、なかなか次には・・。
でも、タイカレーが美味しいことを知ったので(インドカレーの方が好みですが)、その内機会があったら試したいと、トムヤムクンから10年経った今思ってたりします。
by choko (2008-10-30 21:59) 

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